67 / 99
第2章
67.二人目の聖女様3
しおりを挟む
今度の旅空は、さすがにちょっとした団体なので、船を飛ばしていくことにした。
「しかし、聖女様を騙るなど何者でしょうかね?」
「さあ?本当に二人目なのかもしれないし、神様の手違いでもあったのかしらね」
先ほどのゲートを閉じていなかったので、簡単にムーラン国まで行くことができたのだ。
教会らしき建物を上空から探す。埒が明かないので、探索魔法を繰り出して探すと、すんなり見つかった。教会の近くの空き地に船を着陸させ、そのまま空中クローゼットの中にしまい込む。
教皇様は、ちょうど聖職者用のローブを着ていらっしゃったので、先に教皇様が教会の中へ入っていかれる。
その後をクリストファー殿下、ジェニファーと順に入っていく。
「少しお尋ねしたき義がございまして、私はアルカイダ国国教会の教皇でヨハネ3世と申すものでございます」
「しばらく、お待ちくださいませ」
修道士と思しき男性が慌てて、奥へ入っていく。
間もなく、立派な白いおひげを蓄えたご老人が来られる。司祭様のようだ。
「はて、ご用向きとは?」
「実は、こちらにいらっしゃるのはジェニファー聖女様でして、この度、ムーラン国の隣シドニー国の王太子殿下とご結婚が決まりまして、近隣国へ、ご挨拶を兼ねて参った次第でございます」
「なんと!それは、おめでとうございます。大国の聖女様がこんな鄙びた教会にまで足を運んでいただき恐悦至極の喜びでございます」
「噂によりますと、ムーラン国にも聖女様が出現されたと伺います。ぜひ、聖女様同士ご親交を深めたいと仰せでございますので、ぜひともお引き合わせの方、よろしくお願いします」
「滅相もない。我が国に聖女様など、いらっしゃいませんが……何か、お間違えなどではないでしょうか?それに、聖女様は、ご存知の通り、1000年に一度しか出現されません。ジェニファー様が聖女様であらせられるのであれば、唯一無二の存在がジェニファー様のほかにいらっしゃるわけがございません」
そうよね。その認識よね。
「初めまして、私は隣国シドニー国の王太子でクリストファー・フォン・シドニーと申します。実は、我が国の学園にムーラン国出身の少女が聖女様の名乗りを上げたものでして……」
「な、なんと、仰せで?そのものの名前はわかりますか?」
「はい。市井で暮らしていたリリアーヌと申す少女です。私の婚約者であるジェニファー聖女様は、二人も聖女が発現するからには、何か意味があるのでは?と申し、不吉な前兆ではないかと推論を立て、心配しております」
「なるほど。不吉の前兆でございますか?それは一理あるかと存じますが、そのリリアーヌという娘に会わせていただきたいです。ムーラン教会では、そのような娘を聖女様と認めておりません。ですから国王陛下に進言し、その少女の身柄を引き渡していただけませんでしょうか?」
「はい。これから国王様のところへ参る所存ですが、ご一緒されますか?」
「ぜひとも、お願いします」
教会の馬車駐めから船を出し、乗り込んでいると、白髭の司祭様までもが、その船に乗船されることになったのだ。
「陸の上を船で走るとは、珍妙ですな」
ジェニファーは、ニッコリ微笑み、
「お城の場所を教えていただきたいので、船首の方へ移動していただけますか?」
まさか、空から行くとは、思っていなかった司祭様は、空へ上がった途端、ビックリして腰を抜かされ、お城で、治癒魔法をかけて差し上げると、恐縮されまくって、おかしいほどでしたわ。
国王陛下への謁見の申し込みは、司祭様がしていただいて、本来なら教会は謁見の申し込みなしで、国王と会えるのだけど、ジェニファーたちがついてきているので、わざわざ謁見の申し込みをしてくださったというわけ。
「しかし、聖女様を騙るなど何者でしょうかね?」
「さあ?本当に二人目なのかもしれないし、神様の手違いでもあったのかしらね」
先ほどのゲートを閉じていなかったので、簡単にムーラン国まで行くことができたのだ。
教会らしき建物を上空から探す。埒が明かないので、探索魔法を繰り出して探すと、すんなり見つかった。教会の近くの空き地に船を着陸させ、そのまま空中クローゼットの中にしまい込む。
教皇様は、ちょうど聖職者用のローブを着ていらっしゃったので、先に教皇様が教会の中へ入っていかれる。
その後をクリストファー殿下、ジェニファーと順に入っていく。
「少しお尋ねしたき義がございまして、私はアルカイダ国国教会の教皇でヨハネ3世と申すものでございます」
「しばらく、お待ちくださいませ」
修道士と思しき男性が慌てて、奥へ入っていく。
間もなく、立派な白いおひげを蓄えたご老人が来られる。司祭様のようだ。
「はて、ご用向きとは?」
「実は、こちらにいらっしゃるのはジェニファー聖女様でして、この度、ムーラン国の隣シドニー国の王太子殿下とご結婚が決まりまして、近隣国へ、ご挨拶を兼ねて参った次第でございます」
「なんと!それは、おめでとうございます。大国の聖女様がこんな鄙びた教会にまで足を運んでいただき恐悦至極の喜びでございます」
「噂によりますと、ムーラン国にも聖女様が出現されたと伺います。ぜひ、聖女様同士ご親交を深めたいと仰せでございますので、ぜひともお引き合わせの方、よろしくお願いします」
「滅相もない。我が国に聖女様など、いらっしゃいませんが……何か、お間違えなどではないでしょうか?それに、聖女様は、ご存知の通り、1000年に一度しか出現されません。ジェニファー様が聖女様であらせられるのであれば、唯一無二の存在がジェニファー様のほかにいらっしゃるわけがございません」
そうよね。その認識よね。
「初めまして、私は隣国シドニー国の王太子でクリストファー・フォン・シドニーと申します。実は、我が国の学園にムーラン国出身の少女が聖女様の名乗りを上げたものでして……」
「な、なんと、仰せで?そのものの名前はわかりますか?」
「はい。市井で暮らしていたリリアーヌと申す少女です。私の婚約者であるジェニファー聖女様は、二人も聖女が発現するからには、何か意味があるのでは?と申し、不吉な前兆ではないかと推論を立て、心配しております」
「なるほど。不吉の前兆でございますか?それは一理あるかと存じますが、そのリリアーヌという娘に会わせていただきたいです。ムーラン教会では、そのような娘を聖女様と認めておりません。ですから国王陛下に進言し、その少女の身柄を引き渡していただけませんでしょうか?」
「はい。これから国王様のところへ参る所存ですが、ご一緒されますか?」
「ぜひとも、お願いします」
教会の馬車駐めから船を出し、乗り込んでいると、白髭の司祭様までもが、その船に乗船されることになったのだ。
「陸の上を船で走るとは、珍妙ですな」
ジェニファーは、ニッコリ微笑み、
「お城の場所を教えていただきたいので、船首の方へ移動していただけますか?」
まさか、空から行くとは、思っていなかった司祭様は、空へ上がった途端、ビックリして腰を抜かされ、お城で、治癒魔法をかけて差し上げると、恐縮されまくって、おかしいほどでしたわ。
国王陛下への謁見の申し込みは、司祭様がしていただいて、本来なら教会は謁見の申し込みなしで、国王と会えるのだけど、ジェニファーたちがついてきているので、わざわざ謁見の申し込みをしてくださったというわけ。
1
お気に入りに追加
800
あなたにおすすめの小説
根暗令嬢の華麗なる転身
しろねこ。
恋愛
「来なきゃよかったな」
ミューズは茶会が嫌いだった。
茶会デビューを果たしたものの、人から不細工と言われたショックから笑顔になれず、しまいには根暗令嬢と陰で呼ばれるようになった。
公爵家の次女に産まれ、キレイな母と実直な父、優しい姉に囲まれ幸せに暮らしていた。
何不自由なく、暮らしていた。
家族からも愛されて育った。
それを壊したのは悪意ある言葉。
「あんな不細工な令嬢見たことない」
それなのに今回の茶会だけは断れなかった。
父から絶対に参加してほしいという言われた茶会は特別で、第一王子と第二王子が来るものだ。
婚約者選びのものとして。
国王直々の声掛けに娘思いの父も断れず…
応援して頂けると嬉しいです(*´ω`*)
ハピエン大好き、完全自己満、ご都合主義の作者による作品です。
同名主人公にてアナザーワールド的に別な作品も書いています。
立場や環境が違えども、幸せになって欲しいという思いで作品を書いています。
一部リンクしてるところもあり、他作品を見て頂ければよりキャラへの理解が深まって楽しいかと思います。
描写的なものに不安があるため、お気をつけ下さい。
ゆるりとお楽しみください。
こちら小説家になろうさん、カクヨムさんにも投稿させてもらっています。
くだらない冤罪で投獄されたので呪うことにしました。
音爽(ネソウ)
恋愛
<良くある話ですが凄くバカで下品な話です。>
婚約者と友人に裏切られた、伯爵令嬢。
冤罪で投獄された恨みを晴らしましょう。
「ごめんなさい?私がかけた呪いはとけませんよ」
死に戻るなら一時間前に
みねバイヤーン
恋愛
「ああ、これが走馬灯なのね」
階段から落ちていく一瞬で、ルルは十七年の人生を思い出した。侯爵家に生まれ、なに不自由なく育ち、幸せな日々だった。素敵な婚約者と出会い、これからが楽しみだった矢先に。
「神様、もし死に戻るなら、一時間前がいいです」
ダメ元で祈ってみる。もし、ルルが主人公特性を持っているなら、死に戻れるかもしれない。
ピカッと光って、一瞬目をつぶって、また目を開くと、目の前には笑顔の婚約者クラウス第三王子。
「クラウス様、聞いてください。私、一時間後に殺されます」
一時間前に死に戻ったルルは、クラウスと共に犯人を追い詰める──。
幼馴染に奪われそうな王子と公爵令嬢
岡暁舟
恋愛
「王子様、本当に愛しているのは誰ですか???」
「私が愛しているのは君だけだ……」
「そんなウソ……これ以上は通用しませんよ???」
背後には幼馴染……どうして???
私が妻です!
ミカン♬
恋愛
幼い頃のトラウマで男性が怖いエルシーは夫のヴァルと結婚して2年、まだ本当の夫婦には成っていない。
王都で一人暮らす夫から連絡が途絶えて2か月、エルシーは弟のような護衛レノを連れて夫の家に向かうと、愛人と赤子と暮らしていた。失意のエルシーを狙う従兄妹のオリバーに王都でも襲われる。その時に助けてくれた侯爵夫人にお世話になってエルシーは生まれ変わろうと決心する。
侯爵家に離婚届けにサインを求めて夫がやってきた。
そこに王宮騎士団の副団長エイダンが追いかけてきて、夫の様子がおかしくなるのだった。
世界観など全てフワっと設定です。サクっと終わります。
5/23 完結に状況の説明を書き足しました。申し訳ありません。
★★★なろう様では最後に閑話をいれています。
脱字報告、応援して下さった皆様本当に有難うございました。
他のサイトにも投稿しています。
完結 王族の醜聞がメシウマ過ぎる件
音爽(ネソウ)
恋愛
王太子は言う。
『お前みたいなつまらない女など要らない、だが優秀さはかってやろう。第二妃として存分に働けよ』
『ごめんなさぁい、貴女は私の代わりに公儀をやってねぇ。だってそれしか取り柄がないんだしぃ』
公務のほとんどを丸投げにする宣言をして、正妃になるはずのアンドレイナ・サンドリーニを蹴落とし正妃の座に就いたベネッタ・ルニッチは高笑いした。王太子は彼女を第二妃として迎えると宣言したのである。
もちろん、そんな事は罷りならないと王は反対したのだが、その言葉を退けて彼女は同意をしてしまう。
屈辱的なことを敢えて受け入れたアンドレイナの真意とは……
*表紙絵自作
婚約破棄が国を亡ぼす~愚かな王太子たちはそれに気づかなかったようで~
みやび
恋愛
冤罪で婚約破棄などする国の先などたかが知れている。
全くの無実で婚約を破棄された公爵令嬢。
それをあざ笑う人々。
そんな国が亡びるまでほとんど時間は要らなかった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる