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第1章
9.人さらい1
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セシールがアイスクリームを買って、戻ってきたとき、お嬢様の周りがなんとなく雰囲気が違って見える。
何か、今までと違う雰囲気を纏っていらっしゃるように見え、近衛騎士の方々も、お嬢様に跪いていらっしゃるし、セシール自身も、アイスクリームを持っていなかったら、跪くきたい気分になった。
「わぁ!美味しそう。」
その一声で、緊張感がプツリと消えたような?いつものお嬢様に戻られて、ホッとしていると、近衛騎士から怒られ、ビックリする。
「侍女殿、聖女様から離れられるときは、我々に一声かけてください。」
「はい。すみません。以後、気をつけます。」
「セシールにアイスクリームを買ってきて、と頼んだのは、わたくしですわよ?なぜ、それをわたくしに言わないのですか?セシールに謝ってください。ほら、かわいそうにこの娘、今にも泣きそうな顔をしているではございませんか?若い女性をイジメるようなことを言って、恥ずかしくはないのですか?」
お嬢様が、セシールのために怒ってくださり、涙が引っ込んでしまう。
クスクスと笑い、お嬢様の横へ腰掛けアイスクリームを頬張る。冷たくて、甘くて、美味しい。
「セシール嬢、先ほどは言葉が過ぎました。許してください。」
セシールは、満面の笑顔を浮かべて、「はい。」と返事すると、なぜか、その騎士が顔を赤らめる。
ここにも、ひとつ恋の気配がする。
騎士の名前は、ジェラード。セシールがあまりに可愛い笑顔を見せたので、つい見とれてしまったのだ。
王太子妃殿下であり聖女様をお守りするという任務の最中にも関わらず、セシールという娘に恋をしてしまうなんて、ジェラードは己を奮い立たせようと、あえて、難しい顔をして、「それでは、ごゆるりと。」一礼をして、背を向ける。
その後ろ姿に聖女様とセシール嬢は、クスクスと笑っている。
何がおかしいのか?よくわからないジェラード、首をかしげながら、持ち場に戻る。
アイスクリームを食べ終わり、再び、散策を続ける二人、今度は、ウインドウショッピングと洒落込むつもりでいる。
高級商店街へ行くつもりが、噴水に目を奪われ、真逆の露店が建ち並ぶ通りに差し掛かってしまう。
「これはこれで面白いかもしれないわね。」
赤、青、黄色、派手な色合いのテントが建ち並ぶ店を一軒一軒冷やかしながら歩く。その後ろには、ピタリと尾行しているジェラードの姿がある。
野菜、果物、肉、布地、串焼きなどの食べ物屋さん、それに輪投げなどのゲームができるところ、見世物小屋が目白押しに並んでいる。
「ごった返しているけど、何て魅力的なの!こんなところ、ジャガード国にはなかったわ!」
気が付けば、さっき、アイスクリームを食べたばかりだというのに、今は、串焼きを片手に持ち、歩きながら食べるというお行儀の悪さを披露しながら、深窓の令嬢らしからぬ楽しさを満喫している。
もう晩御飯が食べられないほど、お腹がいっぱいになった二人は、どこかでお茶でも飲んで帰ろうと話し合っていると、不意に腕を引っ張られ、テントの中に引きずり込まれてしまった。
そのテントは怪しげな真っ黒の布地のテントで、外からは様子が見えない。
「きゃぁーっっ!」
真っ先に叫び声を上げたのは、セシールで、その声にジェラードが黒のテントに飛び込んだ時は、二人の姿ばかりか、もぬけの殻の状態であった。後方の運河に、船に乗せられている二人の姿が見える。
「しまった!」
ジェラードは近衛専用の笛を吹き、全員を招集する。
ジェラードは素早く船を用意させ、船で後を追いかけるチームと陸から馬で追いかけるチームの二手に分けて、探索しながら聖女様奪還を目指す。
ついで、教会と王城に連絡を取り、応援を頼む。
その頃、セシールは恐怖に怯え、聖女様は、というと感激していらっしゃるご様子に悪党どももズッコケている。
「まあ!船にまで乗せていただけるなんて!」
何か、今までと違う雰囲気を纏っていらっしゃるように見え、近衛騎士の方々も、お嬢様に跪いていらっしゃるし、セシール自身も、アイスクリームを持っていなかったら、跪くきたい気分になった。
「わぁ!美味しそう。」
その一声で、緊張感がプツリと消えたような?いつものお嬢様に戻られて、ホッとしていると、近衛騎士から怒られ、ビックリする。
「侍女殿、聖女様から離れられるときは、我々に一声かけてください。」
「はい。すみません。以後、気をつけます。」
「セシールにアイスクリームを買ってきて、と頼んだのは、わたくしですわよ?なぜ、それをわたくしに言わないのですか?セシールに謝ってください。ほら、かわいそうにこの娘、今にも泣きそうな顔をしているではございませんか?若い女性をイジメるようなことを言って、恥ずかしくはないのですか?」
お嬢様が、セシールのために怒ってくださり、涙が引っ込んでしまう。
クスクスと笑い、お嬢様の横へ腰掛けアイスクリームを頬張る。冷たくて、甘くて、美味しい。
「セシール嬢、先ほどは言葉が過ぎました。許してください。」
セシールは、満面の笑顔を浮かべて、「はい。」と返事すると、なぜか、その騎士が顔を赤らめる。
ここにも、ひとつ恋の気配がする。
騎士の名前は、ジェラード。セシールがあまりに可愛い笑顔を見せたので、つい見とれてしまったのだ。
王太子妃殿下であり聖女様をお守りするという任務の最中にも関わらず、セシールという娘に恋をしてしまうなんて、ジェラードは己を奮い立たせようと、あえて、難しい顔をして、「それでは、ごゆるりと。」一礼をして、背を向ける。
その後ろ姿に聖女様とセシール嬢は、クスクスと笑っている。
何がおかしいのか?よくわからないジェラード、首をかしげながら、持ち場に戻る。
アイスクリームを食べ終わり、再び、散策を続ける二人、今度は、ウインドウショッピングと洒落込むつもりでいる。
高級商店街へ行くつもりが、噴水に目を奪われ、真逆の露店が建ち並ぶ通りに差し掛かってしまう。
「これはこれで面白いかもしれないわね。」
赤、青、黄色、派手な色合いのテントが建ち並ぶ店を一軒一軒冷やかしながら歩く。その後ろには、ピタリと尾行しているジェラードの姿がある。
野菜、果物、肉、布地、串焼きなどの食べ物屋さん、それに輪投げなどのゲームができるところ、見世物小屋が目白押しに並んでいる。
「ごった返しているけど、何て魅力的なの!こんなところ、ジャガード国にはなかったわ!」
気が付けば、さっき、アイスクリームを食べたばかりだというのに、今は、串焼きを片手に持ち、歩きながら食べるというお行儀の悪さを披露しながら、深窓の令嬢らしからぬ楽しさを満喫している。
もう晩御飯が食べられないほど、お腹がいっぱいになった二人は、どこかでお茶でも飲んで帰ろうと話し合っていると、不意に腕を引っ張られ、テントの中に引きずり込まれてしまった。
そのテントは怪しげな真っ黒の布地のテントで、外からは様子が見えない。
「きゃぁーっっ!」
真っ先に叫び声を上げたのは、セシールで、その声にジェラードが黒のテントに飛び込んだ時は、二人の姿ばかりか、もぬけの殻の状態であった。後方の運河に、船に乗せられている二人の姿が見える。
「しまった!」
ジェラードは近衛専用の笛を吹き、全員を招集する。
ジェラードは素早く船を用意させ、船で後を追いかけるチームと陸から馬で追いかけるチームの二手に分けて、探索しながら聖女様奪還を目指す。
ついで、教会と王城に連絡を取り、応援を頼む。
その頃、セシールは恐怖に怯え、聖女様は、というと感激していらっしゃるご様子に悪党どももズッコケている。
「まあ!船にまで乗せていただけるなんて!」
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