【第1章完結】前世女医の公爵令嬢が婚約破棄され、自殺未遂の果てに聖女と崇められる~現代知識と異世界通販で成り上がる

青の雀

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第1章 恋愛

領地改革

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 領地視察2日目。
 昨日の視察は、出張健康診断みたいなもので終わってしまったから、今日は真面目(?)にやろうと決意する。

 昨日の収穫としては、インフラ整備を先に進めよること。いくらサスペンション・ダンパーを馬車に取り付けても揺れがマシになるだけで、インフラを整備しないと馬車酔いしてしまう。それと広大な農地改革、それから橋、ほとんど公共事業みたいなものを中心に考えていく。

 忘れてはいけない太陽光パネルの設置、魔力がなくても動力になると言っても聞いてくれない。父は、フローレンスに甘いようで頭が堅く古い。
 目に見えない電力の威力を信じていないので、試しに公爵邸の玄関に電池式のセンサーライトを取り付ける。

 夜の訪問者があると自動で光り、教えてくれるものなのだが、これも魔力で代用できるのでは?と言い出す始末。

 仕方なく公爵邸の屋根に無断で太陽光パネルを設置しようと、異世界通販からパネルを購入し、屋根の上に上がるためのはしごを出し、ワンピースでは作業しづらいので、オーバーオールに着替えて、と思っていたら執事や庭師のみんなが集まってきてくれて、みんなで設置を手伝ってくれた。ありがたい。

 フローレンスの来ているオーバーオールを作業しやすいと評してくれて、みんな同じものが欲しいと言い出したので、サイズをいくつか買って渡すと、他にも欲しいと言われ、めんどくさいから無料の〇ッセンのカタログを渡し、好きなものを選んでもらうことにした。なんといってもアレクサンドル王から白金貨2枚、日本円で2億円相当の現金をもらって、そのほかにもベルドラン様からの給金やベルティーユ様の出産時の手当など大枚をもらい、使いきれないほどのお金があるのだ。ケチケチする理由はどこにもない。

 王都に先駆け、簡易診療所を設置することにした。いずれ、国民皆保険制度がスタートすれば、誰でも無償で医療を受けられることになるのだが、とりあえず、すぐにできる領地から始めることにする。

 診療所と公爵邸の屋根に太陽光パネルを設置して、冷蔵庫、電子レンジなど現代日本の家電を次々と設置していく、医療機器にも魔力頼りより、電気で動かしたほうが安定した結果を得られるので安心できる。

 最初渋っていた父も電気の便利さがわかったであろう。
 次に着手したのが、水道、井戸水でもいいけど川から水をろ過して浄水して、各家庭に配水管を通じて行きわたらせる。排水は、海へ。領内は石畳で整備されているが、いっそのことアスファルトを敷き詰めようか迷うところだ。

 医療現場で多く使われているチューブ管だが、これゴムの木があるのかしら。試しにゴムの苗木を買い、育ててみることにする。ラバーテックスが抽出できたら、ゴムはいろいろなものに仕える、例えば自転車のタイヤ、自動車は電気自動車というのもありだけど、運転免許を持っているのは、たぶんこの世界では、フローレンスこと岡崎友里恵ただ一人だろうし。
 意外と知られていないが、水道のパッキン、ゴムがないと水漏れを起こす。

 領地へ来てから始めたことは複式簿記の導入、サスペンションとダンパー、太陽光パネル、簡易診療所、家電量販店を利用しての家電製品の設置、インフラ、治水事業まではできた。

 あとは、農業改革と学校があれば十分?日本の記憶を思い起こせば三公社五現業というのがあったっけ。国鉄と電電公社と専売公社が三公社で、郵便、林野、紙幣、造幣、アルコールが五現業だったように覚えがある。

 領地は海岸沿いにあるので、新たに天日塩事業をすることにしよう。

 塩の作り方は塩田に海水を入れ、蒸発させて塩を取る、日本では一般的なやり方(?)で兵庫県の赤穂市で盛んにおこなわれている。

 国ができることと地方領地ができることは違う。思い切って農地改革でもしようか。飢饉に強いサツマイモや農薬を渡しちゃうか?とにかく食糧難だけは免れる。食料自給率はどのぐらいだろう。

 この領地は海洋資源も豊富だから、アコヤ貝で真珠の養殖などもできそうだ。

 いろいろあれやこれやと考えているうちに、王都で王立診療所ができたので、除幕式に参加してほしいとの招待状がきて、父とともに行くことにする。

 領地のことはトーマスさんに任せよう。

 思えば、最近、父と行動を共にすることが増えた。一回投身自殺未遂を起こしているからだろうか、少々煩わしく思うこともある。もう今は婚約者がいないので~、父とばかりいっしょにいると出会いの機会を失ってしまう恐れがある。そろそろ独り歩きしたいものだ。

 サスペンション・ダンパー付きの馬車で行くので、わりあい快適になったほうだと思う。
 父は領地をフローレンスがどう改革していくかを楽しんでいるようだった。
 もう、これ以上、具体案はないのだけれど、あとは何か食品か名物となる料理の食材を作るか、そうでなければ化粧品、シャンプー、リンス、美容液あたりを作ることぐらいしか思い浮かばない。

 それより、父がべったりなのが鬱陶しい。婚期を逃すのではないかと心配している。この世界に合コンなるものがあるのだろうか?
 前世は、わりと人数合わせなどと言いながら、よく行ったものだったが、男の医者は引っ張りだこなのに、女の医者は……、たまにあるけど、低能がお尻を突き出して、「注射して~♡」と甘えてくるバカが多い。

 仕方なく相手は、医者しかいない羽目になる。
 思うのだけど、東京大学をはじめとする3大国立大学と言われるところや〇〇医大、医学部を目指している人は、がり勉して入学するところではないと思う。ちんちくりんの貧相な男が多い。一番身体を作らなければならない年頃にガリ勉して、家に籠ってばかりいるからだ。普通にスポーツして恋愛している男が真のエリートになれるわけなんだけど、どうもそこを理解していない男が多い。

 がり勉して入学した後は不幸が待っていると思うわ。受験シーズンだから書くわけではないけど、地方の高校から優秀だと思って、入学したらタダの人になる。周りに代々のエリートがいっぱいいるから。その中で落ちこぼれになるだけならまだしも、人生の落ちこぼれになりかねないからだ。

 女性は容姿端麗で、偏差値60以上の大学を卒業していて、親が3大国立大卒なら、まぁ90%の確率で一部上場企業に入社できる。
 なぜだと思いますか?
 男性社員の嫁さん候補として。です。
 だから、ブスはダメ。これが現実です。いやなら今から必死になって勉強することです。誰にも文句を言われようがない手に職をつけるか、国家資格を取得すれば生きる道がある。

 何も男尊女卑の日本の話だけではありません。男性は、もっと大変。3大国立大学にがり勉して合格しても、親戚兄弟全部がエリートでなければ、出世の道はない。かといって、中途半端な偏差値60以上の大学卒でも、ロクな就職先がない。あっても何かあれば捨て駒としてリストラの対象となる。厳しいですよ。

 話が逸脱してしまったけど、フローレンスは、今、婚活がしたいのである。

 とにかく一人捕まえとかないと不安で仕方がない。
 元婚約者のマリオスがどんな男だったか、まったく覚えていないから、また変な男に引っかからないようにしないと、とは思うが、フローレンスが記憶を失ってから出会う男は、オジサンばかりで、たまに王太子殿下など若い男と会うも相手は既婚者ばかり。

 これでは、恋愛すらできないまま、またスキルス性になったら、どうしよう……。

 王都に行けば、ナンパしまくって、男漁りするぞと思いつつ、馬車に揺られるのである。
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