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第1章

15.巡礼の旅2

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 大雑把ではあるが、なんとか国境沿いに結界を張り巡らすことに成功し、いよいよ巡礼の旅に出発する。

 「最初は、ヒューズ国。今回の巡礼の旅はお布施集めが主な目的ではございません、聖女様をお披露目することに意義があると考えています。ですから、行く先々で過度のサービスをする必要は一切ございませんから、そのおつもりで。」

 「過度なサービスって、何?」

 アレクサンダーに言わせると、乞食などの物乞いが相手が聖女様だとわかると突進してくる可能性や死にかけている人を蘇えらせてくれと、頼んでくる、他にも無理難題を言ってくる者が出てくるかもしれない。そういう時に、必要以上に、かまうなということらしい。

 キリがないことと、そういう者たちに関わるとロクなことがないからという理由で、なるべく聖騎士や教会の人間が排除するが、それに聖女様は自ら首を突っ込まないように、との釘を刺しているらしい。

 なるほど。教会も大変ね。世間知らずの聖女のためにここまで、骨を折ってくれるなんて。

 でも、お布施集めが目的ではないということは無いね。お布施集めをしないと教会の運営が成り立たない。だけど、貧乏人は相手にするなってことが、要するに言いたいわけでしょ?

 ジェニファーの実家は、ジャガード国で大きな商会を経営している手前、そういう商売の機微には鋭い。

 金貨を目の前に積み上げてきた篤心家に対してまでは、同じことは言わないと思う。

 初日は、野宿することになってしまう。予定より行進が遅れてしまったせいである。

 ジェニファーは、野宿するよりは、マシと言いながら、その場で簡単な小屋を土魔法で作り、大浴場も男女別のものを作り、順番に入ってもらう。食事は非常用の保存食を遣い、皆が簡単に食べられるスープとサンドイッチを用意したのだ。

 こんなこと、聖女様になる前から、家の商売でしょっちゅうやっていたから、慣れた手つきで、どんどんやっていく。

 それをアレクサンダーは、目を細め、本当にいい妻を嫁にしたものだと感心しながら、喜んでいる。

 そして、夜。

 夫婦の寝室には、防音魔法を施したけど、どうもスル気になれない。でも、アレクサンダーは求めてくる。

 求められると、カラダを開く習性が身についていて……、抱き合って、軽くキスするところから始める。

 「今日は、激しくしないで。」

 「うん。わかっているよ。」

 なんて、どの口が言った?

 いつも以上に二人の愛の炎は燃え上がり、ジェニファーは、早めに転移して、王城の夫婦の寝室で朝までヤりまくりました。

 初めてかもしれない?夫婦の寝室で朝までヤったのは……、そもそも野宿から転移したのだから、そこは間違えてはいけない。でも今日は、また移動日だから、馬車の中で寝ればいいか?と二人とも、特に悪びれてはいない。

 その日は移動日で、二人とも、死んだように眠り続け、結局、昨日は一睡もせず、ヤりまくったことが皆にバレてしまい、起きてから気恥ずかしい思いをした。

 その日もまた、野宿になってしまい、またジェニファーが土魔法と木魔法で簡素な小屋を造り、簡単な食事を用意して、風呂も適当に火魔法で沸かし、さっさと眠ることにしたのだが、その日は、さすがに1回だけして、転移もせず、眠りに落ちた。

 次の日は、今までの遅れを取り戻すため、巡礼の旅を割愛し、空から、最初の訪問地ヒューズを目指すことにしたのだ。

 空からなら、障害物もなく、スイスイ行けるが、馬が怖がって、なかなか飛ぼうとしない。そこで、馬の下に板を置き、板ごと飛ばしてみたら、浮かんだので、木魔法で、板にするのに時間がかかったけれど、予定通り、最初の訪問地に間に合ったので、良しとする。

 ヒューズの皆さんは、突然、聖女様御一行様が空から降ってきたので、びっくりして、ショック死される方も出たとかで、大変な騒ぎになったけど、教会としてもジェニファーとしても、間に合ってよかったと安堵している。
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