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第1章

27.里帰り3

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 ジャガード王の眼の前で転移して見せたところ、陛下はどうしてもジェニファーガ欲しいと思ってしまったようで、全然諦めてくれない。

 聖女様を何が何でも手に入れたい。その思いだけで、動いているかのように、手始めに、ブレンディ家を拘束することにしたのだ。

 両親は、パーティの最中に突然、衛兵に捕まり、そのまま投獄された。商会はクローズアウトされ、店内にいたお客様は無理やり追い出され、店の前では規制線が張られることになってしまったのだ。

 「聖女様が儂の思い通りにならないから、こうしてやる!恨むのなら、娘を恨め!」

 「ウチの娘は聖女様ですよ。こんなことをして、ただで済むと思っているの?」

 「ははは。なんとでも言え。両親を返してほしくば、儂の言う通り愛人になれ。全裸で寝所に忍び込んできたら、お前たち夫婦を解放してやろう。」

 その会話をジェニファーは隠ぺい魔法で全部聞いている。

 陛下が蝋から出ていくと、姿を現し、両親を連れて、転移で実家の商会に戻る。

 今後の対策会議を開くためである。

 ジェニファーの餡はというと、ブレンディ家の商会建物とタウンハウス、領地のカントリーハウス、領主の館ごと、ヒューズ国の聖女領地へ転移させる。

 そして、商会の使用人全員とその家族をなんとかヒューズ国聖女領地へ移動し、しばらくは領地で生活してもらう。

 同級生の貴族令嬢も希望者があれば、同じようにヒューズ聖女領地への移転を認める。

 そして、この国を潰す。

 潰すやり方は、神様の使者に任せるものの、ヤーパン国で、そのやり方を学んだので、自ら行ってもいいと思っている。

 できるタイミングを計れるので、それがいいかなぁと考えている。

 ジェニファーだけが、あのパーティ会場に隠ぺい魔法をかけたまま戻り、索敵魔法でお友達の貴族令嬢を探す。

 なんと、まだ姿を見せないジェニファーにイラつき、お友達もあわや人質にされそうなところを危機一髪で救う。

 「ジェニファーよ。これから言うことは声を出さないで、聞いてね。ジャガード王は、わたくしを側室にしたいと思っておられるの。もちろんお断りするつもりでいるけど、アナタたちを人質にして、わたくしに言うことを利かせるつもりでいらしているから、もうジャガード国を潰すつもりでいます。だから、わたくしの実家とともに、ヒューズ国にある聖女領地に移り住みたいと希望がある人は、連れて行きます。希望者は耳を触ってください。まずは人間だけを移し、その後、建物を移しますから、心配しないでね。」

 ジェニファーの両親は、指定された空中クローゼットの中を通り、先に聖女領地に着いている。

 使用人とその家族も裏口から抜け出し、家財道具はそのままにして、手荷物だけ持って、指定された商会の通路を通り、聖女領地へと行く。

 高齢者や病人には、空飛ぶ絨毯を貸与して移動を促す。空に五芒星を再び出し、そこまで飛んで行ってもらうやり方をしたところ、聖女領地へ着くまでの間、「ナンマイダ」と拝まれる。縁起でもない。

 お友達の令嬢の全員が耳を触ったことを確認し、それぞれの家に出向き、同じ説明を繰り返す。

 婚約者がいる令嬢は、その男性も希望すれば、迎えると伝え、先に避難を急がせる。

 ジェニファーが使用人の家を回り、次々と空中クローゼットの中に家をしまい込んでいく。

 いったい、何原文の家が収まるのか見当がつかないが、令嬢の邸宅も入れても、まだまだ余裕があるようだったので、それから一度も聖女領地に飛ばず、家を収納し続ける。

 王都の町並みで、ポツリポツリと空き地が目立つようになったころには、白髪うっすらと白ばんできて、夜が明ける寸前になっていることがわかる。

 それでいったん聖女領地へ戻り、こんどは次々にとりあえず家を出していく区画整理や道路はまだできていない。

 ブレンディ家の者が、次々に来る移民の世話をしてくれていたみたいなので、助かる。
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