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女神の化身
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王都にある王立魔法学園での卒業記念祝賀パーティでのこと。
「公爵令嬢マリアンヌ・ドヌーヴ、貴様との婚約は今、この時をもって破棄させてもらうこととする。」
高らかに宣言されたのは、ウィリアム・ランバース王太子殿下であらせられます。
「え?なぜでございましょうか?わたくしになにか落ち度がございましたでしょうか?」
「何を言っている?しらばっくれるのか?その方は、学園の図書室の書庫で男と乳繰り合っていたそうではないか?」
「は?男とは?どなたとでございましょうか?わたくしには、身に覚えがございません。」
「証人もおるぞ、男爵令嬢のリリアーヌ嬢が一部始終を見ていたのである。」
実は、書庫でイチャイチャしていたのは、リリアーヌのほうであったのだが、その相手の男性がリリアーヌを弄ぶだけ弄んで捨てたのであった。それに腹を立てたので、相手の男もろとも国外追放にしてもらおうと、ウィリアム王太子に泣きついたのであった。ウィリアムとは、もちろんカラダで誑し込んだのだが、ウィリアムは、自分は浮気しておきながら、婚約者の浮気は一切認めないタイプの男であったのだ。
相手の男性は、リリアーヌとは名前を出さなかったが、図書室の書庫での行為を認めたため、すでに牢の中に入っていたのである。
「ですから、わたくしは無実でございます。わたくしは、今まで図書室に行ったことはございますが、書庫などへは、一度も行っておりません。」
「相手の男は認めているのだぞ。さっさと観念いたせ、この浮気者。」
「わたくしは、断じてそのようなことをいたしておりませんわ。お相手の男性とは、どなたのことでしょうか?」
「強情な女だ。相手は騎士団長の息子でロベルタ・チェンバレンだ。」
「誰ですか?その方とは、一面識もありませんわ。」
「は?そこまでしらばっくれるのか?よい。公爵令嬢マリアンヌ・ドヌーヴはその男もろとも国外追放といたす。引っ立てぃ!」
マリアンヌは、後ろ手に縛られたまま、罪人用の馬車に乗せられ、国境付近で降ろされた。あとから、初対面のロベルタ・チェンバレンも来たのだが、お互い本当に初対面で、
「はじめまして。」と挨拶している有り様に、ランバースの兵士も御者も首をかしげている。
ドヌーヴ公爵家から、王家に抗議がすぐ入り、魔法学園の図書室の映像を調べたところイチャついていたのは、確かに男はロベルタ・チェンバレンであったが、女のほうは、リリアーヌであることが判明したのである。
マリアンヌを陥れた罪で、リリアーヌは死罪となるが、いくら国境付近を念入りに調べてもマリアンヌの行方はわからなかったのである。
その頃、マリアンヌは、ロベルタを護衛とし、隣国マウスレイクの王都までたどり着いていたのである。
マリアンヌは、ロベルタからすべてを聞き、リリアーヌに陥れられたことを知ったのだ。どうせウィリアムは誑し込まれたのであろう。でも無実だといくら訴えても聞き入れなかったウィリアムには、愛想が尽きた。土下座して謝られたところで許す気などない。土下座するかどうかは、わからないけどね。
王都の教会に来ている。今日はここで泊まらせてもらうつもりでいる。これから、二人は冒険者登録をして、と思っていたのだが、今日の宿がない。それで教会で一夜の宿を乞うつもりで、後は掃除など何でもするつもりでいる。
先に冒険者登録をしても良かったのだが、宿をまず、確保したいと思ったから。
教会関係者に訳を話すと、水晶玉で罪の深さを判定すると言われ、それに合格すれば無料で泊めてあげるが、もし不備が起きたら働いて宿代を払ってもらうと言われ、少々おっかなびっくりで水晶玉判定を受けることになったのだ。
ロベルタは、リリアーヌとのことがあったから、ほとんど諦めていて、もう判定前にもかかわらず、箒を手にしている。
先に、マリアンヌから手をかざすことにしたのだ。ロベルタからなんて、とてもかわいそうで見ていられなかったので。
では、深呼吸をして心を無にしてから、と言われ言う通りに、深呼吸して水晶玉に手をかざすと、水晶玉はきらきらと反応する。これが噂の?と思っていたら、その後、ピッカーンと強烈に光ったかと思うと金色にいつまでも光り輝き続けたのである。
教会は騒然となった。一夜の宿を求めに来た旅人の女のほうが、聖女様であったのだ。神は時々こういういたずらをされると言われていたが、真実だったのかもしれない。
我々の神を尊敬するという信心を試していらっしゃるのだ。
旅人の女性は、おそらく聖女のふりをした女神様なのであろう。
信心深い自分には、わかるのだ。
その場にいた全員が平伏して、跪く。
「今日、泊めていただいてもよろしいですか?」
「もちろんです。女神様。」
「は?めがみ?」
「女神様が方便で、いらしているのでしょう?わかっておりますとも、誰にも申しません。こちらは、女神さまの眷属様でいらっしゃいますか?ご立派な体格をなさっておいでですから、すぐにわかりましたとも。」
とにかく、そうじしなくても泊めてもらえたので、よかった?女神の名前を騙った詐欺だと言われないかヒヤヒヤする。
翌日、冒険者ギルドへ行こうとしたら、引き留められ、国王陛下との謁見が用意されていた。
仕方がない。バレた時はバレた時だと思い、腹をくくって謁見の間に入った。
マリアンヌは自分では気が付いていなかったが、昨日からずっと光り輝いている。知らない人が見たら、まさしく女神さまの化身としてしか見えないだろう。
「見事じゃ。ランバース国の公爵令嬢として生きてこられたお役目ご苦労である。マリアンヌ・ドヌーヴ嬢、どうか、末永く我が国に逗留してもらえないだろうか?そなたさえよければ、我が国の王太子と結婚してほしい。女神さまの化身であるから、いずれはこの地を去られるかもしれない。だが、それまでこの国で民とともに幸せを祈ってほしいのだ。」
また、女神さまの化身、眷属とかいうたいそうなものに間違われて困惑している。マリアンヌとロベルタ。
ランバース国にも知らせが行き、
「我が国の聖女様を返せ。」と打電するも
「その聖女様を追放したのは、どこの国だ?」
逆に反論されてしまい、グゥの音も出ない。
ランバース国では、ウィリアム王太子殿下の責任追及が始まる。
こともあろうに、マウスレイク国では、聖女様扱いではなく、女神の化身として敬われている婚約者を男爵令嬢の言いなりになって、国外追放してしまうなど、これほどの愚か者は見たことがない。
「俺は、騙されていただけだ。」
そんな言い訳は通用しない。廃嫡だけでは済まないだろう。聖女としての反応が出るのは、純潔の証であるから、まったくの冤罪で国外追放にした罪はあまりにも大きすぎる。良くて廃籍、王籍を抜かれ、平民落ちか国外追放もしくは死罪の可能性もある。
ドヌーヴ公爵は、とにかくマリアンヌを迎えに?会いに?マウスレイク国へ旅立つ。
運よくマリアンヌに出会えたドヌーヴ公爵は驚く。まさに女神の化身とも言うべき、後光がさしているかのごとき娘の姿があったのだ。
我が娘ながら、その姿を見た途端、思わず跪いてしまったぐらい神々しい姿をしていた。同時にリリアーヌと関係があったロベルタの姿も見違えるほど立派になっていた。
これでは、女神の化身に眷属と思われても仕方がない。納得のいく姿になっていたのだ。実のところ、マリアンヌは昔から少し神がかったところがあり、女神様がたまたまマリアンヌの姿になって、我が娘として、生まれてきてくださったのではないかと思うようになった。
その公爵にマリアンヌが気づき
「お父様!」
「マリアンヌ、ご立派になられましたね。」
「嫌ですわ。お父様まで。」くすくすと笑うマリアンヌは我が娘そのものであるが、見た目が神々しくて眩しすぎる。
「実はね。お父様、この国の王太子殿下からプロポーズされているんだけど、どうしたらいいか困っていますの。」
マリアンヌの父と言うことで、マウスレイク国の国王陛下と会うことが急遽決まってしまう。
マリアンヌどころか、父のドヌーヴ公爵まで、我が国へ来ないかと誘われ、ドヌーヴは承知してしまう。なぜなら、魔法学園でありながら、証拠映像をロクに調べもせず、マリアンヌを国外追放処分にした不信感が募っていたからである。
もう、あのランバース王家とは関わりたくないが本音である。
こうして、ドヌーヴ公爵家は、マウスレイク国へ移住し、マリアンヌは王太子と結婚、ロベルタはマウスレイク国で近衛隊長を務めることになったのである。
ウィリアム王太子はというと、一生涯塔に幽閉されることが決まる。
「公爵令嬢マリアンヌ・ドヌーヴ、貴様との婚約は今、この時をもって破棄させてもらうこととする。」
高らかに宣言されたのは、ウィリアム・ランバース王太子殿下であらせられます。
「え?なぜでございましょうか?わたくしになにか落ち度がございましたでしょうか?」
「何を言っている?しらばっくれるのか?その方は、学園の図書室の書庫で男と乳繰り合っていたそうではないか?」
「は?男とは?どなたとでございましょうか?わたくしには、身に覚えがございません。」
「証人もおるぞ、男爵令嬢のリリアーヌ嬢が一部始終を見ていたのである。」
実は、書庫でイチャイチャしていたのは、リリアーヌのほうであったのだが、その相手の男性がリリアーヌを弄ぶだけ弄んで捨てたのであった。それに腹を立てたので、相手の男もろとも国外追放にしてもらおうと、ウィリアム王太子に泣きついたのであった。ウィリアムとは、もちろんカラダで誑し込んだのだが、ウィリアムは、自分は浮気しておきながら、婚約者の浮気は一切認めないタイプの男であったのだ。
相手の男性は、リリアーヌとは名前を出さなかったが、図書室の書庫での行為を認めたため、すでに牢の中に入っていたのである。
「ですから、わたくしは無実でございます。わたくしは、今まで図書室に行ったことはございますが、書庫などへは、一度も行っておりません。」
「相手の男は認めているのだぞ。さっさと観念いたせ、この浮気者。」
「わたくしは、断じてそのようなことをいたしておりませんわ。お相手の男性とは、どなたのことでしょうか?」
「強情な女だ。相手は騎士団長の息子でロベルタ・チェンバレンだ。」
「誰ですか?その方とは、一面識もありませんわ。」
「は?そこまでしらばっくれるのか?よい。公爵令嬢マリアンヌ・ドヌーヴはその男もろとも国外追放といたす。引っ立てぃ!」
マリアンヌは、後ろ手に縛られたまま、罪人用の馬車に乗せられ、国境付近で降ろされた。あとから、初対面のロベルタ・チェンバレンも来たのだが、お互い本当に初対面で、
「はじめまして。」と挨拶している有り様に、ランバースの兵士も御者も首をかしげている。
ドヌーヴ公爵家から、王家に抗議がすぐ入り、魔法学園の図書室の映像を調べたところイチャついていたのは、確かに男はロベルタ・チェンバレンであったが、女のほうは、リリアーヌであることが判明したのである。
マリアンヌを陥れた罪で、リリアーヌは死罪となるが、いくら国境付近を念入りに調べてもマリアンヌの行方はわからなかったのである。
その頃、マリアンヌは、ロベルタを護衛とし、隣国マウスレイクの王都までたどり着いていたのである。
マリアンヌは、ロベルタからすべてを聞き、リリアーヌに陥れられたことを知ったのだ。どうせウィリアムは誑し込まれたのであろう。でも無実だといくら訴えても聞き入れなかったウィリアムには、愛想が尽きた。土下座して謝られたところで許す気などない。土下座するかどうかは、わからないけどね。
王都の教会に来ている。今日はここで泊まらせてもらうつもりでいる。これから、二人は冒険者登録をして、と思っていたのだが、今日の宿がない。それで教会で一夜の宿を乞うつもりで、後は掃除など何でもするつもりでいる。
先に冒険者登録をしても良かったのだが、宿をまず、確保したいと思ったから。
教会関係者に訳を話すと、水晶玉で罪の深さを判定すると言われ、それに合格すれば無料で泊めてあげるが、もし不備が起きたら働いて宿代を払ってもらうと言われ、少々おっかなびっくりで水晶玉判定を受けることになったのだ。
ロベルタは、リリアーヌとのことがあったから、ほとんど諦めていて、もう判定前にもかかわらず、箒を手にしている。
先に、マリアンヌから手をかざすことにしたのだ。ロベルタからなんて、とてもかわいそうで見ていられなかったので。
では、深呼吸をして心を無にしてから、と言われ言う通りに、深呼吸して水晶玉に手をかざすと、水晶玉はきらきらと反応する。これが噂の?と思っていたら、その後、ピッカーンと強烈に光ったかと思うと金色にいつまでも光り輝き続けたのである。
教会は騒然となった。一夜の宿を求めに来た旅人の女のほうが、聖女様であったのだ。神は時々こういういたずらをされると言われていたが、真実だったのかもしれない。
我々の神を尊敬するという信心を試していらっしゃるのだ。
旅人の女性は、おそらく聖女のふりをした女神様なのであろう。
信心深い自分には、わかるのだ。
その場にいた全員が平伏して、跪く。
「今日、泊めていただいてもよろしいですか?」
「もちろんです。女神様。」
「は?めがみ?」
「女神様が方便で、いらしているのでしょう?わかっておりますとも、誰にも申しません。こちらは、女神さまの眷属様でいらっしゃいますか?ご立派な体格をなさっておいでですから、すぐにわかりましたとも。」
とにかく、そうじしなくても泊めてもらえたので、よかった?女神の名前を騙った詐欺だと言われないかヒヤヒヤする。
翌日、冒険者ギルドへ行こうとしたら、引き留められ、国王陛下との謁見が用意されていた。
仕方がない。バレた時はバレた時だと思い、腹をくくって謁見の間に入った。
マリアンヌは自分では気が付いていなかったが、昨日からずっと光り輝いている。知らない人が見たら、まさしく女神さまの化身としてしか見えないだろう。
「見事じゃ。ランバース国の公爵令嬢として生きてこられたお役目ご苦労である。マリアンヌ・ドヌーヴ嬢、どうか、末永く我が国に逗留してもらえないだろうか?そなたさえよければ、我が国の王太子と結婚してほしい。女神さまの化身であるから、いずれはこの地を去られるかもしれない。だが、それまでこの国で民とともに幸せを祈ってほしいのだ。」
また、女神さまの化身、眷属とかいうたいそうなものに間違われて困惑している。マリアンヌとロベルタ。
ランバース国にも知らせが行き、
「我が国の聖女様を返せ。」と打電するも
「その聖女様を追放したのは、どこの国だ?」
逆に反論されてしまい、グゥの音も出ない。
ランバース国では、ウィリアム王太子殿下の責任追及が始まる。
こともあろうに、マウスレイク国では、聖女様扱いではなく、女神の化身として敬われている婚約者を男爵令嬢の言いなりになって、国外追放してしまうなど、これほどの愚か者は見たことがない。
「俺は、騙されていただけだ。」
そんな言い訳は通用しない。廃嫡だけでは済まないだろう。聖女としての反応が出るのは、純潔の証であるから、まったくの冤罪で国外追放にした罪はあまりにも大きすぎる。良くて廃籍、王籍を抜かれ、平民落ちか国外追放もしくは死罪の可能性もある。
ドヌーヴ公爵は、とにかくマリアンヌを迎えに?会いに?マウスレイク国へ旅立つ。
運よくマリアンヌに出会えたドヌーヴ公爵は驚く。まさに女神の化身とも言うべき、後光がさしているかのごとき娘の姿があったのだ。
我が娘ながら、その姿を見た途端、思わず跪いてしまったぐらい神々しい姿をしていた。同時にリリアーヌと関係があったロベルタの姿も見違えるほど立派になっていた。
これでは、女神の化身に眷属と思われても仕方がない。納得のいく姿になっていたのだ。実のところ、マリアンヌは昔から少し神がかったところがあり、女神様がたまたまマリアンヌの姿になって、我が娘として、生まれてきてくださったのではないかと思うようになった。
その公爵にマリアンヌが気づき
「お父様!」
「マリアンヌ、ご立派になられましたね。」
「嫌ですわ。お父様まで。」くすくすと笑うマリアンヌは我が娘そのものであるが、見た目が神々しくて眩しすぎる。
「実はね。お父様、この国の王太子殿下からプロポーズされているんだけど、どうしたらいいか困っていますの。」
マリアンヌの父と言うことで、マウスレイク国の国王陛下と会うことが急遽決まってしまう。
マリアンヌどころか、父のドヌーヴ公爵まで、我が国へ来ないかと誘われ、ドヌーヴは承知してしまう。なぜなら、魔法学園でありながら、証拠映像をロクに調べもせず、マリアンヌを国外追放処分にした不信感が募っていたからである。
もう、あのランバース王家とは関わりたくないが本音である。
こうして、ドヌーヴ公爵家は、マウスレイク国へ移住し、マリアンヌは王太子と結婚、ロベルタはマウスレイク国で近衛隊長を務めることになったのである。
ウィリアム王太子はというと、一生涯塔に幽閉されることが決まる。
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