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気持ちよく目覚めた朝、なぜかわたくしは生まれたままの格好で寝ていた。え?前夜、婚約破棄されてヤケ酒を呷って、……その後の記憶が一切ない。
ベッドの横に眠っている男に心当たりがない。まさか!?見知らぬ男にお持ち帰りされた?
前世から考えても、……その……男性経験が少ないわたくしが襲われた!?
何を隠そう、このわたくしは前世ニッポンのおばちゃん喪女なのだ。なんで死んだのかわからないけど、とにかく気づいたらこのカラダに入ってたってわけ。
前世、一度だけ結婚して、初夜の時にたった1回だけ夫に抱かれ、その後は死ぬまで一度もなかったというのに。
そうだ前世は会社社長の令嬢で、夫は次期社長の座を狙いわたくしを欲しただけ。父は私たちが結婚して、あっという間に癌で死去。
会社は夫のものになり、私は形式上の妻で夫には外に愛人が何人もいたんだっけ。
前世の記憶をいくら思い出そうとしても、そこまでしか思い出せない。初夜の1回だけでは懐妊できないから、子供も産まずに死んだのだろう。
いや、欲求不満すぎて、襲ってたりして……据え膳だから、食べただけかもしれないし、とにかくこの場から逃げよう。
それにしても隣で寝ている男は、綺麗な顔をしている。いわゆるイケメンでカラダも腹筋が割れている美しく逞しいカラダ、さぞかし昨夜は燃えただろうね。なんて考えている場合ではない!
急いで着替えて、もうコルセットもつけないままハイヒールを持ち、抜き足差し足で部屋から出て行く。
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
昨夜のパーティでのこと
「伯爵令嬢バーバラ・メルセデス!貴様との婚約は今宵をもって破棄するものとする。」
高らかに宣言されたお相手、わたくしの元婚約者はハーバネス公爵様で、わたくしはハーバネス様のお屋敷に行儀見習いに行ったときに、ハーバネス様から一目惚れをされて、婚約者に収まったというわけです。
決まり文句が「バーバラ嬢のことを一生大切にします。」だったから、前世より大切にしてもらえるならと婚約を承知したのだ。
「わかりましたわ。そう致しましょう。ハーバネス公爵様。」
「やはり何もお聞きにならないのですね。今、改めてバーバラ嬢のお気持ちが思い知らされました。バーバラ嬢は、私のことなど一度も愛してくださらないということを、これからは別の女性を愛したいと思います。」
「ハーバネス様は、わたくしのことを愛してくださったのでございますか?」
「もちろんです。ですが、バーバラ嬢は私とは……私の愛を受け入れてくださらなかった。」
「そうでございますか……、では将来出会うであろう別の女性と末永くお幸せに。」
「バーバラ嬢もどうかお幸せに。」
踵を返し、バルコニーへ出たら、ウエイターがお盆いっぱいにアルコールのグラスを持っていたので、お盆ごとここに置くように指示を出し、そこからはヤケ酒を煽りまくったのだ。
「冗談じゃねぇや!ばかやろう。何が愛だ、恋だ!?そんなものでメシが食えるか?」
「な~にが幸せにだ!ハナから婚約破棄したいだけで勝手なことをベラベラ言いやがって。男ってのは、ったく!生意気な!」
お盆一杯並んでいたグラスがあっという間に空っぽになり、またウエイターを呼び寄せ、お盆を置いてもらったのだ。
「あ~♪極楽、極楽。やっぱイヤなことがあった時は、お酒を飲むのが一番だわ。」
「早く家に帰って、寝るとするか……。」
そこでグラグラと急に酔いが回ってきて、地震?ってことないわな?
誰かにお姫様抱っこされていたような気がする?暖かくて広い胸だった……。
ベッドの横に眠っている男に心当たりがない。まさか!?見知らぬ男にお持ち帰りされた?
前世から考えても、……その……男性経験が少ないわたくしが襲われた!?
何を隠そう、このわたくしは前世ニッポンのおばちゃん喪女なのだ。なんで死んだのかわからないけど、とにかく気づいたらこのカラダに入ってたってわけ。
前世、一度だけ結婚して、初夜の時にたった1回だけ夫に抱かれ、その後は死ぬまで一度もなかったというのに。
そうだ前世は会社社長の令嬢で、夫は次期社長の座を狙いわたくしを欲しただけ。父は私たちが結婚して、あっという間に癌で死去。
会社は夫のものになり、私は形式上の妻で夫には外に愛人が何人もいたんだっけ。
前世の記憶をいくら思い出そうとしても、そこまでしか思い出せない。初夜の1回だけでは懐妊できないから、子供も産まずに死んだのだろう。
いや、欲求不満すぎて、襲ってたりして……据え膳だから、食べただけかもしれないし、とにかくこの場から逃げよう。
それにしても隣で寝ている男は、綺麗な顔をしている。いわゆるイケメンでカラダも腹筋が割れている美しく逞しいカラダ、さぞかし昨夜は燃えただろうね。なんて考えている場合ではない!
急いで着替えて、もうコルセットもつけないままハイヒールを持ち、抜き足差し足で部屋から出て行く。
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昨夜のパーティでのこと
「伯爵令嬢バーバラ・メルセデス!貴様との婚約は今宵をもって破棄するものとする。」
高らかに宣言されたお相手、わたくしの元婚約者はハーバネス公爵様で、わたくしはハーバネス様のお屋敷に行儀見習いに行ったときに、ハーバネス様から一目惚れをされて、婚約者に収まったというわけです。
決まり文句が「バーバラ嬢のことを一生大切にします。」だったから、前世より大切にしてもらえるならと婚約を承知したのだ。
「わかりましたわ。そう致しましょう。ハーバネス公爵様。」
「やはり何もお聞きにならないのですね。今、改めてバーバラ嬢のお気持ちが思い知らされました。バーバラ嬢は、私のことなど一度も愛してくださらないということを、これからは別の女性を愛したいと思います。」
「ハーバネス様は、わたくしのことを愛してくださったのでございますか?」
「もちろんです。ですが、バーバラ嬢は私とは……私の愛を受け入れてくださらなかった。」
「そうでございますか……、では将来出会うであろう別の女性と末永くお幸せに。」
「バーバラ嬢もどうかお幸せに。」
踵を返し、バルコニーへ出たら、ウエイターがお盆いっぱいにアルコールのグラスを持っていたので、お盆ごとここに置くように指示を出し、そこからはヤケ酒を煽りまくったのだ。
「冗談じゃねぇや!ばかやろう。何が愛だ、恋だ!?そんなものでメシが食えるか?」
「な~にが幸せにだ!ハナから婚約破棄したいだけで勝手なことをベラベラ言いやがって。男ってのは、ったく!生意気な!」
お盆一杯並んでいたグラスがあっという間に空っぽになり、またウエイターを呼び寄せ、お盆を置いてもらったのだ。
「あ~♪極楽、極楽。やっぱイヤなことがあった時は、お酒を飲むのが一番だわ。」
「早く家に帰って、寝るとするか……。」
そこでグラグラと急に酔いが回ってきて、地震?ってことないわな?
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