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第2章
63.婚約2 ざまあ
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リゾートホテルの部屋割りでひと悶着は、あったものの、その日は全員宿泊することになった。
アルカイダ国から公爵家と侯爵家を2家の領地付きで持ってきたので、領地の使用人が丸まるダブっている。その者たちをリゾートホテルで使用人として使っているので、急な来客でも、十分に対応できるのだ。
空を飛んできたので、帰り道がわからないということが理由だったらしいけど、部屋は全室がスイートルーム仕様なのだが、第2王子殿下とカトリーヌ様はあえて、部屋を別々にする。
だって、お輿入れ前に間違いがあってはいけないもの。
翌朝は、ホテルのロビーにゲートを設け、そこを通って、王城に戻ってもらう。そこは、もう王城の玄関ホールにつながっているので、そこでカトレーヌ様とともに、いったん学園の寮まで行き、そこで別れる。
今のところ、学園の寮は見せかけだけで、毎日、聖女島から通学していることは内緒にしている。でも、バレるのも時間の問題かもしれないけどね。
「聖女様、楽しい時間をありがとうございました」
「まだ学園には、聖女様であることを言っていないの。だからそのつもりでいてね」
「新婚旅行は、ぜひ聖女様の島へ行ってみたいですわ」
「そうね、もう少しシドニー国寄りに移動させましょうか?なんなら大橋でも作って行き来ができるようにしてもいいかもしれないわね」
「えっ!そんなこと、できるのですか?」
「造作もないことよ」
ジェニファーは、今日の放課後にでも、シドニー国の周りの小島探索に出かけるつもりでいる。
とりあえず、寮に戻り、空中クローゼットに入ると、中で思わぬ人物と遭遇し、思わず腕を掴まれてしまう。
それはガブリエル様だった。
「どうして、俺の元から去ってしまわれたのか?」
「え……と、他に好きな殿方ができたので……」
とりあえず、苦し紛れに行っても信じてくれない。そういえば、愛想が尽きてから、ガブリエルの私室側のクローゼットをそのままの状態にしていたことを思い出し、今更ながらに青くなる。
「俺は、何度も聖女島へ足を運び、司祭様や教皇様とお会いしたが、いつも「聖女様はここには、おられない」とばかりいわれていたのだ。わかるように、ちゃんと説明してくれ」
そんな話、初耳だったので、ビックリする。
「どこから話せばいいのかしら?そうね、縁談の聞き合わせに行ったのよ。そしたらクリスティーヌ様のことを聞いて、一気に熱が冷めてしまって」
「えっ!確かにクリスティーヌと婚約していたが……不幸な事件があり、もう終わった話だったので、あえて、聖女様に言わなかったことで、別に隠していたわけではない!誤解しないでいただきたい」
「でも、それがきっかけで、冷めちゃったの。ごめんなさい」
「しかし、俺は終わったとは思っていない」
「わたくしのこと、聖女様だと知らずに好きになってくれる殿方を見つけてしまったので、その男性と結婚することにしましたのよ。だから、もう終わりにしてくださる?」
「そんな……私とでは、ダメなのですか?」
「新品の優良物件だったので、彼と結婚します」
「待って、では、せめて、最後にもう一度山の神を鎮めてくれぬだろうか?」
「ガブリエル様は、わたくしを女性として必要だと思われていないところが、気に入らなかったのです。わたくしのことは聖女様としてでしか見てくれなかったでしょう?それに教会関係者からもうかがいましたが、この前の祈りのお布施も支払っていただいていないようですし、便利扱いするのやめていただけませんか?」
「え……それは、すまなかった。気づかなくて、ジェニファー様のことは、女性として崇拝しております。ウソではありません」
「もう、いいですわ。過ぎたことですし、もう二度とわたくしの前に現れないでくださいね」
ジェニファーは、パサラン国との通信手段を閉じてしまい、ガブリエルに手を振って、別れを告げる。
アルカイダ国から公爵家と侯爵家を2家の領地付きで持ってきたので、領地の使用人が丸まるダブっている。その者たちをリゾートホテルで使用人として使っているので、急な来客でも、十分に対応できるのだ。
空を飛んできたので、帰り道がわからないということが理由だったらしいけど、部屋は全室がスイートルーム仕様なのだが、第2王子殿下とカトリーヌ様はあえて、部屋を別々にする。
だって、お輿入れ前に間違いがあってはいけないもの。
翌朝は、ホテルのロビーにゲートを設け、そこを通って、王城に戻ってもらう。そこは、もう王城の玄関ホールにつながっているので、そこでカトレーヌ様とともに、いったん学園の寮まで行き、そこで別れる。
今のところ、学園の寮は見せかけだけで、毎日、聖女島から通学していることは内緒にしている。でも、バレるのも時間の問題かもしれないけどね。
「聖女様、楽しい時間をありがとうございました」
「まだ学園には、聖女様であることを言っていないの。だからそのつもりでいてね」
「新婚旅行は、ぜひ聖女様の島へ行ってみたいですわ」
「そうね、もう少しシドニー国寄りに移動させましょうか?なんなら大橋でも作って行き来ができるようにしてもいいかもしれないわね」
「えっ!そんなこと、できるのですか?」
「造作もないことよ」
ジェニファーは、今日の放課後にでも、シドニー国の周りの小島探索に出かけるつもりでいる。
とりあえず、寮に戻り、空中クローゼットに入ると、中で思わぬ人物と遭遇し、思わず腕を掴まれてしまう。
それはガブリエル様だった。
「どうして、俺の元から去ってしまわれたのか?」
「え……と、他に好きな殿方ができたので……」
とりあえず、苦し紛れに行っても信じてくれない。そういえば、愛想が尽きてから、ガブリエルの私室側のクローゼットをそのままの状態にしていたことを思い出し、今更ながらに青くなる。
「俺は、何度も聖女島へ足を運び、司祭様や教皇様とお会いしたが、いつも「聖女様はここには、おられない」とばかりいわれていたのだ。わかるように、ちゃんと説明してくれ」
そんな話、初耳だったので、ビックリする。
「どこから話せばいいのかしら?そうね、縁談の聞き合わせに行ったのよ。そしたらクリスティーヌ様のことを聞いて、一気に熱が冷めてしまって」
「えっ!確かにクリスティーヌと婚約していたが……不幸な事件があり、もう終わった話だったので、あえて、聖女様に言わなかったことで、別に隠していたわけではない!誤解しないでいただきたい」
「でも、それがきっかけで、冷めちゃったの。ごめんなさい」
「しかし、俺は終わったとは思っていない」
「わたくしのこと、聖女様だと知らずに好きになってくれる殿方を見つけてしまったので、その男性と結婚することにしましたのよ。だから、もう終わりにしてくださる?」
「そんな……私とでは、ダメなのですか?」
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「待って、では、せめて、最後にもう一度山の神を鎮めてくれぬだろうか?」
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「え……それは、すまなかった。気づかなくて、ジェニファー様のことは、女性として崇拝しております。ウソではありません」
「もう、いいですわ。過ぎたことですし、もう二度とわたくしの前に現れないでくださいね」
ジェニファーは、パサラン国との通信手段を閉じてしまい、ガブリエルに手を振って、別れを告げる。
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