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第2章

51.縁談1

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 なるほど……。灯台があれば、そこに陸地があることがわかる。

 ジェニファーはいわれた通りに、新しくくっつけた4島にそれぞれ灯台を設置する。

 なんとなくだが、少しは島らしくなったような気がする。

 そうこうしているうちに、使節団はやってきた。

 「はじめまして、我々はケセラン国から参りました。聖女様の島ということで、間違いないでしょうか?」

 こういう時の対応は、父の公爵ではなく国教会の教皇様にお願いしている。

 宗教というワンクッションがあった方が、なるべくコトを荒立てなくて済むのではないかという浅はかな思い込みから、そうしたわけであるが、どうなのだろうと実はジェニファーは疑っている。

 「さよう。この島は聖女様がお創りになった島でございます」

 「我々は、できれば聖女様の島と交易をしたいと思っておるのだが、いかがでしょうか?」

 「はて。それは、わたくしども教会に対し、布教活動を認めるということで理解してよい話なのか?」

 使節団が、布教活動を認めるという権限はない。

 「持ち帰って、相談してみます」

 精一杯の返事をしたものの、布教活動が認められないのであれば、と教皇様は興味が半ば薄れたような態度をとられる。

 こうなってしまえば、使節団の方も、何のために来たのかわからなくなり、所在なさげに目を泳がせているばかり。仕方なく

 「仕方がございませんな。本来、我々が口にすることではございませんが、聖女様が同伴されるのであれば、布教活動を認めることにいたしましょう。我々の方から、陛下に進言して、きっと了解を得ますから、ご心配なさらずにいらしてください」

 「さようか。それでは、そうさせてもらいましょう」

 教皇様は、すぐにでも、ケセラン国に向けてお布施集めに行きたいと思っていらっしゃたのだが、この使節団が帰られてから、いろいろなことがあり過ぎて、まだ出発に行けていないということが現状なのだ。



-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-



 使節団が帰られて、すぐケセラン国の南の海上に聖女様が島を作られたという流言が周辺国に漏れる。

 それで、我先に、とばかりにジェニファーに縁談が舞い込み、正直、その対応だけで、手いっぱいなのだ。

 もう、布教活動、お布施集めなどと言っていられない量の縁談に辟易している。

 でも、なぜか母上だけは、ハイテンションになっておられ、絵姿を眺めては、横に置きさらに新しい絵姿を取り出し、また横に置きをくりかえしていらっしゃる。

 「ジェニファーちゃん、どの殿方も素敵すぎて、目移りしちゃうわよね?」

 実のところ、ジェニファーはまだほとんど、釣り書きを目にしていない。教会あてに届いた釣り書きの類は、最初、全部母上のところに集められる。

 「まあ、絵姿だけではわからないことの方が多いから、一度、見に行ってらっしゃいな?それとも、あちらから来てくださるということかしらね」

 結局、母上のお眼鏡にかなった人だけに絞られるということに違いはない。

 ジェニファーとしては、スティーブン以外の男であれば、誰でもいいともいえるけど、やはり、前世のことを考えても、女は男次第ということもあり、そう誰でもいいというわけにはいかない。

 それにたぶん……だけど、スティーブンはこの世にいない。だから余計誰でもいいとは思えないのだった。

 でも、この縁談騒ぎは、思わぬ嬉しい誤算を招いてくれる。それは、念のため余った4島にリゾートホテルを立てていたこと。それがフル稼働することになってしまったのだ。

 縁談の売り込みをした相手が聖女様の島に陣取って、いい返事が聞けるまでと頑張っている。

 それに母上が、便乗しちゃって、絵姿と実物との違いがないか、確かめに行かれるので、その結果報告を聞くため、空中クローゼットは開けっ放しにしている状態。

 「この絵姿は、少し前の絵姿だったわ。残念ね」
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