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第1章
3.根回し
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婚約発表披露宴まで4日間。まだアーノルドもスカーレットも到着していない領地で、久しぶりにのんびり?アレクサンダー様の人となりを知る機会を得られたことは良かった。
領民も、すでにアーノルドが浮気をして婚約破棄になったことを知っている。そのうえで、アーノルドがこの土地に足を踏み入れると聞き、目にもの見せてくれる!と息巻いていた一部の人たちも、ジェニファーの次の婚約者が隣の大国バラードの第1王子様だということを知り、慶びに溢れている。
それでアレクサンダー様とのデートにも、積極的に協力してくれている。
椅子が欲しいなぁと、思えば、いつの間にかベンチが用意されて、飲み物が欲しいなぁと思えば、すぐ誰かがお茶を淹れてくれる。というように、余計なおせっかいをされまくっている。
でも、そんな領民の心遣いをほほえましく受け取ってくれているアレクサンダー様はお心が広い方なのだなぁと、感心している。
そして、ベンチに腰掛けるときは、前もって、ハンカチを広げてくださり、そこにジェニファーが腰掛けるということまでしてくださる優しさが嬉しい。
道端に咲いている花を摘んで、ジェニファーの髪に挿してくれる。さり気ないスキンシップが気恥ずかしさを誘う。
一日、一日、と日を追うごとに親密さは増していく。
わずか4日間の婚約期間とは思えない程のスピードで、恋をしていく二人の姿はほほえましい。
愛を育むのは、時間は関係ない。お互いが寄り添う気持ちが愛を育む。
婚約発表披露宴当日の朝には、もうどこから見ても二人は立派な恋人同士、婚約者同士にサマになって見える。むしろ番としてしか、見えない。
そして、とうとう前日になり、アーノルドやスカーレットの一行が到着するのは、当日朝の予定だから、ジェニファーとアレクサンダーは秘かに準備を進めている。
お互いの気持ちに確信を持ち、当初の予定通り、明日、結婚式を挙げるために。
ジェニファーは、1週間前にお蔵入りすると見込まれたウエディングドレスを着られることが、嬉しくてしょうがない。
両親も兄上も領民からも、祝福を受け、隣国バラードへ嫁ぐ意思を固める。
つまり。勝ち誇った気分に浸っているスカーレットの鼻を根元から折る作戦で、アーノルドとスカーレットの婚約披露劇を前座に仕立て上げるつもりでいる。
式前余興のような趣向のため、明日まで、絶対、姿をみられては行けない。そこで、前の領主、つまり祖父の時代に使っていた領主の館を手直しして、そこで寝泊まりしている。
新しい方の現在、使っている領主の館には、貴賓、外国の要人のために部屋を解放している。
そして、外国からの賓客に対して、失礼がないように、前もって、結婚する相手が変わったことを告げる。理由を添えて、話すと、皆、一様にアーノルドと公爵家のやり方に憤慨している。
ジェニファー側が、アーノルドとスカーレットの婚約発表を前座に使う意向を知ると、楽しそうに大笑いされて、
「わかった。協力しよう。」と申し出てくれる。
それにしてもブレンディ家と大国バラードが親戚になるとなれば、明日、ご臨席を賜る各国の要人たちにとり、良縁この上がない話で、自分たちにとっても、最大級の利益をもたらすことは目に見えている。
たとえそれが、この国の命運を握っている公爵家を敵に回しても得るものが大きいことは火を見るよりも明らかなこと。
ジェニファーがいるこのジャガード国は、隣国の大国バラード国で持っているようなものだから、
取引先も、ジャガード国のブレンディ侯爵家を相手にするより、バラード国の親戚のブレンディ侯爵家と取引したいはず。
だいたい婚約者がいるとわかっていて、その男性に粉をかけるなど、平民の下賤な女がすることであり、公爵令嬢が侯爵令嬢から略奪するなど、あってはならないことというのがこの世界共通の認識なのだから、処罰されて当然の報いというもの。
ブレンディ領地に行けば、誰一人自分たちの味方がいないということに、まだ気づいていないアーノルドとスカーレットは、幸せいっぱいの気分で馬車に揺られている。
領民も、すでにアーノルドが浮気をして婚約破棄になったことを知っている。そのうえで、アーノルドがこの土地に足を踏み入れると聞き、目にもの見せてくれる!と息巻いていた一部の人たちも、ジェニファーの次の婚約者が隣の大国バラードの第1王子様だということを知り、慶びに溢れている。
それでアレクサンダー様とのデートにも、積極的に協力してくれている。
椅子が欲しいなぁと、思えば、いつの間にかベンチが用意されて、飲み物が欲しいなぁと思えば、すぐ誰かがお茶を淹れてくれる。というように、余計なおせっかいをされまくっている。
でも、そんな領民の心遣いをほほえましく受け取ってくれているアレクサンダー様はお心が広い方なのだなぁと、感心している。
そして、ベンチに腰掛けるときは、前もって、ハンカチを広げてくださり、そこにジェニファーが腰掛けるということまでしてくださる優しさが嬉しい。
道端に咲いている花を摘んで、ジェニファーの髪に挿してくれる。さり気ないスキンシップが気恥ずかしさを誘う。
一日、一日、と日を追うごとに親密さは増していく。
わずか4日間の婚約期間とは思えない程のスピードで、恋をしていく二人の姿はほほえましい。
愛を育むのは、時間は関係ない。お互いが寄り添う気持ちが愛を育む。
婚約発表披露宴当日の朝には、もうどこから見ても二人は立派な恋人同士、婚約者同士にサマになって見える。むしろ番としてしか、見えない。
そして、とうとう前日になり、アーノルドやスカーレットの一行が到着するのは、当日朝の予定だから、ジェニファーとアレクサンダーは秘かに準備を進めている。
お互いの気持ちに確信を持ち、当初の予定通り、明日、結婚式を挙げるために。
ジェニファーは、1週間前にお蔵入りすると見込まれたウエディングドレスを着られることが、嬉しくてしょうがない。
両親も兄上も領民からも、祝福を受け、隣国バラードへ嫁ぐ意思を固める。
つまり。勝ち誇った気分に浸っているスカーレットの鼻を根元から折る作戦で、アーノルドとスカーレットの婚約披露劇を前座に仕立て上げるつもりでいる。
式前余興のような趣向のため、明日まで、絶対、姿をみられては行けない。そこで、前の領主、つまり祖父の時代に使っていた領主の館を手直しして、そこで寝泊まりしている。
新しい方の現在、使っている領主の館には、貴賓、外国の要人のために部屋を解放している。
そして、外国からの賓客に対して、失礼がないように、前もって、結婚する相手が変わったことを告げる。理由を添えて、話すと、皆、一様にアーノルドと公爵家のやり方に憤慨している。
ジェニファー側が、アーノルドとスカーレットの婚約発表を前座に使う意向を知ると、楽しそうに大笑いされて、
「わかった。協力しよう。」と申し出てくれる。
それにしてもブレンディ家と大国バラードが親戚になるとなれば、明日、ご臨席を賜る各国の要人たちにとり、良縁この上がない話で、自分たちにとっても、最大級の利益をもたらすことは目に見えている。
たとえそれが、この国の命運を握っている公爵家を敵に回しても得るものが大きいことは火を見るよりも明らかなこと。
ジェニファーがいるこのジャガード国は、隣国の大国バラード国で持っているようなものだから、
取引先も、ジャガード国のブレンディ侯爵家を相手にするより、バラード国の親戚のブレンディ侯爵家と取引したいはず。
だいたい婚約者がいるとわかっていて、その男性に粉をかけるなど、平民の下賤な女がすることであり、公爵令嬢が侯爵令嬢から略奪するなど、あってはならないことというのがこの世界共通の認識なのだから、処罰されて当然の報いというもの。
ブレンディ領地に行けば、誰一人自分たちの味方がいないということに、まだ気づいていないアーノルドとスカーレットは、幸せいっぱいの気分で馬車に揺られている。
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