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第1章
20.巡礼の旅7
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ヒューズ国各地の巡礼が終わり、再び王都に戻ってきた聖女様御一行は、陛下より、空を飛びたいという願いの催促をされる。
「臣民は金貨1枚程度で、空飛ぶ絨毯に乗せてもらっているというのに、なぜ儂の願いは聞き届けられぬ?」
「陛下は何か乗り物の希望はございますか?」
「……なんでもいいのか?それなら妃や子供たちと一緒に飛びたいと思っている。」
「ご家族は、今、どちらに?」
「呼んでこよう。」
ものの5分で、大家族だけで、大広間がいっぱいになるほど埋まる。
正妻と側室が10人、その子供たちが、もう何人いるかわからないほどの数……一人ぐらいいなくても、たぶん誰も気づかないだろう。
これだけの大人数を一度に飛ばすには、絨毯では到底、間に合わない。
「これから、この建物ごと空へ飛ばします。皆様、落ちないようにそれぞれ窓際へ行ってください。自己責任でお願いしますね。」
拡声魔法を使い、注意事項を説明していく。
ジェニファーはモスクごと浮遊魔法と風魔法を使い、空中に舞上がらせる。
たまたまモスクに来ていた人たちも教会関係者はもちろんのこと、急に浮揚感があって、ビックリしている。子供たちの中には歓声を上げるものもいたが、泣き出してしまう子もいる
地上では、偶然モスクが舞い上がる時に近くにいた人たちは驚き、一斉にモスクの行方を見上げている。
モスクの中では、さすがは聖女様と陛下が聖女様を褒めそやしているので、
「いいえ。これは皆様の信心の心がわたくしに力を与え、少しでも神様のいらっしゃるところに近づけるようにしているだけです。これからも神を敬い、精進してください。」
もっともらしいことを言う。
毎日大聖堂に出入りしているうちに、だんだんジェニファーも洗脳されてきている。
モスクの中で、女性の悲鳴が上がる!
振り向くと、まだ赤ん坊の王子が窓の桟の上をハイハイしていて、それで危ないと思って、抱き上げようとしたら、落ちてしまったという。
ジェニファーは、遠目の魔法を駆使して、赤ん坊がどのあたりに堕ちているかを探す。
地上から15メートルぐらいの高さを本人は、嬉しそうにきゃっきゃしながら、落ちていることを確認する。
すぐに風魔法を用い、その赤ん坊を少しだけ浮かせ、そこに魔法の絨毯を向かいに行かせる。
空中で、見事キャッチして、簀巻きにして、赤ちゃんはお母さんの元へ届けられ、拍手万雷になる。
ジェニファーは大広間に、たくさんの空飛ぶ絨毯を空中クローゼットから出し、馬が乗れる人なら、誰でも操縦ができることを教え、希望者に乗らせていく。
紳士は、次々に名乗り上げ、自分の奥さんや大事な人を乗せ、モスクから飛び立っていく。
ジェニファーは、大きめの絨毯をさらに出し、「みんなおいでよ。」と呼び掛け、子供たちをといっても、赤ん坊はダメだけど、5歳から10歳ぐらいの子供たちを10人ほど乗せ、空の旅を楽しませる。
モスクの中で、ジェニファーガ操縦している。
子供たちが戻ってきたら、今度は、陛下と奥さんたちを乗せ、モスクの周りを何周か飛ぶ。
陛下は、空の旅がよほど気に入ったのか、ジェニファーに領地の一部を褒美として賜ることができました。
「肥沃な土地だ。ここで生産されたものには税金を免除する。だから、聖女様、この土地を聖女様の領地となし、いつでも、遊びに来ておくれ。」
さらに、お土産として絨毯を1000枚ほど献上していただきました。
楽しいひと時は、あっという間に過ぎ、次はヤーパン国に向けて、出発することになり、いただいたお金や絨毯を空中クローゼットにしまい込んでいると、ヒューズ国の魔導師が近づいてきて、
「空中クローゼットの中で転移魔法を使うと、任意の場所と空中クローゼットの距離がなくなる。」
教えてくれた。
「?」
なにか、ちょっと違うような違和感があったけど、笑顔でお礼だけを言う。
「臣民は金貨1枚程度で、空飛ぶ絨毯に乗せてもらっているというのに、なぜ儂の願いは聞き届けられぬ?」
「陛下は何か乗り物の希望はございますか?」
「……なんでもいいのか?それなら妃や子供たちと一緒に飛びたいと思っている。」
「ご家族は、今、どちらに?」
「呼んでこよう。」
ものの5分で、大家族だけで、大広間がいっぱいになるほど埋まる。
正妻と側室が10人、その子供たちが、もう何人いるかわからないほどの数……一人ぐらいいなくても、たぶん誰も気づかないだろう。
これだけの大人数を一度に飛ばすには、絨毯では到底、間に合わない。
「これから、この建物ごと空へ飛ばします。皆様、落ちないようにそれぞれ窓際へ行ってください。自己責任でお願いしますね。」
拡声魔法を使い、注意事項を説明していく。
ジェニファーはモスクごと浮遊魔法と風魔法を使い、空中に舞上がらせる。
たまたまモスクに来ていた人たちも教会関係者はもちろんのこと、急に浮揚感があって、ビックリしている。子供たちの中には歓声を上げるものもいたが、泣き出してしまう子もいる
地上では、偶然モスクが舞い上がる時に近くにいた人たちは驚き、一斉にモスクの行方を見上げている。
モスクの中では、さすがは聖女様と陛下が聖女様を褒めそやしているので、
「いいえ。これは皆様の信心の心がわたくしに力を与え、少しでも神様のいらっしゃるところに近づけるようにしているだけです。これからも神を敬い、精進してください。」
もっともらしいことを言う。
毎日大聖堂に出入りしているうちに、だんだんジェニファーも洗脳されてきている。
モスクの中で、女性の悲鳴が上がる!
振り向くと、まだ赤ん坊の王子が窓の桟の上をハイハイしていて、それで危ないと思って、抱き上げようとしたら、落ちてしまったという。
ジェニファーは、遠目の魔法を駆使して、赤ん坊がどのあたりに堕ちているかを探す。
地上から15メートルぐらいの高さを本人は、嬉しそうにきゃっきゃしながら、落ちていることを確認する。
すぐに風魔法を用い、その赤ん坊を少しだけ浮かせ、そこに魔法の絨毯を向かいに行かせる。
空中で、見事キャッチして、簀巻きにして、赤ちゃんはお母さんの元へ届けられ、拍手万雷になる。
ジェニファーは大広間に、たくさんの空飛ぶ絨毯を空中クローゼットから出し、馬が乗れる人なら、誰でも操縦ができることを教え、希望者に乗らせていく。
紳士は、次々に名乗り上げ、自分の奥さんや大事な人を乗せ、モスクから飛び立っていく。
ジェニファーは、大きめの絨毯をさらに出し、「みんなおいでよ。」と呼び掛け、子供たちをといっても、赤ん坊はダメだけど、5歳から10歳ぐらいの子供たちを10人ほど乗せ、空の旅を楽しませる。
モスクの中で、ジェニファーガ操縦している。
子供たちが戻ってきたら、今度は、陛下と奥さんたちを乗せ、モスクの周りを何周か飛ぶ。
陛下は、空の旅がよほど気に入ったのか、ジェニファーに領地の一部を褒美として賜ることができました。
「肥沃な土地だ。ここで生産されたものには税金を免除する。だから、聖女様、この土地を聖女様の領地となし、いつでも、遊びに来ておくれ。」
さらに、お土産として絨毯を1000枚ほど献上していただきました。
楽しいひと時は、あっという間に過ぎ、次はヤーパン国に向けて、出発することになり、いただいたお金や絨毯を空中クローゼットにしまい込んでいると、ヒューズ国の魔導師が近づいてきて、
「空中クローゼットの中で転移魔法を使うと、任意の場所と空中クローゼットの距離がなくなる。」
教えてくれた。
「?」
なにか、ちょっと違うような違和感があったけど、笑顔でお礼だけを言う。
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