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4度目の正直 スピンオフ
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王立学園の卒業記念祝賀パーティーでのこと、この日、わたくしシルベーヌは、四度目の断罪がなされる。
一度目は、国外追放になり護衛と夜盗に犯され、凍死。二度目は、魔道具作りに成功して、男爵令嬢リリアーヌの魅了魔法を解いて、王太子と結婚するも、王太子の性癖のために、DVを受け撲死。三度目は、自害。
「公爵令嬢シルベーヌ・スフォンス、貴様とは、今宵をもって婚約破棄するものとする。」
王太子殿下アルフォンス様は、高らかに宣言される。傍らには、男爵令嬢リリアーヌの姿がすでにあり、なんとなく勝ち誇っているようであった。
四度目の人生、毎度毎度、いろいろあって、死んで生まれかわってくるのだけど、2度目は15歳の時だったから魔道具の製作に成功してたし、いろいろ勉強もできた。3度目に生まれ変わったときは、卒業式の前日だったので、ほとんど間に合わず、自害する。4度目に生まれ変わった時は、3歳の頃から生まれ変わったので、そもそも王太子の婚約者になっていない。頑として拒否し続けたのである。もちろん魅了魔法を解除する魔道具は念のため作っているのである。
「恐れながら、アルフォンス殿下、わたくしとの婚約とは、いったい何のことでございましょうか?わたくしと殿下は婚約関係にございませんが?」
「へ?そうであったか?では、俺の婚約者殿はいずこへ?」
「アルフォンス殿下に婚約者様はいらっしゃいません。」
「な、な、なんだとぉ?王太子なのに、婚約者がいないとは、どういうことだ?」
「詳しくは存じ上げませんが、お妃選定会でどなたにも決まらなかったと伺っております。」
「それでは、なぜ貴様は男爵令嬢のリリアーヌを虐めたのか?俺と婚約関係にないにもかかわらず、理由がないではないか?」
「虐めてなどしておりません。第一、そこのリリアーヌ嬢とお会いするのは、今宵が初めてでございますれば、初対面の方をどうやって、虐めることができましょうか?」
「ひどいですわっ!シルベーヌ様は、私の教科書を破ってダメにされましたし、階段から突き落とそうとなさったではありませんか?」
「は?何のことでございましょうか?そもそも、あなた様とはクラスも違いますれば、どんな教科書を使っていらっしゃるかも存じ上げません。」
「そういえば、俺もリリアーヌがどんな教科書を使っていたかも知らないぞ。どんな教科書がダメになったのか、具体的に言ってみてくれ。」
「ひどいです!アルフォンス殿下まで、私を疑っていらっしゃるの?私は、私は、本当にシルベーヌ様に虐められていたのです。」瞳にいっぱい涙をためて、アルフォンス様を上目遣いで見る。
そこで、こっそり、魔道具を発動させるシルベーヌ、こんな茶番に付き合っていられないからである。
たちまちリリアーヌの体から黒い煙が立ち上り、リリアーヌが魅了魔法を使っていることが露見してしまう。
本来の魅了魔法は魔女から5年の寿命(若さ)と引き換えに、魅了魔法を買うのだが、解除後のリリアーヌは5歳どころか、プラス50歳ぐらい年寄りに見える老婆の姿になったのである。
その姿は、来賓の国王陛下をはじめとする王国の重鎮とも呼ばれる他の貴族や、父兄の貴族にも、はっきりわかるほど、どす黒い煙であったため、皆、一様に顔をしかめハンカチで口元を抑えている者までいる。
「わっ!なんだ!リリアーヌ?お前は、魅了魔法を使っていたのか?」」
アルフォンスはすっかり怖気づいて、後ずさりつつ
「な、なによ?アルフォンス、さんざん私の体を好きに弄んでいて、よくそんなことが言えるわね!私と婚約するんでしょう?シルベーヌを国外追放にして、私は将来の国母となるのよ!」
68歳ぐらいの婆を抱いていたのか?趣味が悪すぎる!冷ややかな視線を王太子殿下に向ける他の貴族父兄。
「な、な、なに言っているんだ?この化け物をひっ捕らえよ!衛兵!早くしろ!」
「化け物って、ひどいじゃない?愛しているって言ってよ。いつもみたいに。」
迫るリリアーヌに、「ひっ!」と悲鳴を上げて逃げるアルフォンス。見ていて面白い光景だが、めんどくさい。
そろそろ、と帰り支度をしているシルベーヌに、アルフォンスが縋り付くが、「あなた様とは、何の関係もございません。わたくしには、きちんとした婚約者がおりましてよ。あなた様に引っ付かれたら、迷惑します。」ときっぱり言う。
そして、くるりと振り返り、捨て台詞を吐き、とっとと帰る。
「魅了魔法に引っかかるような王太子殿下でいらっしゃったから、そんな王子様に魅了されるような令嬢なんて、いらっしゃいませんことよ。」
シルベーヌは、3歳の頃に3度の前世記憶を思い出し、その日から英才教育を受け、学園に入学するころには、隣国エダベストの大学を飛び級で卒業するに至っていたのである。隣国エダベストの大学で知り合った近隣国トラジスタのアネックス皇太子殿下と婚約していて、その彼氏と共同開発したのが、転移魔法。
スフォンス公爵とともに、その皇太子殿下が住むトラジスタ帝国へ移住し、結婚する予定です。
王立学園に入学せず、すぐにアネックス様と結婚しても良かったのだけど、4度目の落とし前をきっちりつけてからでないと、5度目が来たら、たまらないから敢えて入学したのである。
パーティから帰ったシルベーヌは、転移魔法の魔法陣を組み立て、公爵邸もろともトラジスタへ旅立つ。
一度目は、国外追放になり護衛と夜盗に犯され、凍死。二度目は、魔道具作りに成功して、男爵令嬢リリアーヌの魅了魔法を解いて、王太子と結婚するも、王太子の性癖のために、DVを受け撲死。三度目は、自害。
「公爵令嬢シルベーヌ・スフォンス、貴様とは、今宵をもって婚約破棄するものとする。」
王太子殿下アルフォンス様は、高らかに宣言される。傍らには、男爵令嬢リリアーヌの姿がすでにあり、なんとなく勝ち誇っているようであった。
四度目の人生、毎度毎度、いろいろあって、死んで生まれかわってくるのだけど、2度目は15歳の時だったから魔道具の製作に成功してたし、いろいろ勉強もできた。3度目に生まれ変わったときは、卒業式の前日だったので、ほとんど間に合わず、自害する。4度目に生まれ変わった時は、3歳の頃から生まれ変わったので、そもそも王太子の婚約者になっていない。頑として拒否し続けたのである。もちろん魅了魔法を解除する魔道具は念のため作っているのである。
「恐れながら、アルフォンス殿下、わたくしとの婚約とは、いったい何のことでございましょうか?わたくしと殿下は婚約関係にございませんが?」
「へ?そうであったか?では、俺の婚約者殿はいずこへ?」
「アルフォンス殿下に婚約者様はいらっしゃいません。」
「な、な、なんだとぉ?王太子なのに、婚約者がいないとは、どういうことだ?」
「詳しくは存じ上げませんが、お妃選定会でどなたにも決まらなかったと伺っております。」
「それでは、なぜ貴様は男爵令嬢のリリアーヌを虐めたのか?俺と婚約関係にないにもかかわらず、理由がないではないか?」
「虐めてなどしておりません。第一、そこのリリアーヌ嬢とお会いするのは、今宵が初めてでございますれば、初対面の方をどうやって、虐めることができましょうか?」
「ひどいですわっ!シルベーヌ様は、私の教科書を破ってダメにされましたし、階段から突き落とそうとなさったではありませんか?」
「は?何のことでございましょうか?そもそも、あなた様とはクラスも違いますれば、どんな教科書を使っていらっしゃるかも存じ上げません。」
「そういえば、俺もリリアーヌがどんな教科書を使っていたかも知らないぞ。どんな教科書がダメになったのか、具体的に言ってみてくれ。」
「ひどいです!アルフォンス殿下まで、私を疑っていらっしゃるの?私は、私は、本当にシルベーヌ様に虐められていたのです。」瞳にいっぱい涙をためて、アルフォンス様を上目遣いで見る。
そこで、こっそり、魔道具を発動させるシルベーヌ、こんな茶番に付き合っていられないからである。
たちまちリリアーヌの体から黒い煙が立ち上り、リリアーヌが魅了魔法を使っていることが露見してしまう。
本来の魅了魔法は魔女から5年の寿命(若さ)と引き換えに、魅了魔法を買うのだが、解除後のリリアーヌは5歳どころか、プラス50歳ぐらい年寄りに見える老婆の姿になったのである。
その姿は、来賓の国王陛下をはじめとする王国の重鎮とも呼ばれる他の貴族や、父兄の貴族にも、はっきりわかるほど、どす黒い煙であったため、皆、一様に顔をしかめハンカチで口元を抑えている者までいる。
「わっ!なんだ!リリアーヌ?お前は、魅了魔法を使っていたのか?」」
アルフォンスはすっかり怖気づいて、後ずさりつつ
「な、なによ?アルフォンス、さんざん私の体を好きに弄んでいて、よくそんなことが言えるわね!私と婚約するんでしょう?シルベーヌを国外追放にして、私は将来の国母となるのよ!」
68歳ぐらいの婆を抱いていたのか?趣味が悪すぎる!冷ややかな視線を王太子殿下に向ける他の貴族父兄。
「な、な、なに言っているんだ?この化け物をひっ捕らえよ!衛兵!早くしろ!」
「化け物って、ひどいじゃない?愛しているって言ってよ。いつもみたいに。」
迫るリリアーヌに、「ひっ!」と悲鳴を上げて逃げるアルフォンス。見ていて面白い光景だが、めんどくさい。
そろそろ、と帰り支度をしているシルベーヌに、アルフォンスが縋り付くが、「あなた様とは、何の関係もございません。わたくしには、きちんとした婚約者がおりましてよ。あなた様に引っ付かれたら、迷惑します。」ときっぱり言う。
そして、くるりと振り返り、捨て台詞を吐き、とっとと帰る。
「魅了魔法に引っかかるような王太子殿下でいらっしゃったから、そんな王子様に魅了されるような令嬢なんて、いらっしゃいませんことよ。」
シルベーヌは、3歳の頃に3度の前世記憶を思い出し、その日から英才教育を受け、学園に入学するころには、隣国エダベストの大学を飛び級で卒業するに至っていたのである。隣国エダベストの大学で知り合った近隣国トラジスタのアネックス皇太子殿下と婚約していて、その彼氏と共同開発したのが、転移魔法。
スフォンス公爵とともに、その皇太子殿下が住むトラジスタ帝国へ移住し、結婚する予定です。
王立学園に入学せず、すぐにアネックス様と結婚しても良かったのだけど、4度目の落とし前をきっちりつけてからでないと、5度目が来たら、たまらないから敢えて入学したのである。
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