63 / 99
第2章
63.婚約2 ざまあ
しおりを挟む
リゾートホテルの部屋割りでひと悶着は、あったものの、その日は全員宿泊することになった。
アルカイダ国から公爵家と侯爵家を2家の領地付きで持ってきたので、領地の使用人が丸まるダブっている。その者たちをリゾートホテルで使用人として使っているので、急な来客でも、十分に対応できるのだ。
空を飛んできたので、帰り道がわからないということが理由だったらしいけど、部屋は全室がスイートルーム仕様なのだが、第2王子殿下とカトリーヌ様はあえて、部屋を別々にする。
だって、お輿入れ前に間違いがあってはいけないもの。
翌朝は、ホテルのロビーにゲートを設け、そこを通って、王城に戻ってもらう。そこは、もう王城の玄関ホールにつながっているので、そこでカトレーヌ様とともに、いったん学園の寮まで行き、そこで別れる。
今のところ、学園の寮は見せかけだけで、毎日、聖女島から通学していることは内緒にしている。でも、バレるのも時間の問題かもしれないけどね。
「聖女様、楽しい時間をありがとうございました」
「まだ学園には、聖女様であることを言っていないの。だからそのつもりでいてね」
「新婚旅行は、ぜひ聖女様の島へ行ってみたいですわ」
「そうね、もう少しシドニー国寄りに移動させましょうか?なんなら大橋でも作って行き来ができるようにしてもいいかもしれないわね」
「えっ!そんなこと、できるのですか?」
「造作もないことよ」
ジェニファーは、今日の放課後にでも、シドニー国の周りの小島探索に出かけるつもりでいる。
とりあえず、寮に戻り、空中クローゼットに入ると、中で思わぬ人物と遭遇し、思わず腕を掴まれてしまう。
それはガブリエル様だった。
「どうして、俺の元から去ってしまわれたのか?」
「え……と、他に好きな殿方ができたので……」
とりあえず、苦し紛れに行っても信じてくれない。そういえば、愛想が尽きてから、ガブリエルの私室側のクローゼットをそのままの状態にしていたことを思い出し、今更ながらに青くなる。
「俺は、何度も聖女島へ足を運び、司祭様や教皇様とお会いしたが、いつも「聖女様はここには、おられない」とばかりいわれていたのだ。わかるように、ちゃんと説明してくれ」
そんな話、初耳だったので、ビックリする。
「どこから話せばいいのかしら?そうね、縁談の聞き合わせに行ったのよ。そしたらクリスティーヌ様のことを聞いて、一気に熱が冷めてしまって」
「えっ!確かにクリスティーヌと婚約していたが……不幸な事件があり、もう終わった話だったので、あえて、聖女様に言わなかったことで、別に隠していたわけではない!誤解しないでいただきたい」
「でも、それがきっかけで、冷めちゃったの。ごめんなさい」
「しかし、俺は終わったとは思っていない」
「わたくしのこと、聖女様だと知らずに好きになってくれる殿方を見つけてしまったので、その男性と結婚することにしましたのよ。だから、もう終わりにしてくださる?」
「そんな……私とでは、ダメなのですか?」
「新品の優良物件だったので、彼と結婚します」
「待って、では、せめて、最後にもう一度山の神を鎮めてくれぬだろうか?」
「ガブリエル様は、わたくしを女性として必要だと思われていないところが、気に入らなかったのです。わたくしのことは聖女様としてでしか見てくれなかったでしょう?それに教会関係者からもうかがいましたが、この前の祈りのお布施も支払っていただいていないようですし、便利扱いするのやめていただけませんか?」
「え……それは、すまなかった。気づかなくて、ジェニファー様のことは、女性として崇拝しております。ウソではありません」
「もう、いいですわ。過ぎたことですし、もう二度とわたくしの前に現れないでくださいね」
ジェニファーは、パサラン国との通信手段を閉じてしまい、ガブリエルに手を振って、別れを告げる。
アルカイダ国から公爵家と侯爵家を2家の領地付きで持ってきたので、領地の使用人が丸まるダブっている。その者たちをリゾートホテルで使用人として使っているので、急な来客でも、十分に対応できるのだ。
空を飛んできたので、帰り道がわからないということが理由だったらしいけど、部屋は全室がスイートルーム仕様なのだが、第2王子殿下とカトリーヌ様はあえて、部屋を別々にする。
だって、お輿入れ前に間違いがあってはいけないもの。
翌朝は、ホテルのロビーにゲートを設け、そこを通って、王城に戻ってもらう。そこは、もう王城の玄関ホールにつながっているので、そこでカトレーヌ様とともに、いったん学園の寮まで行き、そこで別れる。
今のところ、学園の寮は見せかけだけで、毎日、聖女島から通学していることは内緒にしている。でも、バレるのも時間の問題かもしれないけどね。
「聖女様、楽しい時間をありがとうございました」
「まだ学園には、聖女様であることを言っていないの。だからそのつもりでいてね」
「新婚旅行は、ぜひ聖女様の島へ行ってみたいですわ」
「そうね、もう少しシドニー国寄りに移動させましょうか?なんなら大橋でも作って行き来ができるようにしてもいいかもしれないわね」
「えっ!そんなこと、できるのですか?」
「造作もないことよ」
ジェニファーは、今日の放課後にでも、シドニー国の周りの小島探索に出かけるつもりでいる。
とりあえず、寮に戻り、空中クローゼットに入ると、中で思わぬ人物と遭遇し、思わず腕を掴まれてしまう。
それはガブリエル様だった。
「どうして、俺の元から去ってしまわれたのか?」
「え……と、他に好きな殿方ができたので……」
とりあえず、苦し紛れに行っても信じてくれない。そういえば、愛想が尽きてから、ガブリエルの私室側のクローゼットをそのままの状態にしていたことを思い出し、今更ながらに青くなる。
「俺は、何度も聖女島へ足を運び、司祭様や教皇様とお会いしたが、いつも「聖女様はここには、おられない」とばかりいわれていたのだ。わかるように、ちゃんと説明してくれ」
そんな話、初耳だったので、ビックリする。
「どこから話せばいいのかしら?そうね、縁談の聞き合わせに行ったのよ。そしたらクリスティーヌ様のことを聞いて、一気に熱が冷めてしまって」
「えっ!確かにクリスティーヌと婚約していたが……不幸な事件があり、もう終わった話だったので、あえて、聖女様に言わなかったことで、別に隠していたわけではない!誤解しないでいただきたい」
「でも、それがきっかけで、冷めちゃったの。ごめんなさい」
「しかし、俺は終わったとは思っていない」
「わたくしのこと、聖女様だと知らずに好きになってくれる殿方を見つけてしまったので、その男性と結婚することにしましたのよ。だから、もう終わりにしてくださる?」
「そんな……私とでは、ダメなのですか?」
「新品の優良物件だったので、彼と結婚します」
「待って、では、せめて、最後にもう一度山の神を鎮めてくれぬだろうか?」
「ガブリエル様は、わたくしを女性として必要だと思われていないところが、気に入らなかったのです。わたくしのことは聖女様としてでしか見てくれなかったでしょう?それに教会関係者からもうかがいましたが、この前の祈りのお布施も支払っていただいていないようですし、便利扱いするのやめていただけませんか?」
「え……それは、すまなかった。気づかなくて、ジェニファー様のことは、女性として崇拝しております。ウソではありません」
「もう、いいですわ。過ぎたことですし、もう二度とわたくしの前に現れないでくださいね」
ジェニファーは、パサラン国との通信手段を閉じてしまい、ガブリエルに手を振って、別れを告げる。
1
お気に入りに追加
799
あなたにおすすめの小説
第12回ネット小説大賞コミック部門入賞・コミカライズ企画進行「婚約破棄ですか? それなら昨日成立しましたよ、ご存知ありませんでしたか?」完結
まほりろ
恋愛
第12回ネット小説大賞コミック部門入賞・コミカライズ企画進行中。
コミカライズ化がスタートしましたらこちらの作品は非公開にします。
「アリシア・フィルタ貴様との婚約を破棄する!」
イエーガー公爵家の令息レイモンド様が言い放った。レイモンド様の腕には男爵家の令嬢ミランダ様がいた。ミランダ様はピンクのふわふわした髪に赤い大きな瞳、小柄な体躯で庇護欲をそそる美少女。
対する私は銀色の髪に紫の瞳、表情が表に出にくく能面姫と呼ばれています。
レイモンド様がミランダ様に惹かれても仕方ありませんね……ですが。
「貴様は俺が心優しく美しいミランダに好意を抱いたことに嫉妬し、ミランダの教科書を破いたり、階段から突き落とすなどの狼藉を……」
「あの、ちょっとよろしいですか?」
「なんだ!」
レイモンド様が眉間にしわを寄せ私を睨む。
「婚約破棄ですか? 婚約破棄なら昨日成立しましたが、ご存知ありませんでしたか?」
私の言葉にレイモンド様とミランダ様は顔を見合わせ絶句した。
全31話、約43,000文字、完結済み。
他サイトにもアップしています。
小説家になろう、日間ランキング異世界恋愛2位!総合2位!
pixivウィークリーランキング2位に入った作品です。
アルファポリス、恋愛2位、総合2位、HOTランキング2位に入った作品です。
2021/10/23アルファポリス完結ランキング4位に入ってました。ありがとうございます。
「Copyright(C)2021-九十九沢まほろ」

(完結)嘘つき聖女と呼ばれて
青空一夏
ファンタジー
私、アータムは夢のなかで女神様から祝福を受けたが妹のアスペンも受けたと言う。
両親はアスペンを聖女様だと決めつけて、私を無視した。
妹は私を引き立て役に使うと言い出し両親も賛成して……
ゆるふわ設定ご都合主義です。

【完結】義妹とやらが現れましたが認めません。〜断罪劇の次世代たち〜
福田 杜季
ファンタジー
侯爵令嬢のセシリアのもとに、ある日突然、義妹だという少女が現れた。
彼女はメリル。父親の友人であった彼女の父が不幸に見舞われ、親族に虐げられていたところを父が引き取ったらしい。
だがこの女、セシリアの父に欲しいものを買わせまくったり、人の婚約者に媚を打ったり、夜会で非常識な言動をくり返して顰蹙を買ったりと、どうしようもない。
「お義姉さま!」 . .
「姉などと呼ばないでください、メリルさん」
しかし、今はまだ辛抱のとき。
セシリアは来たるべき時へ向け、画策する。
──これは、20年前の断罪劇の続き。
喜劇がくり返されたとき、いま一度鉄槌は振り下ろされるのだ。
※ご指摘を受けて題名を変更しました。作者の見通しが甘くてご迷惑をおかけいたします。
旧題『義妹ができましたが大嫌いです。〜断罪劇の次世代たち〜』
※初投稿です。話に粗やご都合主義的な部分があるかもしれません。生あたたかい目で見守ってください。
※本編完結済みで、毎日1話ずつ投稿していきます。

公爵令嬢の辿る道
ヤマナ
恋愛
公爵令嬢エリーナ・ラナ・ユースクリフは、迎えた5度目の生に絶望した。
家族にも、付き合いのあるお友達にも、慕っていた使用人にも、思い人にも、誰からも愛されなかったエリーナは罪を犯して投獄されて凍死した。
それから生を繰り返して、その度に自業自得で凄惨な末路を迎え続けたエリーナは、やがて自分を取り巻いていたもの全てからの愛を諦めた。
これは、愛されず、しかし愛を求めて果てた少女の、その先の話。
※暇な時にちょこちょこ書いている程度なので、内容はともかく出来についてはご了承ください。
追記
六十五話以降、タイトルの頭に『※』が付いているお話は、流血表現やグロ表現がございますので、閲覧の際はお気を付けください。
婚約破棄? 私、この国の守護神ですが。
国樹田 樹
恋愛
王宮の舞踏会場にて婚約破棄を宣言された公爵令嬢・メリザンド=デラクロワ。
声高に断罪を叫ぶ王太子を前に、彼女は余裕の笑みを湛えていた。
愚かな男―――否、愚かな人間に、女神は鉄槌を下す。
古の盟約に縛られた一人の『女性』を巡る、悲恋と未来のお話。
よくある感じのざまぁ物語です。
ふんわり設定。ゆるーくお読みください。
【完結】欲しがり義妹に王位を奪われ偽者花嫁として嫁ぎました。バレたら処刑されるとドキドキしていたらイケメン王に溺愛されてます。
美咲アリス
恋愛
【Amazonベストセラー入りしました(長編版)】「国王陛下!わたくしは偽者の花嫁です!どうぞわたくしを処刑してください!!」「とりあえず、落ち着こうか?(にっこり)」意地悪な義母の策略で義妹の代わりに辺境国へ嫁いだオメガ王女のフウル。正直な性格のせいで嘘をつくことができずに命を捨てる覚悟で夫となる国王に真実を告げる。だが美貌の国王リオ・ナバはなぜかにっこりと微笑んだ。そしてフウルを甘々にもてなしてくれる。「きっとこれは処刑前の罠?」不幸生活が身についたフウルはビクビクしながら城で暮らすが、実は国王にはある考えがあって⋯⋯?
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる