オッドアイと恋の色

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プロローグ オッドアイと恋の色

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 俺はいつもどおり、寂れた駅のホームで一人電車を待っていた。
 俺の通っている高校は俺の住んでいる所から少しばかり遠く、電車を何回か乗り換えしなければならないのだ。
おかげで中学校からの友達はみんな近場の違う高校に行ってしまい、二年生になった今でも俺に友達と呼べる存在少なかった。
 俺は電車がつくまでの待ち時間、スマホでも弄ろうとポケットを探る。
 が、ポケットの中には財布しか入っておらず、スマホが見当たらない。
 鞄の中に入れたのかと探したが入っていない。
 完全に落とした。
 ここから学校までの電車の中で落としているとしたら、一旦家に帰って各駅に電話すれば見つかるかもしれない。
 だが電車の中で落としたとは限らない。となると、ここは一回学校まで引き返して道中で落として無いか探すしかない。
 俺はくるっと身を翻し、来た道を確認しながら歩いていると、向かえの方から全力疾走してくる人影が見えた。
 その人影は俺の前で減速して止まった。
 その人影、いや女子高生らしき少女はハァハァと息を切らしながら俺の前に黒いスマホを差し出してきた。
 俺のスマホだ。
 何故この子が?と疑問に思ったがその疑問は彼女の言葉によって解決した。
「これ、お、落としてた」
 俺が落としたのを見つけて追いかけて来てくれたのだろう。
「ありがとう。ちょうど探し、て」
 俺は彼女の目を見た瞬間、声が途切れ途切れになってしまった。
 何故なら彼女の目は左右で色が違ったからだ。世に言うオッドアイというやつだ。
 彼女は左目だけが碧色になって、右目は俺たちと同じ黒色をしていた。
 カラコンと言う説もあるが、流石にこんな田舎にカラコンつけて歩きまわる人はいないと思う。多分。
 ていうかこの子、俺と同じ制服を着ているので同じ学校の子なのだろうか。オッドアイの子なんて見たことも聞いたこともない。
「ど、どうしたの?」
「い、いや、何でもない」
 触れて良いのかダメなのか分からないので、見て見ぬふりをする。
「そ、そう。それじゃあ私は」
「え、あ、ああ」
 情けない返事をした俺に見向きもせず、彼女は俺スマホを渡すと、来た道を戻って行ってしまった。
 不思議な子だなと思いつつも、俺は渡されたスマホを今度こそ落とさないように鞄の中に入れ、電車に乗り込み帰路につくのだった。
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