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第2章
41.転生
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あれから100年の月日が流れ、ジェニファーの魂を持つ聖女様は、バラード国より8000キロメートルほど離れた小国アルカイダの公爵令嬢ジェニファー・グラントとして転生したことになっている。
聖女様は、1000年に一度しか現れない伝説級の女性、しかしながら人間の寿命はせいぜい100年足らず、残りの900年は聖女様なしでは、不安がある。
仏教でも、正法・像法・末法思想があり、その間、どうやって繋いでいたかは、それぞれ受け継ぐ伝承者がいたという。
今回、その伝承者の役割を担っているのがジェニファーということ。
ジェニファーが、今世で前世の記憶を取り戻したのが3歳の頃、遊んでいたオモチャがずいぶん散らかっていて、乳母が少し目を離し部屋から出て行ったときに、「収納」と心の中で念じてみると、あっという間に空中クローゼットの中に消えていく。その様子を見て、ジェニファーは自らが前世、聖女様をやっていたことを思い出したのだ。
それからは、子供らしからぬ聖女様だったわけだが、偶然にもジェニファーは公爵家令嬢として生まれ、かなりの美貌であったことから、あっという間に第1王子殿下の婚約者の座に滑り込まされたわけだが、どうやら今世も婚約者様は、浮氣をしていらっしゃる模様。
さて、どうするか?と思っていたところ、今日、お城より使いが来る。
ジェニファーは、お城へ呼ばれたわけだ。もう、用件はわかっているが、行かないわけにはいかない。
ひょっとすれば、この国から追放になるかもしれない。今世のジェニファーとしては、まだ行ったことがないが、ジャガード国の王都のカントリーハウスの敷地があれば、公爵邸をまるッと引っ越しさせても大丈夫だろうと思う。
それで、あらかじめ執事に、もし公爵邸が闕所になるようなことがあれば、使用人の中で、ここに留まりたいと思うものがいるかどうか、ある程度の人数を確認したいと申し付けていたのだ。
今日、お城に行って、婚約破棄を言い渡されたところで、公爵家にはお咎めがないかもしれないが、この国はもう、カウントダウンが始まっていることだろうと予想した。
すなわち、聖女様を蔑ろにした国が存在理由などないということ。ジェニファーガ手を下さずとも、神界の神様がきっと、処断してくださるはず。と踏んでいる。
なんせ、今世では、伝承者なのだから、聖女様の魔法と同じものを操れるのだが、それでは歴史のつじつまが合わない。いや、ひょっとすれば、聖女様としての存在になるかもしれない。
ジャガード国に移り住むと、ここから9000キロメートル、でもバラード国とは1000キロメートルしか離れていない。
やっぱり……聖女様とバレることは時間の問題かもしれない。
なら、どうするか?という代案がすぐには思いつかない。
とりあえず、領地にでも引っ込むか?真っ先に王都がやられるだろうから、その間の時間稼ぎにはなる。
着替える時間があるにしても、いつまでも使者の方をお待たせするわけにもいかない。
そこで、踏ん切りをつけ、ジェニファーは立ち上がり、お城へ出向くことにする。
お城では、第1王子殿下のスティーブンが、苛立った面持ちで待ち構えている。少し待たせたことが気に食わないと思っているらしい。
仕方がないでしょ?着替えて、お化粧もしなきゃなんないのだから。いくら政略だけの婚約者とはいえ、すっぴんで殿下の前には行けない。
そんなに苛立つなら、あらかじめ「何時にお城へ来い!」と言っておけば、済む話ではないか?
まあ、前世の侯爵家と侯爵家の婚約破棄ではないのだから、いろいろと書面でのやり取りの時間が含まれていたのだから、と考えるようにした。
おそらく、今からの話は、婚約破棄でほぼ間違いないだろう。
そして、この話は、国王陛下の御裁可も落ちているということを意味する。
聖女様は、1000年に一度しか現れない伝説級の女性、しかしながら人間の寿命はせいぜい100年足らず、残りの900年は聖女様なしでは、不安がある。
仏教でも、正法・像法・末法思想があり、その間、どうやって繋いでいたかは、それぞれ受け継ぐ伝承者がいたという。
今回、その伝承者の役割を担っているのがジェニファーということ。
ジェニファーが、今世で前世の記憶を取り戻したのが3歳の頃、遊んでいたオモチャがずいぶん散らかっていて、乳母が少し目を離し部屋から出て行ったときに、「収納」と心の中で念じてみると、あっという間に空中クローゼットの中に消えていく。その様子を見て、ジェニファーは自らが前世、聖女様をやっていたことを思い出したのだ。
それからは、子供らしからぬ聖女様だったわけだが、偶然にもジェニファーは公爵家令嬢として生まれ、かなりの美貌であったことから、あっという間に第1王子殿下の婚約者の座に滑り込まされたわけだが、どうやら今世も婚約者様は、浮氣をしていらっしゃる模様。
さて、どうするか?と思っていたところ、今日、お城より使いが来る。
ジェニファーは、お城へ呼ばれたわけだ。もう、用件はわかっているが、行かないわけにはいかない。
ひょっとすれば、この国から追放になるかもしれない。今世のジェニファーとしては、まだ行ったことがないが、ジャガード国の王都のカントリーハウスの敷地があれば、公爵邸をまるッと引っ越しさせても大丈夫だろうと思う。
それで、あらかじめ執事に、もし公爵邸が闕所になるようなことがあれば、使用人の中で、ここに留まりたいと思うものがいるかどうか、ある程度の人数を確認したいと申し付けていたのだ。
今日、お城に行って、婚約破棄を言い渡されたところで、公爵家にはお咎めがないかもしれないが、この国はもう、カウントダウンが始まっていることだろうと予想した。
すなわち、聖女様を蔑ろにした国が存在理由などないということ。ジェニファーガ手を下さずとも、神界の神様がきっと、処断してくださるはず。と踏んでいる。
なんせ、今世では、伝承者なのだから、聖女様の魔法と同じものを操れるのだが、それでは歴史のつじつまが合わない。いや、ひょっとすれば、聖女様としての存在になるかもしれない。
ジャガード国に移り住むと、ここから9000キロメートル、でもバラード国とは1000キロメートルしか離れていない。
やっぱり……聖女様とバレることは時間の問題かもしれない。
なら、どうするか?という代案がすぐには思いつかない。
とりあえず、領地にでも引っ込むか?真っ先に王都がやられるだろうから、その間の時間稼ぎにはなる。
着替える時間があるにしても、いつまでも使者の方をお待たせするわけにもいかない。
そこで、踏ん切りをつけ、ジェニファーは立ち上がり、お城へ出向くことにする。
お城では、第1王子殿下のスティーブンが、苛立った面持ちで待ち構えている。少し待たせたことが気に食わないと思っているらしい。
仕方がないでしょ?着替えて、お化粧もしなきゃなんないのだから。いくら政略だけの婚約者とはいえ、すっぴんで殿下の前には行けない。
そんなに苛立つなら、あらかじめ「何時にお城へ来い!」と言っておけば、済む話ではないか?
まあ、前世の侯爵家と侯爵家の婚約破棄ではないのだから、いろいろと書面でのやり取りの時間が含まれていたのだから、と考えるようにした。
おそらく、今からの話は、婚約破棄でほぼ間違いないだろう。
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