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3.国王陛下との謁見
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覚悟を決めて、キャロラインは、王城へ向かった。
エリアス様が付いてきてくださいました。
控えの間では、お茶の接待がありましたが、ドキドキして、飲めなかった。
「エリアス様、ひょっとしたら、あの王国からの追手かもしれません。もしそうなら、エリアス様にご迷惑をおかけすることになるかもしれませんので、私のことは、知らなかった、でお逃げくださいませ。」
「大丈夫ですよ。その時は、私もキャロライン様とご一緒に逃げますよ。」と笑われた。
謁見の間に向かった。
謁見の間には、あの王国で見知った顔はいなかった。まず、エリアス様が私を紹介してくださいました。
「キャロライン嬢とやら、表を上げよ。」
「!」
数日前、あの森で倒れていた若者だった。
「あの折、キャロライン嬢に助けてもらった、改めて礼を言う。キャロライン嬢は命の恩人だ。感謝する。ありがとう。」
「いえ、人として、当然のことをしたまでです。お気になさらないでください。」
「なんと、謙虚なことよ。褒美を取らせる、なんなりと申せ。」
困っていると、エリアス様が
「恐れながら申し上げます。」
「うむ。発言を許す。」
「キャロライン様は、聖女様でございます。聖女様の身分の確保と、もし、元にいらっしゃった王国からの返還命令もしくは追手が参ったときに、カナリア王国でお守りくださいますことをお願い申し上げたく、発言いたした次第でございます。」
「かの有名な聖女キャロライン様だったのですか?隣国では、聖女様をお迎えするための準備を進めていると、報告があったばかりだった。もちろん、身の安全は保障する。」
「聖女キャロライン様、カナリア王国へ、ようこそおいでくださいました。もし、よろしければ、我がカナリア王国の国母となってもらえないだろうか?」
「は?」
「若くして、王位に就いたものだから、まだ、妃がおらぬ。」国王陛下は顔を赤くして言われた。
「聖女様は、お美しい。実は、森で一目惚れしてしまったのだ。許せ。」ますます顔を赤くされた。
ジークフリクよりは、マシだろう。もし結婚していたら追手も諦めるだろう、と思い
「承知いたしました。私でよければ、お役に立ちたいです。」
「まことか?ありがとう。こんな嬉しいことはない。」
いきなり、手を握られ抱きしめられた。
「今宵から、王城へ泊るように。」
「いえ、まだ夢の若返り美容液を作る仕事が残っております。」
「なにぃ?母上が重用されておる、あの夢の若返り美容液は、聖女様が作っておられるのか⁉ それならなおさら、この王城で作ればよかろう。」
こうして、婚約期間がほとんどないまま、そのまま王城に住むことになった。
結婚式の準備が着々と進んだ。
ウエディングドレスの仮縫いも済んだ。
実は、ベルハルト国王陛下が夜這い(?)に来られたことがあった。
遅くまで、寝室で夢の若返り美容液を作っていた時、国王陛下の寝室と隣り合わせに部屋があるのだが、その扉がそっと開いたことがあった。
キャロラインが作業中だったため、「おやすみを言いに来た。」とごまかしていたけど、あれは絶対、夜這いだったと思う。
その頃、あの王宮では、相変わらず国王陛下が苦虫を噛み潰したような顔をして
「隣国は、聖女様を隠しているのか!いくら問い合わせをしても、聖女様は未だ来られていない、の一点張りだ。一体どうなっておる!いくら馬車を使ったとしても、女の体力では、隣国までが精々だろうが!」
「王子たちも、どこをほっつき歩いておる!役立たずめが!」
「教会の司祭も、いつの間にか逃げ出しておる!」
「わしの、わしの周りには、もう誰も残っておらぬ。」
うつろな目をして、結界が消えた方角を見ていた。
その時、魔物の影が差した。
ついに、その時がやってきたのだ。
王国が音を立てて、滅びゆく…。
エリアス様が付いてきてくださいました。
控えの間では、お茶の接待がありましたが、ドキドキして、飲めなかった。
「エリアス様、ひょっとしたら、あの王国からの追手かもしれません。もしそうなら、エリアス様にご迷惑をおかけすることになるかもしれませんので、私のことは、知らなかった、でお逃げくださいませ。」
「大丈夫ですよ。その時は、私もキャロライン様とご一緒に逃げますよ。」と笑われた。
謁見の間に向かった。
謁見の間には、あの王国で見知った顔はいなかった。まず、エリアス様が私を紹介してくださいました。
「キャロライン嬢とやら、表を上げよ。」
「!」
数日前、あの森で倒れていた若者だった。
「あの折、キャロライン嬢に助けてもらった、改めて礼を言う。キャロライン嬢は命の恩人だ。感謝する。ありがとう。」
「いえ、人として、当然のことをしたまでです。お気になさらないでください。」
「なんと、謙虚なことよ。褒美を取らせる、なんなりと申せ。」
困っていると、エリアス様が
「恐れながら申し上げます。」
「うむ。発言を許す。」
「キャロライン様は、聖女様でございます。聖女様の身分の確保と、もし、元にいらっしゃった王国からの返還命令もしくは追手が参ったときに、カナリア王国でお守りくださいますことをお願い申し上げたく、発言いたした次第でございます。」
「かの有名な聖女キャロライン様だったのですか?隣国では、聖女様をお迎えするための準備を進めていると、報告があったばかりだった。もちろん、身の安全は保障する。」
「聖女キャロライン様、カナリア王国へ、ようこそおいでくださいました。もし、よろしければ、我がカナリア王国の国母となってもらえないだろうか?」
「は?」
「若くして、王位に就いたものだから、まだ、妃がおらぬ。」国王陛下は顔を赤くして言われた。
「聖女様は、お美しい。実は、森で一目惚れしてしまったのだ。許せ。」ますます顔を赤くされた。
ジークフリクよりは、マシだろう。もし結婚していたら追手も諦めるだろう、と思い
「承知いたしました。私でよければ、お役に立ちたいです。」
「まことか?ありがとう。こんな嬉しいことはない。」
いきなり、手を握られ抱きしめられた。
「今宵から、王城へ泊るように。」
「いえ、まだ夢の若返り美容液を作る仕事が残っております。」
「なにぃ?母上が重用されておる、あの夢の若返り美容液は、聖女様が作っておられるのか⁉ それならなおさら、この王城で作ればよかろう。」
こうして、婚約期間がほとんどないまま、そのまま王城に住むことになった。
結婚式の準備が着々と進んだ。
ウエディングドレスの仮縫いも済んだ。
実は、ベルハルト国王陛下が夜這い(?)に来られたことがあった。
遅くまで、寝室で夢の若返り美容液を作っていた時、国王陛下の寝室と隣り合わせに部屋があるのだが、その扉がそっと開いたことがあった。
キャロラインが作業中だったため、「おやすみを言いに来た。」とごまかしていたけど、あれは絶対、夜這いだったと思う。
その頃、あの王宮では、相変わらず国王陛下が苦虫を噛み潰したような顔をして
「隣国は、聖女様を隠しているのか!いくら問い合わせをしても、聖女様は未だ来られていない、の一点張りだ。一体どうなっておる!いくら馬車を使ったとしても、女の体力では、隣国までが精々だろうが!」
「王子たちも、どこをほっつき歩いておる!役立たずめが!」
「教会の司祭も、いつの間にか逃げ出しておる!」
「わしの、わしの周りには、もう誰も残っておらぬ。」
うつろな目をして、結界が消えた方角を見ていた。
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ついに、その時がやってきたのだ。
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