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認定儀式
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聖女認定儀式の前日のこと、王宮で婚約者だった王太子から呼び出され
「公爵令嬢シャルロット、申し訳ないが、聖女と結婚したいので、君との婚約をなかったことにしてほしい。幼い時から政略で婚約したから、君を愛することができないのは、仕方がないが、長きにわたり妃教育、大儀であった。」
たったそれだけ、まだシャルロットが聖女でないと決まったわけでもないのに、それだけの理由で15年間の長きに渡った辛く苦しい妃教育がパァになった瞬間だった。
聖女候補で最も次期聖女として有力者が子爵令嬢のリリアーヌ、勝ち誇った顔とシャルロットに対して、憐みの表情がめっちゃムカつく。
そして、シャルロットの後釜婚約者に、リリアーヌがついた。もし、聖女になってもあの妃教育が待ってるよ、って聖女なら妃教育免除されるの?知らないけど。
もういいや。明日の聖女認定儀式が済めば、自害しようか?それとも隣国へ行き、新たな旦那様を探そうとするか?それとも一生独身で、兄のお世話になるか?それとも修道院に行こうか?いろいろ選択肢がある。
王太子に捨てられた女、という一生モノの傷を負わされたシャルロットの運命やいかに?もう、妃教育も終わっているのだから、何やってもいいよね。
王太子のことは、はっきり言えば嫌いだったのよ。いくら政略結婚とはいえ、シャルロットに優しい言葉ひとつもかけてくれなかった。恨み言のひとつも言えず、ただ聖女候補の有力者でないという理由だけで、あっけなく婚約を破棄されたのだ。
ばかばかしい。明日の聖女認定儀式をすっぽかしてやろうか?どうせ、選ばれなくて、リリアーヌが選ばれて、幸せそうな二人の姿を目にするのは、ばかばかしい。
儀式が済めば、すぐに出国できるように用意を整えておくことにした。
ばかばかしいことも、あっという間に忘れられるだろう。
そして、聖女認定儀式の当日、順番に水晶玉に手をかざしていくことになった。
一番最初に、手をかざすのは、リリアーヌ、これで決まれば、即刻、出国するつもりなのだが、いつまでたっても決まらない。水晶玉がなんにも反応しないのだ。リリアーヌは、ほとんど泣いているが、バカ王太子は慰めもしないで、茫然としている。
あははは。バーカ、べ-だ。次の人も、その次の人も、水晶玉は反応しなかった。もしかしたら、この中に聖女はいないのかしらね、と考え事をしていたら、シャルロットが呼ばれた。もう、出国準備は万端で、手をかざしてダメなら、とっとと馬車に乗って…と、手をかざしたら、……なん…と、水晶玉がキラキラと輝きだして、金色に輝き続けた。
うっそ?その後、大騒ぎになりそうな感じだったので、すぐさま馬車に飛び乗った。
そのまま、シャルロットが乗った馬車は、隣国へ向かったのでした。だって、また、婚約破棄の破棄なんてことになったら、いやだもの。王太子は、はっきりとシャルロットを愛せないと明言したのよ。シャルロットとて、好きでもない王太子と結婚する気はない。
愛のない結婚をするほど、シャルロットもバカではない。シャルロットを心から愛してくれる殿方を見つけるまで、がんばるわ。
シャルロットの実家の公爵家には、王家からの使いやお迎えが来ていたが、シャルロットは、もうこの国から愛想を尽かして出て行ったあとで、混乱する中、父が
「昨日、王太子殿下から婚約破棄を言い渡され、傷心のもと出国いたしました。聖女であったことは、よろこばしいことですが、シャルロットはもう戻ってきません。どうか、お引き取りください。」
王太子は、ガックリと肩を落として帰っていった。
シャルロットの行方は、公爵家でもわからず、彼女がちゃんとした相手を見つけるまでは、わからずじまいのまま2年が過ぎた。
王太子は、聖女に愛想を尽かされたバカ王太子のレッテルを貼られ、廃嫡になった。15年間もの間の婚約者が聖女かどうかも、わからなかったのは大失点だったようだ。
一方、リリアーヌ嬢は、聖女に成りすましたものの水晶玉が反応しなかったことから、偽聖女として罰せられた。
シャルロットは、ようやく一人の女として愛してくれる人が見つかり、幸せな時を過ごしていました。その人は隣国の皇太子殿下で、結婚式の前日、シャルロットが聖女であることを打ち明け、国中がお祝いムードに包まれました。
「公爵令嬢シャルロット、申し訳ないが、聖女と結婚したいので、君との婚約をなかったことにしてほしい。幼い時から政略で婚約したから、君を愛することができないのは、仕方がないが、長きにわたり妃教育、大儀であった。」
たったそれだけ、まだシャルロットが聖女でないと決まったわけでもないのに、それだけの理由で15年間の長きに渡った辛く苦しい妃教育がパァになった瞬間だった。
聖女候補で最も次期聖女として有力者が子爵令嬢のリリアーヌ、勝ち誇った顔とシャルロットに対して、憐みの表情がめっちゃムカつく。
そして、シャルロットの後釜婚約者に、リリアーヌがついた。もし、聖女になってもあの妃教育が待ってるよ、って聖女なら妃教育免除されるの?知らないけど。
もういいや。明日の聖女認定儀式が済めば、自害しようか?それとも隣国へ行き、新たな旦那様を探そうとするか?それとも一生独身で、兄のお世話になるか?それとも修道院に行こうか?いろいろ選択肢がある。
王太子に捨てられた女、という一生モノの傷を負わされたシャルロットの運命やいかに?もう、妃教育も終わっているのだから、何やってもいいよね。
王太子のことは、はっきり言えば嫌いだったのよ。いくら政略結婚とはいえ、シャルロットに優しい言葉ひとつもかけてくれなかった。恨み言のひとつも言えず、ただ聖女候補の有力者でないという理由だけで、あっけなく婚約を破棄されたのだ。
ばかばかしい。明日の聖女認定儀式をすっぽかしてやろうか?どうせ、選ばれなくて、リリアーヌが選ばれて、幸せそうな二人の姿を目にするのは、ばかばかしい。
儀式が済めば、すぐに出国できるように用意を整えておくことにした。
ばかばかしいことも、あっという間に忘れられるだろう。
そして、聖女認定儀式の当日、順番に水晶玉に手をかざしていくことになった。
一番最初に、手をかざすのは、リリアーヌ、これで決まれば、即刻、出国するつもりなのだが、いつまでたっても決まらない。水晶玉がなんにも反応しないのだ。リリアーヌは、ほとんど泣いているが、バカ王太子は慰めもしないで、茫然としている。
あははは。バーカ、べ-だ。次の人も、その次の人も、水晶玉は反応しなかった。もしかしたら、この中に聖女はいないのかしらね、と考え事をしていたら、シャルロットが呼ばれた。もう、出国準備は万端で、手をかざしてダメなら、とっとと馬車に乗って…と、手をかざしたら、……なん…と、水晶玉がキラキラと輝きだして、金色に輝き続けた。
うっそ?その後、大騒ぎになりそうな感じだったので、すぐさま馬車に飛び乗った。
そのまま、シャルロットが乗った馬車は、隣国へ向かったのでした。だって、また、婚約破棄の破棄なんてことになったら、いやだもの。王太子は、はっきりとシャルロットを愛せないと明言したのよ。シャルロットとて、好きでもない王太子と結婚する気はない。
愛のない結婚をするほど、シャルロットもバカではない。シャルロットを心から愛してくれる殿方を見つけるまで、がんばるわ。
シャルロットの実家の公爵家には、王家からの使いやお迎えが来ていたが、シャルロットは、もうこの国から愛想を尽かして出て行ったあとで、混乱する中、父が
「昨日、王太子殿下から婚約破棄を言い渡され、傷心のもと出国いたしました。聖女であったことは、よろこばしいことですが、シャルロットはもう戻ってきません。どうか、お引き取りください。」
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