【R18】婚約者が変態すぎて困るのですがどうしたらいいでしょうか?

卯月ミント

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第27話 【閑話】ナルティーヌの場合2:ナルティーヌ視点

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「……さん、ナル姐さん!」

 誰かに呼ばれている。
 誰だろう?

(ナルの……愛弟子ですわ……)

 ナルティーヌはぼんやりと考えていた。
 自分は愛弟子に呼ばれている。それを美少年に教えて貰った。だから早く返事をしてあげないといけない。

 ……美少年って、誰?

 美少年とは、あの女の子みたいに可愛い少年のことだ。

(ナルの性欲処理をしてくれている…………)

 そういう自己紹介だった。

「……っ!?」

 ナルティーヌははっとした。

 目を開けると、ベッドに寝ていた。目の前にはほっとした様子のパスカルがいる。

「よかった、姐さん。気づいたか!」

「ここは……?」

「道場の医務室だ」

 目の前にはホッとした様子のパスカルがいた。ナルティーヌはベッドから身を起こす。

「大丈夫か? まだふらふらするか?」

 ナルティーヌはぼんやりとしながら頭を押さえた。

 自分がなぜここで寝ているのか思い出せないのだ。

「いったい……何があったのですか、ナルは……」

「俺に稽古をつけてくれていたらいきなり気絶したんだ」

「ナルが、気絶……? パスカル殿下の一撃を受けきれなかったってことですの?」

「いや、俺の剣なんかひとっつも入っていない。情けないが、さすが我が師と惚れ惚れする身のこなしだったぞ。ほんとに前触れもなく突然倒れたんだ」

「そうですの……」

 なんとなく思い出してきた。

 そうだ、自分はパスカルに剣の稽古をつけていたのだ。……覚えているのはそれだけだ。

 ……いや、違う。

 それから……なにかあったような気がする。
 ぼんやりとした意識で、ぼんやりとした空間で。

(そうですわ、誰かに会ったような……誰でしたっけ……?)

「ナル姐さん、無理はするな。すぐに回復術師を呼んでくるな」

「え、ええ、ありがとうございます、殿下」

 こういう状態は侮らない方がいいことをナルティーヌは知っていた。一見外傷がなくとも脳みそにダメージを負っているかもしれないからだ。

 記憶の混濁もみられるし、なんらかの事象が発生している可能性がある。

 だが。

「ナル師範代!」

 医務室のドアが開き、女の子みたいな可愛い少年が入ってきた。

「お前は……?」

 パスカルが警戒する。この少年は先程までいなかったはずだから。……いや、ナルティーヌは知っている。ずっと面倒を見て貰ってきている相手だ……。

「トゥルッセ……」

 ナルティーヌは小さく彼の名を口にした。

「トゥルッセ……、トゥルッセ・イティートル。ナルの弟子の一人で、武術の腕がないから主にマネージャーとしてサポートに回ってもらっている人……」

 それからナルティーヌの性欲解消もしてくれている。だがそれはトゥルッセも気持ちいいと言ってくれているのでお互い様である。
 そして、ナルティーヌは彼のことを特に好きというわけではない。何故なら彼は単なる性欲処理の相手にすぎないから。

 ……まるでなにかの設定のように、つらつらとそんなことが思い出されていった。





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