26 / 99
第1章
26.里帰り2
しおりを挟む
その後もジャガード王家からしつこくジェニファー宛にパーティの出席を、招待状が何度も舞い込む。
夫婦で招待なら、一度ぐらいは行こうと思っていても、いつもなぜかジェニファーにだけ来る招待状に拒否するしかない。
アレクサンダーは、「行っておいで。」と言ってくれるが、内心はどう思っているのかわからない。
ジャガード国には、同級生の貴族令嬢も多数いるから、同窓会のノリで行ってもいいとは思うけど、なんだか、あまり気乗りがしない。
「そんなに難しく考える必要はないと思うよ。気楽に生まれ故郷のパーティに出席すればいい。」
ブレンディ家から、また結婚式に来てくれた同級生の家からも、ひっきりなしに誘われるが、どうしてジェニファーが行かなければならないのか理解できない。
ジェニファーが聖女様になったから、という理由だけではないような気がするから。
ブレンディ家にも、王家の使者の方が何度となく足を運び、聖女様を説得するようにと、言われているらしい。
「あの娘は、もう嫁に行った身ですから、何卒ご容赦を。」と逃げていても、またしばらくすると別の使者の方が見えて、説得してくれと頼まれる。
実家の母上から、幾度となくお小言を言われ、仕方なく重い腰を上げることにした。
でも、パーティにはパートナーが必須だから一人では行かず、アレクサンダー様と一緒なら、という条件付きで参加することになる。
何かあれば、バラード国とコトを構える覚悟はあるのか?という思いを込めて。
王家では、聖女様が参加されるパーティという事前触れ込みのおかげで、ずいぶんたくさんの参加者を集めることになったのだ。
ジェニファーとしては、後にも先にも、これ1回だけの参加のつもりでいる。
パーティ会場となる王城のホールには、もう満員状態で、知り合いを探すのに骨が折れる。
聖女様目当てに近寄ってくる貴族は、ほとんど知らない人ばかりで、ジェニファーはつまらない。
索敵魔法を駆使して、やっと、同級生の令嬢を見つけたと思ったら、国王陛下から声がかかり、気が付けば、アレクサンダー様とはぐれてしまっている。
後で、探せばいいかと思い、陛下の元へ行くと、陛下は相談があると別室に案内されることになる。
陛下の相談は、なんと縁談の申し込みだったので呆れる。だって、ジェニファーはもう結婚しているというのに、それに相手はまだ7歳の王子様というから、さらに驚きを通り越して、内心アホかと思う。
このために、今まで実家に何度も足しげく通い両親を説得していたのかと思うと、もはやそれは嫌がらせにしか思えない所業、結局、王家、いや王族は、カスバートソン家と同じ穴の狢であると思い知らされる。
愛するということの意味がまるで分かっていない。こんな為政者が国王陛下として、君臨している国はもはや終わっている。
返事に言い淀んでいると、何を勘違いしたのか、今度は、国王陛下の愛人、早い話が側妃とならないかというお誘いであった。
「わたくしは、アレクサンダー・フォン・バラードの妻でしてよ。お断りするに決まっておりますでしょうが!」
声を荒げて言ってみたところで、国王陛下はヘラヘラと笑っている。狂っているというよりは、聖女様より自分の方が、立場が上だと勘違いしているよう。
実家を人質にとっているとでも言いたげなのか?
「アレクサンダー殿は、今頃美女に囲まれて、ハーレムを楽しんでおられるよ。」
「なんですって!」
ジェニファーは、アレクサンダーを索敵魔法で探し出して、ロックオンする。そして、陛下の前で、そのまま転移して見せたのだ。
「アレク!何しているの!」
突如、現れた妻の姿にアレクサンダー様は大慌てに慌てふためく。それだけなら明らかに浮気の現場を押さえたことになるが、アレクサンダーは勃起していなかった。
それで、すぐに冷静になり、とにかくもう帰ろうという話で、まとまる。
夫婦で招待なら、一度ぐらいは行こうと思っていても、いつもなぜかジェニファーにだけ来る招待状に拒否するしかない。
アレクサンダーは、「行っておいで。」と言ってくれるが、内心はどう思っているのかわからない。
ジャガード国には、同級生の貴族令嬢も多数いるから、同窓会のノリで行ってもいいとは思うけど、なんだか、あまり気乗りがしない。
「そんなに難しく考える必要はないと思うよ。気楽に生まれ故郷のパーティに出席すればいい。」
ブレンディ家から、また結婚式に来てくれた同級生の家からも、ひっきりなしに誘われるが、どうしてジェニファーが行かなければならないのか理解できない。
ジェニファーが聖女様になったから、という理由だけではないような気がするから。
ブレンディ家にも、王家の使者の方が何度となく足を運び、聖女様を説得するようにと、言われているらしい。
「あの娘は、もう嫁に行った身ですから、何卒ご容赦を。」と逃げていても、またしばらくすると別の使者の方が見えて、説得してくれと頼まれる。
実家の母上から、幾度となくお小言を言われ、仕方なく重い腰を上げることにした。
でも、パーティにはパートナーが必須だから一人では行かず、アレクサンダー様と一緒なら、という条件付きで参加することになる。
何かあれば、バラード国とコトを構える覚悟はあるのか?という思いを込めて。
王家では、聖女様が参加されるパーティという事前触れ込みのおかげで、ずいぶんたくさんの参加者を集めることになったのだ。
ジェニファーとしては、後にも先にも、これ1回だけの参加のつもりでいる。
パーティ会場となる王城のホールには、もう満員状態で、知り合いを探すのに骨が折れる。
聖女様目当てに近寄ってくる貴族は、ほとんど知らない人ばかりで、ジェニファーはつまらない。
索敵魔法を駆使して、やっと、同級生の令嬢を見つけたと思ったら、国王陛下から声がかかり、気が付けば、アレクサンダー様とはぐれてしまっている。
後で、探せばいいかと思い、陛下の元へ行くと、陛下は相談があると別室に案内されることになる。
陛下の相談は、なんと縁談の申し込みだったので呆れる。だって、ジェニファーはもう結婚しているというのに、それに相手はまだ7歳の王子様というから、さらに驚きを通り越して、内心アホかと思う。
このために、今まで実家に何度も足しげく通い両親を説得していたのかと思うと、もはやそれは嫌がらせにしか思えない所業、結局、王家、いや王族は、カスバートソン家と同じ穴の狢であると思い知らされる。
愛するということの意味がまるで分かっていない。こんな為政者が国王陛下として、君臨している国はもはや終わっている。
返事に言い淀んでいると、何を勘違いしたのか、今度は、国王陛下の愛人、早い話が側妃とならないかというお誘いであった。
「わたくしは、アレクサンダー・フォン・バラードの妻でしてよ。お断りするに決まっておりますでしょうが!」
声を荒げて言ってみたところで、国王陛下はヘラヘラと笑っている。狂っているというよりは、聖女様より自分の方が、立場が上だと勘違いしているよう。
実家を人質にとっているとでも言いたげなのか?
「アレクサンダー殿は、今頃美女に囲まれて、ハーレムを楽しんでおられるよ。」
「なんですって!」
ジェニファーは、アレクサンダーを索敵魔法で探し出して、ロックオンする。そして、陛下の前で、そのまま転移して見せたのだ。
「アレク!何しているの!」
突如、現れた妻の姿にアレクサンダー様は大慌てに慌てふためく。それだけなら明らかに浮気の現場を押さえたことになるが、アレクサンダーは勃起していなかった。
それで、すぐに冷静になり、とにかくもう帰ろうという話で、まとまる。
1
お気に入りに追加
799
あなたにおすすめの小説
この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが
お認めください、あなたは彼に選ばれなかったのです
めぐめぐ
恋愛
騎士である夫アルバートは、幼馴染みであり上官であるレナータにいつも呼び出され、妻であるナディアはあまり夫婦の時間がとれていなかった。
さらにレナータは、王命で結婚したナディアとアルバートを可哀想だと言い、自分と夫がどれだけ一緒にいたか、ナディアの知らない小さい頃の彼を知っているかなどを自慢げに話してくる。
しかしナディアは全く気にしていなかった。
何故なら、どれだけアルバートがレナータに呼び出されても、必ず彼はナディアの元に戻ってくるのだから――
偽物サバサバ女が、ちょっと天然な本物のサバサバ女にやられる話。
※頭からっぽで
※思いつきで書き始めたので、つたない設定等はご容赦ください。
※夫婦仲は良いです
※私がイメージするサバ女子です(笑)
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
うたた寝している間に運命が変わりました。
gacchi
恋愛
優柔不断な第三王子フレディ様の婚約者として、幼いころから色々と苦労してきたけど、最近はもう呆れてしまって放置気味。そんな中、お義姉様がフレディ様の子を身ごもった?私との婚約は解消?私は学園を卒業したら修道院へ入れられることに。…だったはずなのに、カフェテリアでうたた寝していたら、私の運命は変わってしまったようです。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
【完結】今世も裏切られるのはごめんなので、最愛のあなたはもう要らない
曽根原ツタ
恋愛
隣国との戦時中に国王が病死し、王位継承権を持つ男子がひとりもいなかったため、若い王女エトワールは女王となった。だが──
「俺は彼女を愛している。彼女は俺の子を身篭った」
戦場から帰還した愛する夫の隣には、別の女性が立っていた。さらに彼は、王座を奪うために女王暗殺を企てる。
そして。夫に剣で胸を貫かれて死んだエトワールが次に目が覚めたとき、彼と出会った日に戻っていて……?
──二度目の人生、私を裏切ったあなたを絶対に愛しません。
★小説家になろうさまでも公開中
【完結】第三王子殿下とは知らずに無礼を働いた婚約者は、もう終わりかもしれませんね
白草まる
恋愛
パーティーに参加したというのに婚約者のドミニクに放置され壁の花になっていた公爵令嬢エレオノーレ。
そこに普段社交の場に顔を出さない第三王子コンスタンティンが話しかけてきた。
それを見たドミニクがコンスタンティンに無礼なことを言ってしまった。
ドミニクはコンスタンティンの身分を知らなかったのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる