オッドアイと恋の色

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第一話 お昼休みと真実

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   憂鬱な午前の授業が終わった後の昼休み。クラスの人たちが各々グループでごはんを食べたりしている中、俺は一人、中庭でコンビニ弁当を食べていた。
 俺の家は両親が共働きなので、弁当を作ってくれる人がおらず、入学当初は自分で弁当を作っていいたものの、途中で面倒臭くなってやめてしまった。
 まぁ、自分で弁当を作った所で冷食ばっかりになってしまうので、結局はコンビニ弁当と栄養価も値段も変わらなかったりする。
 そんなことを考えながらコンビニ弁当をつついていると
「隣、良い?」
 背後から聞き覚えのある声が聞こえてきた。
 俺は振り返り顔を確認する。
 内心の予想は的中、昨日スマホを拾ってくれた子だ。
 カラコンを入れているのか、今日は両目とも黒色だった。
 と言っても昨日たまたまカラコンを入れていただけかもしれないので、本当にこの子がオッドアイなのかは定かではない。むしろオッドアイじゃなくなった事で奇抜な銀色の髪の毛へと意識が行ってしまう。
 うちの高校は髪を染めちゃいけないという校則は無いため、ちらほらと髪を染めている人は見かけるのだが、いっても金髪とか茶髪だ。
 流石に銀髪は初めて見た。
 またも彼女に呆気にとられていると、俺の返事を待つことなく隣に座りこみペットボトルのお茶を勢いよくあおった。
 何の目的で隣に座っているのかは謎だが、昨日スマホを拾ってくれた恩もあるし無下には出来ない。
 あれ? なんか俺立場弱くなってないか?
 そんな疑問が頭をよぎった瞬間、再度彼女が口を開いた。
「昨日の事、聞かないんだね」
 昨日の事とは察するにオッドアイの事だろうか。
 ここでしらを切るのもアリっちゃアリなのだろうが、多分嘘をついたとしても彼女の事は騙しきれないと思う。なら素直に話すほかないだろう。
 素直になると言いつつも、一応保険を入れておく。オッドアイ自体、俺の勘違いって線も捨てきれないし。
「昨日の事ってスマホの事?」
「いや、そっちじゃなくて」
 彼女は首を軽く横に振る。
「じゃあ君の目の事か」
「やっぱりバレちゃってたか」
「いやまぁ、ガッツリと」
 彼女は少しほっとした顔をして肩の力を抜いた。
「もうこの際だから遠慮なく聞いちゃうけど、あれってカラコンとかでは無いんだよな?」
「常日頃からあんな派手なカラコンしないよ。普通」
「て事は君はやっぱり」
「そう、私はオッドアイ。しかも色が特殊だから目立っちゃうんだよね」
「特殊って、黒と碧だったらありそうな気はするけどな。それより俺は髪の毛の方が俺は気になったけどな」
「あーこの髪色ね。カラコン外した時一番私に似合う色なんだよ」
「そうか? 左が碧で右が黒なら別に黒髪とかでも似合うと思うぞ?」
 俺がそう言うと少しきょとんとした後、くすっと笑って右目に手をかけた。
 そして彼女は右目に付けていたカラコンを外すと、今まで黒色だったはずの瞳が光を反射するほどの綺麗な琥珀色へと早変わりした。
「私は左目が碧、右が琥珀色。日本人とは程遠いい色なんだよ」
「俺が昨日君を見たときは左側だけカラコンが外れている状態だったって訳か」
「そゆこと。そしてまだ問題はあるんだよね」
「お前、前世でどんな事したんだよ」
「私色盲なんだよね。しかも一色覚」
 俺のツッコミをスルーし彼女はにへっと笑いながらそう答えた。
 聞いてるこっちからしたら笑い話なんかじゃ無い。
 俺も専門家って訳では無いのでそこまで詳しくは知らないのだが、色盲について少しだけネットの記事で見たことがある。
 簡単に説明すると他人より色の区別できなかったりするって病気らしい。
「色盲ってのは何となくわかるが、一色覚って言うのはなんだ?」
 聞きなれない単語に俺は疑問符を浮かべる。
 彼女はん~っと頭を悩ませた後
「全ての色が白黒に見えるって言ったら伝わるかな?」
 と少し難しそうな顔をしながら答えてくれた。
 俺は正直何を言って良いのか分からず、食いかけのコンビニ弁当へと視線を落とす。
「なんで君がそんな顔してるのさ」
「いや、何ていうか色々大変だなって」
「まぁ、大変っちゃ大変だけど慣れたかな。カラコンを付けてればオッドアイって事もばれないしね。君にはバレちゃったけど」
「あれは君がカラコンをちゃんと付けてれば起こらなかった事だ」
「私がカラコン落とした理由、君を追いかけてたからなんだけどね」
「そ、そうだったのか。それは悪かった」
「別に良いよ謝らなくたって」
 彼女は俺を小馬鹿にするかのようにクスっと笑い、その場に立ち上がった。
「それじゃあ、私は教室戻るね」
「ん、ああ」
「あ、そういえば私達お互いの名前知らなかったよね」
「あー確かに。完全スルーでここまで会話してたな」
「私は2年2組、七色恋珀なないろこはく。君は?」
「俺は2年3組、色与碧斗しきよあおと。よろしく」
「それと、私の秘密誰にも言わないでね?」
「言わないよ」
「そっか、それなら良かった。それじゃまた」
 彼女は満足した顔で玄関口へと走って行った。
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