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第1章
16.巡礼の旅3
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ジェニファーは、ヒューズ国へ行った後、すぐに実家へ戻る。もちろん、一人ではない。
結婚してからというもの、もれなく付いてくる夫のアレクサンダーといつも一緒だ。
実家のブレンディ家も、慣れたもので、
「あら、おかえりなさい。今日は早かったのね。」
てなもので、最初程のセンセーショナルを受けていない。
あれは、結婚式の翌日、教会の講義を受けている最中、どうしても眠くてしょうがない、ついウトウトとしながら、ふかふかのベッドに横たわりたいとイメージしていたら、気が付けば、実家の嫁入り前まで使っていたベッドにダイブしてしまっていた。
その日は、家族会議が開かれるほどの衝撃だったようで、以降、帰る時は、できるだけアレクサンダーを伴うように帰っているが、最近は、アレクサンダーの方が実家に行きたがる不文律ができてしまって、実家で、兄上とチェスを興じるのが面白いらしい。
ジェニファーを置いてけぼりにして、兄上と遊んでいる姿は、妙にムカツク。
それで今日は、旅先ということもあり、セシールとジェラードも、一緒に実家にあそびにきているという体裁をとっている。
セシールは、絶対信じないと言っていたけど、百聞は一見に如かずで、あっという間に聖女様信仰の信者となってしまったのだ。
ジェラードは、セシールが行くところなら、どこでも行きたがるので、どうでもいい。
今日は、セシール+ジェラードを連れてきたので、あまりゆっくるできないと告げ
「今日は巡礼先のヒューズ国にいるから、何か欲しいものがあれば仕入れるよ。」
聖女手ぬぐいの方は、まだ売れるのだけど、聖女キーホルダーは全然売れないので、できればこれを巡礼先で売りさばいてほしいと言われてしまう。
えーっ!キーホルダーって、便利なのにね。買ってくれた人の名前を入れて売るというのでも、ダメかな?
大量のキーホルダーの在庫を空中クローゼットの中にしまい込んでいく。
「それにしても、それ便利ね。アイテムかばんの空中版みたいなものなのかしらね?」
ジェニファー自身も、どういう原理かわからないけど、突如できるようになって、驚いている。
それは、教会の書庫に入った時、何かのはずみで上の書棚から本が降り注いできたのだ。それから頭をかばうようにして、しゃがみ込み、空中に書棚に入れるように念じたところ、吸い込まれるかのように大量の書物がその空中書庫の中に吸い寄せられるように入っていく。
後から、その空中を凝視すると、あら不思議、空中なのに、きちんと整理された状態で。1巻から33巻までの書物が順番通り並んで入っている!
それで必要な分の書物だけを取り出し、読み終わると、再び念じれば、空中書庫の中に消えていく。
教会の書庫に本を戻さなければならないときも、上の方の棚にも、書物自体が意志を持っているかのように、自ら並んだ順番で入っていくのを目の当たりにし、これが司祭様がおっしゃっていた。空中クローゼットのことだと認識した。
それ以来、買い物に出かけるとき、お散歩に行くとき、セシールに持たせるのではなく、空中クローゼットに入れて持ち運びをしている。
だから、この前、野宿した時も、いとも簡単に非常食を調理し、みんなに提供できたのも、これのおかげというところ。
「お昼、食べて行くでしょう?」
あ!今日のお昼は、聖女様歓迎ランチがあるので、実家では、食べて帰れない。
「ごめん。もう、そんな時間になっていたのね。帰らないといけない時間になったわ。」
歓迎ランチで、大量のキーホルダーを売りさばくことにしよう。考えがまとまったので、アレクサンダーと忘れてはいけないセシール、それにジェラートを呼び寄せて、みんなで手を繋ぎ、一気に飛んで帰ることにする。
ちょうど、宴の直前で間に合って、よかった。
結婚してからというもの、もれなく付いてくる夫のアレクサンダーといつも一緒だ。
実家のブレンディ家も、慣れたもので、
「あら、おかえりなさい。今日は早かったのね。」
てなもので、最初程のセンセーショナルを受けていない。
あれは、結婚式の翌日、教会の講義を受けている最中、どうしても眠くてしょうがない、ついウトウトとしながら、ふかふかのベッドに横たわりたいとイメージしていたら、気が付けば、実家の嫁入り前まで使っていたベッドにダイブしてしまっていた。
その日は、家族会議が開かれるほどの衝撃だったようで、以降、帰る時は、できるだけアレクサンダーを伴うように帰っているが、最近は、アレクサンダーの方が実家に行きたがる不文律ができてしまって、実家で、兄上とチェスを興じるのが面白いらしい。
ジェニファーを置いてけぼりにして、兄上と遊んでいる姿は、妙にムカツク。
それで今日は、旅先ということもあり、セシールとジェラードも、一緒に実家にあそびにきているという体裁をとっている。
セシールは、絶対信じないと言っていたけど、百聞は一見に如かずで、あっという間に聖女様信仰の信者となってしまったのだ。
ジェラードは、セシールが行くところなら、どこでも行きたがるので、どうでもいい。
今日は、セシール+ジェラードを連れてきたので、あまりゆっくるできないと告げ
「今日は巡礼先のヒューズ国にいるから、何か欲しいものがあれば仕入れるよ。」
聖女手ぬぐいの方は、まだ売れるのだけど、聖女キーホルダーは全然売れないので、できればこれを巡礼先で売りさばいてほしいと言われてしまう。
えーっ!キーホルダーって、便利なのにね。買ってくれた人の名前を入れて売るというのでも、ダメかな?
大量のキーホルダーの在庫を空中クローゼットの中にしまい込んでいく。
「それにしても、それ便利ね。アイテムかばんの空中版みたいなものなのかしらね?」
ジェニファー自身も、どういう原理かわからないけど、突如できるようになって、驚いている。
それは、教会の書庫に入った時、何かのはずみで上の書棚から本が降り注いできたのだ。それから頭をかばうようにして、しゃがみ込み、空中に書棚に入れるように念じたところ、吸い込まれるかのように大量の書物がその空中書庫の中に吸い寄せられるように入っていく。
後から、その空中を凝視すると、あら不思議、空中なのに、きちんと整理された状態で。1巻から33巻までの書物が順番通り並んで入っている!
それで必要な分の書物だけを取り出し、読み終わると、再び念じれば、空中書庫の中に消えていく。
教会の書庫に本を戻さなければならないときも、上の方の棚にも、書物自体が意志を持っているかのように、自ら並んだ順番で入っていくのを目の当たりにし、これが司祭様がおっしゃっていた。空中クローゼットのことだと認識した。
それ以来、買い物に出かけるとき、お散歩に行くとき、セシールに持たせるのではなく、空中クローゼットに入れて持ち運びをしている。
だから、この前、野宿した時も、いとも簡単に非常食を調理し、みんなに提供できたのも、これのおかげというところ。
「お昼、食べて行くでしょう?」
あ!今日のお昼は、聖女様歓迎ランチがあるので、実家では、食べて帰れない。
「ごめん。もう、そんな時間になっていたのね。帰らないといけない時間になったわ。」
歓迎ランチで、大量のキーホルダーを売りさばくことにしよう。考えがまとまったので、アレクサンダーと忘れてはいけないセシール、それにジェラートを呼び寄せて、みんなで手を繋ぎ、一気に飛んで帰ることにする。
ちょうど、宴の直前で間に合って、よかった。
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