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第1章

34.ママ友会1

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 地獄の特訓というべきか?修行のような夜伽のおかげで、ようやく2度目の懐妊に成功したのは、ロザリアーヌ生後3か月のことであった。

 それから約半年後、今度は見事に元気な男児・王子を出産することができて、やっとあの過酷な夜のお務めから解放され、身も心ものびのびして、安心してリラックスしての休眠が取れるというもの。

 産後は、すっかり変ってしまった体型のための衣装作りから始まる。

 もう滅茶苦茶頑張ることは辞めることにしたのよ。人間、何もかも完ぺきにやろうと思ってはダメだということが出産でジェファニーが学んだことと言える。

 取捨選択。

 ジェニファーにとって、何が大切なものかをよく考えてから、選んでいくようにした。

 ダイエットもそのうちのひとつで、結婚前の体型に無理に戻ろうとは思わない。

 引き締まった二の腕やお腹、ウエストラインが少々ゆるゆるでも気にしない。

 毎日、美味しく食事を頂けることの方が喜びが大きくて、ダイエットのために好きなものを我慢することなどできそうにない。

 アレクサンダーも王子を産んでからはというもの、難しい体位の要求もなくなり、どういうわけか、正面からジェニファーのことを抱きしめたいらしく、対面座位か正常位が多くなったような気がする。

 ジェニファーが少々太ったところで、アレクサンダーは何も言わない。

 むしろ前よりもかわいくなって、嬉しいとほざいている。

 まあ、別にいいけど。

 聖女様のお仕事も、ほどほどにして、最近は、ママ友と仲良くしている。

 ママ友と言っても、セシールとアレサンダー2世の乳母のエリザベス。

 エリザベスは、侯爵夫人で、ロザリーㇴと同時期に出産した男児の母。

 将来、アレクサンダー2世の良い側近?お友達になってくれればうれしい。

 3人とそれぞれの子供たちを交えて、お茶会やピクニックをしていたら、同じ時期に子供を出産したご婦人の間に噂が流れ、ぜひそのママ友会に入りたいと希望者が殺到する。

 貴族のご婦人は、出産後産みっぱなしで子育てに積極的に関与させてもらえない。そういった不安や悩みをどこかにぶつけたいと思っている人は多い。

 たまには、自分の子供を抱っこしたいという欲求は自然なこと。それを男たちは、女性は子供製造機ぐらいにしか思っていないところが、腹が立つなどとうっぷんを晴らせる場所が必要だということをわかっていない。

 ジェニファーは、聖女様の仕事は、司祭様に丸投げして、妊産婦さんの心のケアを大事にしたいと考えるようになる。

 自分も含めて、他のママ友さんとじっくり話がしたい。

 司祭様は、それを理解してくださり、こころよくジェニファーの背中を押してくださり助かる。

 それからというものママ友会を頻繁に行うようになる。セシールやエリザベスには悪いけど……と思っていたら、二人ともとても喜んでくれて。

 産後の不安な気持ちが二人ともあり、聖女様であり王太子妃殿下が率先して、こういう集まりをしてくださることに賛同すると言ってくれたのだ。

 それからは、夜会でも頻繁にママ友会を招集するようになり、一大派閥が出来上がることに時間はかからなかった。

 そんな中、ママ友会に入らなかった公爵夫人が、眼前とジェニファー達の前に立ちふさがってきたのだ。

 「産後の不安、不満を解消する会ですって!?バカバカしい!そんなことだから、旦那に愛人作られてポイっされるのよ!」

 その女性の名前は、ジャクリーン・ハイビスカス公爵夫人。

 確かに……、産後太りもないカラダは、ジェニファーから見ても眩しい。でも、それとレスは関係ないような気がする。

 現に、アレクサンダーは、ちょっとふっくらしたジェニファーが「女性らしい。」と言って褒めてくれる。

 一時的にレスになっているのは、夫の優しさからくるものではないか。と。
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