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第3章

81.もう一度恋人

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 アレクサンダー5世のカラダにアレクサンダー様が乗り移っていようがいまいが、どうでもいいぐらい二人は、盛り上がっている。

 同じ年頃の見目の良い男女が昔話に興じていて、仲良くならないはずがない。

「ところで、ジェニファーは、転生しても、いつも名前が変わらないものなの?」

「ええ。そうよ。いつもジェニファー。というのも、わたくしは初代ジェニファーの代理聖女だからかもしれないわね」

「え?どういうこと?」

「知っているかもしれないけど、聖女様は、1000年に一度しか誕生しない。人間の寿命は100年を切っているから、残り900年は、人々は聖女様なしで暮らしていかなければならない。その間のつなぎ手の役目をしているというわけよ」

「なるほど使命を持って転生してきているんだね」

「それより、ここにどうやってきたの?」

「なんかさ。アレクサンダーの記憶を取り戻したら、急にジェニファーに会いたくなってね。それで親父の執務室に飛び込んだ」

「ええっ!まだ、空中クローゼット生きていたの?うん。でも、出られた扉はここだけだったので、ここに来たらジェニファーに会えたというわけ」

「ああそうか、前世の分は、権限がないのね。でも、ここも前世と関係あるのだけど?」

「ジェニファー。君が呼んでくれたから、ここの扉だけが開いたんだ。」

 ありうる。思わずうなずくジェニファー。

「ジェニファー、君が欲しい。いいだろ?」

「え……と、それは、どういう意味?」

「こういう意味!」

 アレクサンダー5世は、いきなりガバっとジェニファーに覆いかぶさり、唇を奪ってくる。

「むふ……、ん……ッっ……、ダメよ」

「やっぱり、ジェニファーの味がする!」

「へ?味……」

「次は、別のところも味わいたいな」

「やめてよ。聖女様に無礼を働いたら、天罰が落ちるわよ」

「落ちてもいいよ。ジェニファーとなら、どこへでも行く」

「っもう!アレクったら」

「やっと、その名前で呼んでくれたね。嬉しいよ」

「ねえ、黙って出てきて大丈夫なの?」

「もう帰るつもりはない。家督は弟王子に譲る」

「本気なの?」

「本気さ。ジェニファー、君のすべてが欲しい」

「やめてよ。お嫁入りの前なのに」

「えっ!誰かと婚約しているのか?」

「あ、ううん。そんな婚約していないわ」

「だったら、俺と婚約してくれよ。その前に婚前交渉してほしいけど、婚約が先でもいいや」

「アレクのエッチ!」

 小鳥が啄むようなキスを何度もしているうちに、だんだんとその気になってくる。

 二人の息遣いが荒くなり、ついに……!ワンピースの上から胸を揉まれ、カラダの真ん中が熱くなってくる。

「お願い、ここではダメ」

 だって、ここは商会の応接室で、しばらく誰も来ないように、と言っているだけだもの。続きはどこでする?やりたい?ムーラン王から譲り受けたお城の自室?それともバラード国のアレクサンダーのお部屋?声が聞こえるようなところでは、恥ずかしい。

 親に内緒の睦愛の場所の選定に苦労をする。

 早く抱かれたい。でも、嫁入り前だし、ううん。この男性はアレクサンダーなのだから、お互いカラダの相性はバッチリわかっている人だから、大丈夫。

 もう、ジェニファーの中では、何かがほとばしるような勢いで、アレクサンダーを求めている。

 待てない。待てない。抱かれたい。アレクサンダー様が今すぐほしい。貫いてほしい。200年の時を超えて、めちゃくちゃに抱かれたい。

 その時、コンコン。というノックの音がして、思わず、転移魔法を使ってしまう。

 転移した場所は、空中クローゼットの中に設けた一室、しいて言えば、カルダン国に置いてきたカントリーハウスのジェニファーの部屋と言った方がいいか?

 今は無人の家で、愛し合うことにしたのだ。
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