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第1章 恋愛
学校開校
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デュクオール国のアトランス領で学校が始まる。開校式には国王陛下をはじめとするデュクオールの重鎮貴族の参列がある。孫の顔見たさでデュクオールのエルヴィス国王陛下もご来臨された。
もう、孫の顔を舐めるように見られたので、少々気味が悪い。誘拐するんじゃないよね。と思えるほどである。結婚のお祝いもいただいて、孫の誕生祝も頂戴したから、辛抱することにしよう。
でもジェームズは苦虫を噛み潰したような顔をしているから、ここは嫁の立場のフローレンスがフォローしていると、やっぱりアトランス国に帰ってくるように話が向いてくる。
でも主人がもうあの国には帰りたくないでしょうし、わたくしもという話をしたらそれ以上の無理強いはなかったので、ほっとしている。
今回は、孫の顔だけ見に来たというのが本音であったみたいなので、十分にカルヴィンは遊んでもらって満足しているようであった。いずれ王位継承権の問題は出てくるだろうが、いまは、ただの好々爺と孫だけで十分な関係に思える。
エルヴィス国王がアトランス国王に戻られてから、しばらくのこと。今度はどこでどう聞きつけてきたか知らないが、マリオスがやってきた。
それもジェームズに会いに、突然、後ろから「兄さん!」と呼びかけられて、ギョっとしたらしいわ。まぁ、フローレンスの場合は、呼びかけられても「どなたですか?」の反応しかないけど、ジェームズとフローレンスが運命の出会いを果たし結婚して、カルヴィンという王子まで産まれているのだから、今さらフローレンスに愛の告白をするほどバカでもないらしい。
マリオスの用件は、フローレンスに会いに来たのだけど、もう今さらアトランス国へ帰れないので、ここに住まわせてくれないかとのことで、どうすべきかは、フローレンスと相談して決めるということで、一応はほかの街で住んでもらうことにしたのだ。
フローレンスは、正直なところ、記憶を失ってまでも思い出したくない相手が訪ねてこられ、超迷惑しているというのが本音であった。
それでも夫の弟であるから、無碍にもできずどうしたものかと考えていたら、フローレンスの父エヴェラ公爵がはっきりと、「アトランス領に住まわせるわけにはいかない。」と宣言してくれたので、助かったわ。
そして「フローレンスは、生まれ変わったのだから、もうそっとしてやってほしい。」と告げてくれた。父親というものは、ありがたいものです。
普段は何も言わずとも、ここぞというときに娘のことを思っての言動をしてくれる。
次の日、マリオスはそのまま消えた。おそらくアトランス国にも帰れず、どこかの国に自分の居場所を見つけに行ったのであろう。
「もうかかわりあいたくないのです。」フローレンスは心の底からそう感じ、思う。
愛するジェームズと子供カルヴィンのためにも二度と会いに来てほしくないと心から願う。
恋愛小説としては、完結ですが、ファンタジーとしては、まだまだ続けられそう。
どうしたものか。気が向いたら、また続けますね。
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エルヴィス国王がアトランス国王に戻られてから、しばらくのこと。今度はどこでどう聞きつけてきたか知らないが、マリオスがやってきた。
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マリオスの用件は、フローレンスに会いに来たのだけど、もう今さらアトランス国へ帰れないので、ここに住まわせてくれないかとのことで、どうすべきかは、フローレンスと相談して決めるということで、一応はほかの街で住んでもらうことにしたのだ。
フローレンスは、正直なところ、記憶を失ってまでも思い出したくない相手が訪ねてこられ、超迷惑しているというのが本音であった。
それでも夫の弟であるから、無碍にもできずどうしたものかと考えていたら、フローレンスの父エヴェラ公爵がはっきりと、「アトランス領に住まわせるわけにはいかない。」と宣言してくれたので、助かったわ。
そして「フローレンスは、生まれ変わったのだから、もうそっとしてやってほしい。」と告げてくれた。父親というものは、ありがたいものです。
普段は何も言わずとも、ここぞというときに娘のことを思っての言動をしてくれる。
次の日、マリオスはそのまま消えた。おそらくアトランス国にも帰れず、どこかの国に自分の居場所を見つけに行ったのであろう。
「もうかかわりあいたくないのです。」フローレンスは心の底からそう感じ、思う。
愛するジェームズと子供カルヴィンのためにも二度と会いに来てほしくないと心から願う。
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どうしたものか。気が向いたら、また続けますね。
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