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ロリコン変態
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王宮での夜会のひととき
「公爵令嬢アンジェリーヌ、貴様とは今宵をもって婚約破棄とさせてもらおう。」
高らかに宣言されたのは、ブラッドストーン国王、アーチボルト様
「なぜでございますか?」
「此度、聖女様を召喚できることと相成った。よって、その聖女様と結婚するので、そのほうが邪魔になったのだ。許せよ。これも我が国のためである。」
「それはおめでとう存じます。それではわたくしはこれで。」
そそくさと王宮を出ていくアンジェリーヌ、馬車のところまで行き、もう二度とここへは来ないことを誓うのである。
アーチボルトとアンジェリーヌは年齢が親子ほど離れているが、アンジェリーク5歳の時、25歳の国王陛下に見初められて、嫌がるアンジェリークは無理やり婚約者になったのである。だって、お父さんより、年上だったのよ。ロリコンである。気持ち悪い。婚約者になってからは、小さい時限定で、よく一緒にお風呂に入らされた。アンジェリークの体の隅々まで洗ってくれるのだが、その洗い方が超気持ち悪くて、幼いアンジェリークには、トラウマが残るほどキモイ。出るところが出てからは、初潮を迎えるころに、ようやく一緒のお風呂はなくなった。
あれから10年、ようやく解放される。失われた10年間の穴埋めをこれからどうやってしようか、といってもまだアンジェリークは15歳だから、若い。これからいくらでも、楽しいことが待っている。今まで頑張ってきた分、神様がきっと素晴らしい人生を約束してくださるはず。
公爵邸に戻り、ようやく婚約破棄されたことを告げると家族全員でお祝いをしてくれることになった。
「おめでとう。そしておかえり。」
「あの気持ち悪い国王陛下がよく手放してくれたね。おめでとう。」
「もう、一生お嫁にいけないぐらいのことをされたし、もうお嫁に行きたくないわ。」
「あれは、陛下が変態で、普通の男はもっとまともだよ。」
え?陛下を変態呼ばわりしたの誰?まあ、誰でもいいけど、本当に変態だったんだから。新しい聖女様は、大変ね。変態の上行くような聖女様なら申し分ないけど、返品されちゃったら困るから、しっかり聖女様のお役目をしていただかないとね。
父の話によると、聖女召喚は禁忌魔法らしいよ。どこの国も聖女が欲しくて、いろいろやらかし、その代償がとんでもなく恐ろしいものだそうで。両手両足が失われたり、頭から果実の木が生えてきて、カラスに眼玉を抉られたり、それでも聖女様が欲しいのだとか。わからない。アンジェリークは、そこまでの代償を支払ってでも手に入れたい聖女とは?どんな人物だろう。
とにかく聖女様は召喚されたので、これから代償のとばっちりが我が家に来ないようにするためにも一刻も早く、この国から逃げ出すことにしよう。
アンジェリークは、婚約破棄されたので、アンジェリークには、とばっちりはないはず。でもあの変態王のこと、どんな無理難題でも吹っかけてくること間違いなしの国王陛下だから、油断は禁物。
ということで、アンジェリークを一番先に逃がすことを決めた公爵家、荷物をまとめさっさと国境まで馬車を走らせることにする。
公爵家のみんなは、あとから必ず追いかけることを約束して、それぞれが必死になって荷造りをしている。
そして全員が脱出を果たした後、召喚した聖女がとんでもなく年寄りだったことがわかり、髪の毛をヘアカラーしていたので、年齢がわからなかったらしい。60歳ぐらいの病人のオバサンだったので、聖女と間違われて召喚されてしまったらしい。入院している病院のベッドから寝返りを打ったら、転げ落ちてしまった先が異世界魔法陣の上だったらしい。
ロリコン変態国王が、納得するはずもなく、再びアンジェリークにお呼びがかかるが、すでに国境を超えた後だった。
その頃、アンジェリークと公爵家の仲間たちは、隣国でのんびり温泉につかっていた。近くにイイ露天風呂があるとは聞いていたが、本当の話だったとは、思いもよらなかったのである。
温泉から上がって、さっぱりしたので再び、出発する。
しばらく馬車で進むと開けた場所に出る。街があるようで、今日はここで泊まることにする。
聞けば最近、観光客が激減しているそうだ。それで宿屋がつぶれかかっているから何日でも逗留してくれるとありがたいと言われたが、先を急ぐので、悪いが1泊だけ泊めてもらうことにした。
別に先を急いでいるわけではないが、あの変態ロリコンが追いかけてくるかもしれないので、逃げるのに必死なのである。
次の日、土砂降りの雨が降った。1泊だけの予定であったが、雨が降りやむまでの間、逗留することにした。宿屋はホクホクである。
今迄日照り続きで困っていた。そろそろ雨ごいでもしようかと思っていた時に、アンジェリーヌ一行がやってきた。恵の雨の巫女だと称されたが、そういわれても困ると思うアンジェリーヌだったのだ。そういえば、来るとき、土ぼこりで前がかすんで見えていた。
しばらく降り続いた雨がぴたりとやみ、素晴らしい虹が出た時に出発する。かすんでいた景色も雨に濡れて、掃除したてのようにピカピカである。
やがて、教会までたどり着く、今日はここで泊まらせていただけないでしょうか?とお願いに上がった時、ちょうどミサの最中で、もしよろしければ水晶玉判定なさいませんか?と言われ、何気なく水晶玉に手をかざしたら、キラキラ光り出して、この教会で200年ぶりの聖女誕生だと騒がれてしまいました。
アンジェリーヌが聖女であるとの知らせはブラッドストーンに届いたが、変態王は、60歳聖女に説教されて、死に体の有様である。今さら戻って来いとも言えず、後の祭りとはこのことを言う。
「公爵令嬢アンジェリーヌ、貴様とは今宵をもって婚約破棄とさせてもらおう。」
高らかに宣言されたのは、ブラッドストーン国王、アーチボルト様
「なぜでございますか?」
「此度、聖女様を召喚できることと相成った。よって、その聖女様と結婚するので、そのほうが邪魔になったのだ。許せよ。これも我が国のためである。」
「それはおめでとう存じます。それではわたくしはこれで。」
そそくさと王宮を出ていくアンジェリーヌ、馬車のところまで行き、もう二度とここへは来ないことを誓うのである。
アーチボルトとアンジェリーヌは年齢が親子ほど離れているが、アンジェリーク5歳の時、25歳の国王陛下に見初められて、嫌がるアンジェリークは無理やり婚約者になったのである。だって、お父さんより、年上だったのよ。ロリコンである。気持ち悪い。婚約者になってからは、小さい時限定で、よく一緒にお風呂に入らされた。アンジェリークの体の隅々まで洗ってくれるのだが、その洗い方が超気持ち悪くて、幼いアンジェリークには、トラウマが残るほどキモイ。出るところが出てからは、初潮を迎えるころに、ようやく一緒のお風呂はなくなった。
あれから10年、ようやく解放される。失われた10年間の穴埋めをこれからどうやってしようか、といってもまだアンジェリークは15歳だから、若い。これからいくらでも、楽しいことが待っている。今まで頑張ってきた分、神様がきっと素晴らしい人生を約束してくださるはず。
公爵邸に戻り、ようやく婚約破棄されたことを告げると家族全員でお祝いをしてくれることになった。
「おめでとう。そしておかえり。」
「あの気持ち悪い国王陛下がよく手放してくれたね。おめでとう。」
「もう、一生お嫁にいけないぐらいのことをされたし、もうお嫁に行きたくないわ。」
「あれは、陛下が変態で、普通の男はもっとまともだよ。」
え?陛下を変態呼ばわりしたの誰?まあ、誰でもいいけど、本当に変態だったんだから。新しい聖女様は、大変ね。変態の上行くような聖女様なら申し分ないけど、返品されちゃったら困るから、しっかり聖女様のお役目をしていただかないとね。
父の話によると、聖女召喚は禁忌魔法らしいよ。どこの国も聖女が欲しくて、いろいろやらかし、その代償がとんでもなく恐ろしいものだそうで。両手両足が失われたり、頭から果実の木が生えてきて、カラスに眼玉を抉られたり、それでも聖女様が欲しいのだとか。わからない。アンジェリークは、そこまでの代償を支払ってでも手に入れたい聖女とは?どんな人物だろう。
とにかく聖女様は召喚されたので、これから代償のとばっちりが我が家に来ないようにするためにも一刻も早く、この国から逃げ出すことにしよう。
アンジェリークは、婚約破棄されたので、アンジェリークには、とばっちりはないはず。でもあの変態王のこと、どんな無理難題でも吹っかけてくること間違いなしの国王陛下だから、油断は禁物。
ということで、アンジェリークを一番先に逃がすことを決めた公爵家、荷物をまとめさっさと国境まで馬車を走らせることにする。
公爵家のみんなは、あとから必ず追いかけることを約束して、それぞれが必死になって荷造りをしている。
そして全員が脱出を果たした後、召喚した聖女がとんでもなく年寄りだったことがわかり、髪の毛をヘアカラーしていたので、年齢がわからなかったらしい。60歳ぐらいの病人のオバサンだったので、聖女と間違われて召喚されてしまったらしい。入院している病院のベッドから寝返りを打ったら、転げ落ちてしまった先が異世界魔法陣の上だったらしい。
ロリコン変態国王が、納得するはずもなく、再びアンジェリークにお呼びがかかるが、すでに国境を超えた後だった。
その頃、アンジェリークと公爵家の仲間たちは、隣国でのんびり温泉につかっていた。近くにイイ露天風呂があるとは聞いていたが、本当の話だったとは、思いもよらなかったのである。
温泉から上がって、さっぱりしたので再び、出発する。
しばらく馬車で進むと開けた場所に出る。街があるようで、今日はここで泊まることにする。
聞けば最近、観光客が激減しているそうだ。それで宿屋がつぶれかかっているから何日でも逗留してくれるとありがたいと言われたが、先を急ぐので、悪いが1泊だけ泊めてもらうことにした。
別に先を急いでいるわけではないが、あの変態ロリコンが追いかけてくるかもしれないので、逃げるのに必死なのである。
次の日、土砂降りの雨が降った。1泊だけの予定であったが、雨が降りやむまでの間、逗留することにした。宿屋はホクホクである。
今迄日照り続きで困っていた。そろそろ雨ごいでもしようかと思っていた時に、アンジェリーヌ一行がやってきた。恵の雨の巫女だと称されたが、そういわれても困ると思うアンジェリーヌだったのだ。そういえば、来るとき、土ぼこりで前がかすんで見えていた。
しばらく降り続いた雨がぴたりとやみ、素晴らしい虹が出た時に出発する。かすんでいた景色も雨に濡れて、掃除したてのようにピカピカである。
やがて、教会までたどり着く、今日はここで泊まらせていただけないでしょうか?とお願いに上がった時、ちょうどミサの最中で、もしよろしければ水晶玉判定なさいませんか?と言われ、何気なく水晶玉に手をかざしたら、キラキラ光り出して、この教会で200年ぶりの聖女誕生だと騒がれてしまいました。
アンジェリーヌが聖女であるとの知らせはブラッドストーンに届いたが、変態王は、60歳聖女に説教されて、死に体の有様である。今さら戻って来いとも言えず、後の祭りとはこのことを言う。
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