5 / 15
5
しおりを挟む
俺ことバトラー・アルキメデスが契約期間を2年と定めたことには訳があった。
1年では懐妊できないかもしれないが、2年もあれば、毎晩すれば、いずれ時間の問題で懐妊すると思っていたのだが……。
それにバーバラは覚えていないだろうが、あの夜、バーバラは俺に「責任を取れ」と言ったのに、結婚以来、ずっと初夜を拒み続けている。
実際、面と向かって断られていない分だけまだマシなのだろうか?
白い結婚狙いか……?白い結婚で俺と離婚して、金貨10万枚を手に入れ、その後はもっと自由な人生を送るというわけか?
金のことは、やはり言わなければよかったのかもしれない。でもあの時は、そうでも言わないと結婚してもらえなかったから。
でも閨事以外の王妃としての仕事は完璧にこなす。
だから文句のつけようがない。はた目からは俺を立て、仲睦まじい姿を演じてくれる。
なぜこんなことになってしまったのだろう。初夜の時、妻の部屋へ行こうとしたら中から施錠されていた。
結婚式の夜から、一度も妻の部屋へ行けずにいる。
後宮へ行くといつも必ず、従姉弟の王女が出迎え……俺はあいつの顔を見るだけで萎えてしまう。
それに幼い時に会った従姉弟とは面影が全然違うのだ。似ても似つかないと言うのは、このこと。髪の色も目の色が全然違う。
幼い時の記憶では、紺色の髪に紺色の目だったはずなのに、今、目の前にいる女は叔父と同じブラウン髪とブラウン眼だ。
だからこの女を俺は、ニセモノだと疑っている。
叔父は戦争で負けて、自分の首を差し出す代わりに娘のニセモノを仕立て上げ、この女を妻にするよう求めてきたのだが、妻は却下、それならば人質か性奴隷にでも、といわれ渋々承諾したのだ。
もし、ホンモノの従姉弟だったとしても、俺には近親相姦の趣味はない。コイツが来たとき、家臣に下賜するつもりでいたが、そうなると後宮の維持がままならず仕方なく女官として後宮に住まわせているだけ。
それなのに、後宮へ行けば必ずこの女が出張ってくる。鬱陶しい。俺は妻を抱きたいだけなのに。妻の部屋へ案内されず、いつもお茶を飲み帰るだけ。
一度、強く妻への面会をしたけども、それも無視と言うか?
「王妃殿下は風邪で臥せっておられます。」
昼間、公務で出会ったときは元気だったのに……。つまり閨は俺と共にしたくないという意思表示だと思い込んでいた。
もう残すところ、後3か月しかないではないか!
このまま何もせず、ただ金貨100000枚支払って、終わりにするつもりなどない!
金貨は全額耳をそろえて支払うが、その前に今度の視察旅行に王妃の同行を命令する。
1年では懐妊できないかもしれないが、2年もあれば、毎晩すれば、いずれ時間の問題で懐妊すると思っていたのだが……。
それにバーバラは覚えていないだろうが、あの夜、バーバラは俺に「責任を取れ」と言ったのに、結婚以来、ずっと初夜を拒み続けている。
実際、面と向かって断られていない分だけまだマシなのだろうか?
白い結婚狙いか……?白い結婚で俺と離婚して、金貨10万枚を手に入れ、その後はもっと自由な人生を送るというわけか?
金のことは、やはり言わなければよかったのかもしれない。でもあの時は、そうでも言わないと結婚してもらえなかったから。
でも閨事以外の王妃としての仕事は完璧にこなす。
だから文句のつけようがない。はた目からは俺を立て、仲睦まじい姿を演じてくれる。
なぜこんなことになってしまったのだろう。初夜の時、妻の部屋へ行こうとしたら中から施錠されていた。
結婚式の夜から、一度も妻の部屋へ行けずにいる。
後宮へ行くといつも必ず、従姉弟の王女が出迎え……俺はあいつの顔を見るだけで萎えてしまう。
それに幼い時に会った従姉弟とは面影が全然違うのだ。似ても似つかないと言うのは、このこと。髪の色も目の色が全然違う。
幼い時の記憶では、紺色の髪に紺色の目だったはずなのに、今、目の前にいる女は叔父と同じブラウン髪とブラウン眼だ。
だからこの女を俺は、ニセモノだと疑っている。
叔父は戦争で負けて、自分の首を差し出す代わりに娘のニセモノを仕立て上げ、この女を妻にするよう求めてきたのだが、妻は却下、それならば人質か性奴隷にでも、といわれ渋々承諾したのだ。
もし、ホンモノの従姉弟だったとしても、俺には近親相姦の趣味はない。コイツが来たとき、家臣に下賜するつもりでいたが、そうなると後宮の維持がままならず仕方なく女官として後宮に住まわせているだけ。
それなのに、後宮へ行けば必ずこの女が出張ってくる。鬱陶しい。俺は妻を抱きたいだけなのに。妻の部屋へ案内されず、いつもお茶を飲み帰るだけ。
一度、強く妻への面会をしたけども、それも無視と言うか?
「王妃殿下は風邪で臥せっておられます。」
昼間、公務で出会ったときは元気だったのに……。つまり閨は俺と共にしたくないという意思表示だと思い込んでいた。
もう残すところ、後3か月しかないではないか!
このまま何もせず、ただ金貨100000枚支払って、終わりにするつもりなどない!
金貨は全額耳をそろえて支払うが、その前に今度の視察旅行に王妃の同行を命令する。
0
お気に入りに追加
85
あなたにおすすめの小説
その婚約破棄、本当に大丈夫ですか?
佐倉穂波
恋愛
「僕は“真実の愛”を見つけたんだ。意地悪をするような君との婚約は破棄する!」
テンプレートのような婚約破棄のセリフを聞いたフェリスの反応は?
よくある「婚約破棄」のお話。
勢いのまま書いた短い物語です。
カテゴリーを児童書にしていたのですが、投稿ガイドラインを確認したら「婚約破棄」はカテゴリーエラーと記載されていたので、恋愛に変更しました。
八十年目の恋〜タイと日本の大福餅〜
十夢矢夢君(とむやむくん)
恋愛
太平洋戦争末期、一人の日本の陸軍軍医と駐屯地で出会ったタイ人女性が、ひょんなことから日本の和菓子『大福餅』を通して織りなす愛と友情の物語。彼らが生きた時代から八十余年を経て、その絆は今、新たな形で再び紡がれる――物語の舞台は第二次世界大戦の最中と現在のタイ王国。「二つの国を繋ぐ絆」と「新たな人生への挑戦」過去と現在が交錯する中で描かれる心温まる実話を基にしたヒューマンストーリー。
悪役令嬢にざまぁされた王子のその後
柚木崎 史乃
ファンタジー
王子アルフレッドは、婚約者である侯爵令嬢レティシアに窃盗の濡れ衣を着せ陥れようとした罪で父王から廃嫡を言い渡され、国外に追放された。
その後、炭鉱の町で鉱夫として働くアルフレッドは反省するどころかレティシアや彼女の味方をした弟への恨みを募らせていく。
そんなある日、アルフレッドは行く当てのない訳ありの少女マリエルを拾う。
マリエルを養子として迎え、共に生活するうちにアルフレッドはやがて自身の過去の過ちを猛省するようになり改心していった。
人生がいい方向に変わったように見えたが……平穏な生活は長く続かず、事態は思わぬ方向へ動き出したのだった。
瀬野の短編集「恋愛」
瀬野凜花
恋愛
現代恋愛の作品の短編集です。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
『臆病な僕ときみの嘘』
「ねえ、ヒロ。4月の1日に一緒に出かけない?」
きみとの約束の日はエイプリルフールだった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
『私の歌声をもう一度、 あなたに届けたい。』
歌手として活動しているKiRaこと青木蘭は、声帯から石化が全身に広がっていく病気になってしまった。
声帯を失っても、私の歌声がこの世に残りますように。
エブリスタ様では一作品ずつ投稿しています。
私達、政略結婚ですから。
黎
恋愛
オルヒデーエは、来月ザイデルバスト王子との結婚を控えていた。しかし2年前に王宮に来て以来、王子とはろくに会わず話もしない。一方で1年前現れたレディ・トゥルペは、王子に指輪を贈られ、二人きりで会ってもいる。王子に自分達の関係性を問いただすも「政略結婚だが」と知らん顔、レディ・トゥルペも、オルヒデーエに向かって「政略結婚ですから」としたり顔。半年前からは、レディ・トゥルペに数々の嫌がらせをしたという噂まで流れていた。
それが罪状として読み上げられる中、オルヒデーエは王子との数少ない思い出を振り返り、その処断を待つ。
山に捨てられた令嬢! 私のスキルは結界なのに、王都がどうなっても、もう知りません!
甘い秋空
恋愛
婚約を破棄されて、山に捨てられました! 私のスキルは結界なので、私を王都の外に出せば、王都は結界が無くなりますよ? もう、どうなっても知りませんから! え? 助けに来たのは・・・
護国の聖女、婚約破棄の上、国外追放される。〜もう護らなくていいんですね〜
ココちゃん
恋愛
平民出身と蔑まれつつも、聖女として10年間一人で護国の大結界を維持してきたジルヴァラは、学園の卒業式で、冤罪を理由に第一王子に婚約を破棄され、国外追放されてしまう。
護国の大結界は、聖女が結界の外に出た瞬間、消滅してしまうけれど、王子の新しい婚約者さんが次の聖女だっていうし大丈夫だよね。
がんばれ。
…テンプレ聖女モノです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる