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第10話 データとりは続く
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後日、メリアが一人、団長室で書類仕事をしていると、グラーツが入ってきた。
「メリア団長、例の愛です」
「ぶっ」
グラーツの突然の言葉に、何も飲んでいないのに思わず吹き出してしまうメリア。
「なっ……、あ、あぁ。例のアレね」
「はい。いいデータが取れましたので頑張って作りました」
あの夜、グラーツとの熱いデータとりがあり……、それからというもの彼は今までメリアの前に現れなかったのだ。毎日の下着デリバリーすらなかった。
どうやらあれでとったデータから新作下着を作っていたらしい。
「……ふむ。どれどれ……」
あれだけ苦労してとったデータで作った下着である。さぞかし素晴らしいものに違いない。
メリアはわくわくしながら手渡されたリボン付きの袋を開ける。
……が。
「なにこれ」
「メリアはナイスバディですからね。余裕を持たせてみたんです。それから下着をしたまましやすいように露出させる面積を増やすという逆転の発想を――」
「これ紐じゃないのよー!」
メリアはその紐、否、ショーツをびよーんと両手で伸ばしてみせる。
美しいレースとフリルでできたショーツであはあるが、なにぶんレースとフリルしかない。布地がないのだ。ブラジャーも同じだ。レースとフリル、その二つしかない潔さは潔いといえば潔い。
「違います、決してそうじゃありません! 着てみて下さい。そうすればこれが神の頂へ登り始めたセットアッ――ぶっ」
うめくグラーツ。
メリアが紐パンと紐ブラをぐいっとグラーツのイケメン顔に押しつけたのだ。
「やり直し! やり直し! やり直し! やり直しなさい!」
「えぇ……自信作なのに……」
「自信作なのに……、じゃないわよ! なんなのこれ! 紐! こんなの着たら丸見えじゃないの!」
「違うんです団長。これは通気性を考えて――」
「やり直し! あんたは愛を少しは隠せ!」
「うぅ……」
シュンとするグラーツ。
まあ、これでも有り余るほどの熱意をかけて作り上げた下着であろうから、あまり否定しまくるのも可哀想かもしれないかも……、なんてメリアとしても思うのだが。
(それにしたってこの数日間私のことほったらかして作ったのがこれって、どうなのよ!?)
ちょっとばかりイラッとしたのも事実である。
「でも、となるとまた一からデータをとらないといけませんが……」
ピク、とメリアの耳が動いた。
「んー、……まあ、それなら付き合ってあげないこともないけど」
「ほんとですか!?」
「ていうかデータとりじゃなくても毎日来なさいよね、あんたは未来の旦那様なんだから!」
照れ隠しのようにそっぽを向いて言うメリア。
「はい! わかりました!」
グラーツの笑顔が眩しい。
彼の大きな手がメリアの肩に置かれる。
そのまま抱き寄せられ、キスされた。
「ちょっ……」
「メリア。今からデータをとりましょう。できたらこのセットアップを着てもらって、着心地も聞きたいんですが」
「え」
話が急すぎない?
「それから……」
グラーツはメリアの耳元に唇を寄せ、熱く囁く。
「あなたに注いで、注ぎまくりたいんです。あの日以来あなたに会ってなくて、会いたくて会いたくて……」
「ば、馬鹿ぁ~」
メリアの顔は真っ赤になる。
「ダメですか?」
「だ、だめじゃない、け、ど……」
恥ずかしいだけで嫌なわけではない。
メリアもグラーツに会いたかったし、その……したい気持ちはあるのだ。
「じゃあ、こんどはちゃんとした下着を作るのよ?」
「これもちゃんとした下着ではあるんですが……」
「それはもういいのっ」
「はいはい」
「はいは一回!」
「はい、メリア」
そして二人は仲良く手を繋ぎ、団長室から行ける小さな仮眠用の部屋へと消えていったのだった。
この後二人は滅茶苦茶データとった。
「あぁん、もうっ、……だめっ」
「まだまだですよ、メリア。あなたの身体のことなら全部知っておきたいですからね。ほら、ここも弱いでしょう?」
「あぁっ、そこぉっ……!」
「メリア団長、例の愛です」
「ぶっ」
グラーツの突然の言葉に、何も飲んでいないのに思わず吹き出してしまうメリア。
「なっ……、あ、あぁ。例のアレね」
「はい。いいデータが取れましたので頑張って作りました」
あの夜、グラーツとの熱いデータとりがあり……、それからというもの彼は今までメリアの前に現れなかったのだ。毎日の下着デリバリーすらなかった。
どうやらあれでとったデータから新作下着を作っていたらしい。
「……ふむ。どれどれ……」
あれだけ苦労してとったデータで作った下着である。さぞかし素晴らしいものに違いない。
メリアはわくわくしながら手渡されたリボン付きの袋を開ける。
……が。
「なにこれ」
「メリアはナイスバディですからね。余裕を持たせてみたんです。それから下着をしたまましやすいように露出させる面積を増やすという逆転の発想を――」
「これ紐じゃないのよー!」
メリアはその紐、否、ショーツをびよーんと両手で伸ばしてみせる。
美しいレースとフリルでできたショーツであはあるが、なにぶんレースとフリルしかない。布地がないのだ。ブラジャーも同じだ。レースとフリル、その二つしかない潔さは潔いといえば潔い。
「違います、決してそうじゃありません! 着てみて下さい。そうすればこれが神の頂へ登り始めたセットアッ――ぶっ」
うめくグラーツ。
メリアが紐パンと紐ブラをぐいっとグラーツのイケメン顔に押しつけたのだ。
「やり直し! やり直し! やり直し! やり直しなさい!」
「えぇ……自信作なのに……」
「自信作なのに……、じゃないわよ! なんなのこれ! 紐! こんなの着たら丸見えじゃないの!」
「違うんです団長。これは通気性を考えて――」
「やり直し! あんたは愛を少しは隠せ!」
「うぅ……」
シュンとするグラーツ。
まあ、これでも有り余るほどの熱意をかけて作り上げた下着であろうから、あまり否定しまくるのも可哀想かもしれないかも……、なんてメリアとしても思うのだが。
(それにしたってこの数日間私のことほったらかして作ったのがこれって、どうなのよ!?)
ちょっとばかりイラッとしたのも事実である。
「でも、となるとまた一からデータをとらないといけませんが……」
ピク、とメリアの耳が動いた。
「んー、……まあ、それなら付き合ってあげないこともないけど」
「ほんとですか!?」
「ていうかデータとりじゃなくても毎日来なさいよね、あんたは未来の旦那様なんだから!」
照れ隠しのようにそっぽを向いて言うメリア。
「はい! わかりました!」
グラーツの笑顔が眩しい。
彼の大きな手がメリアの肩に置かれる。
そのまま抱き寄せられ、キスされた。
「ちょっ……」
「メリア。今からデータをとりましょう。できたらこのセットアップを着てもらって、着心地も聞きたいんですが」
「え」
話が急すぎない?
「それから……」
グラーツはメリアの耳元に唇を寄せ、熱く囁く。
「あなたに注いで、注ぎまくりたいんです。あの日以来あなたに会ってなくて、会いたくて会いたくて……」
「ば、馬鹿ぁ~」
メリアの顔は真っ赤になる。
「ダメですか?」
「だ、だめじゃない、け、ど……」
恥ずかしいだけで嫌なわけではない。
メリアもグラーツに会いたかったし、その……したい気持ちはあるのだ。
「じゃあ、こんどはちゃんとした下着を作るのよ?」
「これもちゃんとした下着ではあるんですが……」
「それはもういいのっ」
「はいはい」
「はいは一回!」
「はい、メリア」
そして二人は仲良く手を繋ぎ、団長室から行ける小さな仮眠用の部屋へと消えていったのだった。
この後二人は滅茶苦茶データとった。
「あぁん、もうっ、……だめっ」
「まだまだですよ、メリア。あなたの身体のことなら全部知っておきたいですからね。ほら、ここも弱いでしょう?」
「あぁっ、そこぉっ……!」
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はじめまして(*´ω`*)
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