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ダンスパーティ
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王都にある王立学園のダンスパーティで
「侯爵令嬢コーネリア、貴様との婚約は、今をもって破棄とする。」
第2王子殿下チャールズ様から高らかに宣言された。
「理由は?なんでございましょう?」
「ふん、己の胸に手を当てて考えてみろ。」
「なにも心当たりがございませんわ。」
「男爵令嬢リリアーヌを虐めただろうが!」
「は?何をおっしゃいます、虐めなどしておりません。」
「ひどいですわっ!私を階段から突き落とそうとなさったではありませんか?」
「濡れ衣です、冤罪です。わたくしは何もしておりません。証拠がおありですか?」
「証拠などなくても、リリアーヌの証言だけで十分だ。」
「証拠もなく、上位貴族の娘が言うことよりも下位貴族の令嬢が言われることのほうを信じるということでよろしいのでしょうか?わかりました。チャールズ王子殿下がそう申されたと父と王妃殿下に言います。」
「いやいや、ちょっと待て。そう事を荒立てるな。」
「事を荒立て、ダンパで婚約破棄を口になさったのは、チャールズ殿下でしてよ。」
王妃殿下は、コーネリアの母の学生時代の友人でコーネリアが幼いころから、王宮に出入りし、王妃殿下が生んだ第2王子殿下の婚約者となったのでした。王妃殿下には、娘がいなかったこともあり、コーネリアを実の娘同然にかわいがってくれて、しょっちゅうお茶会に招かれ、一緒にドレス選びをする間柄でした。チャールズ殿下とのことは、両親に相談するよりも王妃殿下に相談することが多かったのです。でも、今回は冤罪での婚約破棄、父にも言わなければなりません。
コーネリアとリリアーヌ、チャールズの3者がにらみ合いをしているときに、第1王子殿下が登場された。
第1王子殿下のウイリアム様は、国王陛下と愛妾(側妃)との間のお子様でした。いまだに王太子が選ばれないのは、ウイリアム様が正妃の子ではないからだという憶測が飛び交っています。
「どうしたというのだ?何の騒ぎだ?」
コーネリアは、婚約破棄されたことと、その理由が濡れ衣で、証拠もないのにリリアーヌからいじめを受けたという申告への抗議をしていたところだと述べた。
「コーネリアは、婚約破棄をどう受け止めている?チャールズを愛していたから破棄されるのは、いやか?」
「わたくしは、婚約破棄については、大丈夫です。もともと政略ですし、王妃様とウチの母が友人関係にあっただけで、チャールズには何の未練もございませんが、濡れ衣を着せられたのは、納得がいきません。それも証拠もなしに、婚約者であったわたくしの言い分より、下位貴族の令嬢の言い分を信じるという点が納得いきません。」
「わかった。チャールズとの婚約破棄は、いいんだね?それなら、私と婚約していただけないか?君は、王妃殿下とも仲良しだから、なさぬ仲の息子の嫁としては、好都合なのだ。それと濡れ衣の件は、王室諜報部に調べさせよう。」
ウイリアム様が、「王室諜報部」の名前を出されたことで、リリアーヌが慌てて、目を泳がす。
「私、別にコーネリア様に突き落とされたなどと申しておりませんが……。で、殿下が勝手にコーネリア様を犯人と決めつけられたのでございます……。」
「「「え!」」」
「リリアーヌ、何を言っているんだい?泣きながら、コーネリアに突き落とされた。と言っていたではないか?」
「「あ、そういうことですか。それも含めてご報告いたします。」」
ウイリアム様と二人で、納得していたら、今度はチャールズが慌てだして、
「ま、待ってくれ、待って、待って。俺は騙されたのかも?」
「そうでしょうね。でも、今さらなかったことにはできませんことよ。」
がっくりとうなだれるチャールズ。
この話が王宮を駆け巡った日、チャールズは、廃嫡となり、リリアーヌは牢屋へ。そして、ウイリアムとコーネリアは、正式な婚約者となり、コーネリアの卒業と同時に、結婚式と立太子の礼が行われることになりました。
「侯爵令嬢コーネリア、貴様との婚約は、今をもって破棄とする。」
第2王子殿下チャールズ様から高らかに宣言された。
「理由は?なんでございましょう?」
「ふん、己の胸に手を当てて考えてみろ。」
「なにも心当たりがございませんわ。」
「男爵令嬢リリアーヌを虐めただろうが!」
「は?何をおっしゃいます、虐めなどしておりません。」
「ひどいですわっ!私を階段から突き落とそうとなさったではありませんか?」
「濡れ衣です、冤罪です。わたくしは何もしておりません。証拠がおありですか?」
「証拠などなくても、リリアーヌの証言だけで十分だ。」
「証拠もなく、上位貴族の娘が言うことよりも下位貴族の令嬢が言われることのほうを信じるということでよろしいのでしょうか?わかりました。チャールズ王子殿下がそう申されたと父と王妃殿下に言います。」
「いやいや、ちょっと待て。そう事を荒立てるな。」
「事を荒立て、ダンパで婚約破棄を口になさったのは、チャールズ殿下でしてよ。」
王妃殿下は、コーネリアの母の学生時代の友人でコーネリアが幼いころから、王宮に出入りし、王妃殿下が生んだ第2王子殿下の婚約者となったのでした。王妃殿下には、娘がいなかったこともあり、コーネリアを実の娘同然にかわいがってくれて、しょっちゅうお茶会に招かれ、一緒にドレス選びをする間柄でした。チャールズ殿下とのことは、両親に相談するよりも王妃殿下に相談することが多かったのです。でも、今回は冤罪での婚約破棄、父にも言わなければなりません。
コーネリアとリリアーヌ、チャールズの3者がにらみ合いをしているときに、第1王子殿下が登場された。
第1王子殿下のウイリアム様は、国王陛下と愛妾(側妃)との間のお子様でした。いまだに王太子が選ばれないのは、ウイリアム様が正妃の子ではないからだという憶測が飛び交っています。
「どうしたというのだ?何の騒ぎだ?」
コーネリアは、婚約破棄されたことと、その理由が濡れ衣で、証拠もないのにリリアーヌからいじめを受けたという申告への抗議をしていたところだと述べた。
「コーネリアは、婚約破棄をどう受け止めている?チャールズを愛していたから破棄されるのは、いやか?」
「わたくしは、婚約破棄については、大丈夫です。もともと政略ですし、王妃様とウチの母が友人関係にあっただけで、チャールズには何の未練もございませんが、濡れ衣を着せられたのは、納得がいきません。それも証拠もなしに、婚約者であったわたくしの言い分より、下位貴族の令嬢の言い分を信じるという点が納得いきません。」
「わかった。チャールズとの婚約破棄は、いいんだね?それなら、私と婚約していただけないか?君は、王妃殿下とも仲良しだから、なさぬ仲の息子の嫁としては、好都合なのだ。それと濡れ衣の件は、王室諜報部に調べさせよう。」
ウイリアム様が、「王室諜報部」の名前を出されたことで、リリアーヌが慌てて、目を泳がす。
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「「「え!」」」
「リリアーヌ、何を言っているんだい?泣きながら、コーネリアに突き落とされた。と言っていたではないか?」
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