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第1章 恋愛
帝王切開
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アトランス国に帰ってからはというものの、エヴェラ公爵邸の使用人に対し、順番に健康診断を、行っていくフローレンス主に身長・体重と血圧、視力検査と、生体検査なのだが、これがけっこう賑やかである。生まれてからこれまで一度も経験がないことなのだから、仕方がないと言えば仕方がないのだが。
医療機器の多くは、電気を動力にしているのだが、この世界には電気がない。もう少し落ち着いたら太陽光パネルを設置して、発電することを考えよう。今は患者さん自身のわずかな魔力で動いている。この世界には魔力がたいていの人間にはある。火をおこしたり水をだしたり、と誰でも必要最低限の魔力を持っているので、それを動力として機器を動かす。
昼間は健康診断、夜はデュクオール国に残してきた宿題・ベルティーユ王太子妃殿下の逆子の問題である。
岡崎友里恵時代に見聞きした記憶をたどると逆子は難産になりやすく脳に酸素が行きわたらず発達障害の可能性が出てくるというもの。産んでも地獄、産まなくても地獄。といったところか。この世界で流産は、死を意味するからである。
岡崎友里恵の高校の同級生の御主人が同じ国立大学の附属病院で産婦人科医をしていたのだから、もっとあの時ちゃんと聞いておけばよかったと今さらながらに後悔する。
当時もう無痛分娩なるものがあり、水中出産というものの走りであって、「友里恵ちゃんが出産するときは、取り上げてあげるよ。」と言われセクハラ!? と憤慨していたことを思い出す。
ベルティーユ王太子妃殿下は、あの時点で確か31週ぐらいだったかな?もう今は33週目に入っているだろう。無事だといいのだが妊娠9か月、逆子体操を今からいくらやっても下を向いてくれるのだろうか?侍医に頼んできたので、大丈夫?だろうか。とにかく予定日までにはデュクオール国へ帰るつもりでいるが、アトランス王家の診察予約がぎっしり入っていて戻れるのだろうか?と不安がよぎる。
そうこうしているうちに、ベルティーユ妃殿下の臨月がやってきた。早く、向こうへ戻らねばと焦るフローレンスのもとに一通の手紙がデュクオール国の侍医からで、帰国を促す内容である。
我が儘なベルティーユだけど、見捨てるわけにはいかない。医者としてのプライドが許さないのである。帝王切開の本は、異世界通販で購入してたくさん読んだ。麻酔をかけて消毒して切り開いて子宮から男児を出し、胎盤を出し、また縫って終わり、ということなのだがうまくできるかどうか全く自信がない。そうあとは、度胸と自信だけの問題なのだが、それができれば苦労はしないよ。臍帯血はどうするんだっけ?いろいろとまだ不安が残る。
それに考えれば、羊水検査をしていなかったことを後悔している。もし、羊水で異常が見つかれば、わざわざ帝王切開などの手間を取らせなくても、自然に堕胎させる方法もあるからだ。産科の研修も入れとけばよかったな、とまたもや後悔。
岡崎友里恵時代の記憶では、合計特殊出生率が年々下がり続けていた時で、少子化への将来の不安から内科を選んだのであった。
もう時間がないので、父にフローレンスだけでも先にデュクオール国へ行くと告げると、明日には出発できると返事がある。父の弟に領地を譲るための手続きに時間がかかってしまったようで、その手続きも今日で完了したので、明日には出発できるということである。
今日は早めに就寝し、明日へ備えることとしよう。
翌日、早朝から馬車を何台も並べてアトランス国を出ることに、結局、一時帰国中に婚約者であったマリオス様とは一度も会わずじまいになった。会ったところで何も記憶がないのだから、会っても仕方がないのだろうけど、何か思い出す発端になるかもしれないと国王陛下から勧められていたのだが、診察と勉強が忙しくて会えず終いになる。良かったのか悪かったのかわからない。
なんせ大所帯で大移動していくわけだから、なかなか大変な行程である。
川で激流に流されていったら、もっと早く到着するのだろうが、命の保証はない。
フローレンスはたまたま運が良かっただけ。それとも、この世界にも神が存在しているのなら、なんらかの使命をフローレンスに与えたがために助けたのかもしれない。
約10日間かけての馬車での移動も残すところ、もう一つ山を越えたらデュクオールの王都である。
どうやら予定日には間に合いそうだ。
ところが、王都に到着してすぐ王宮から超特急の迎えの馬車が来て、一時王都の道路は封鎖される事態が起きた。急患?かな?と思っていたら、ベルティーユ妃殿下が陣痛を起こされていたのである。すでに破水し、危険な状態であった。
一か八か帝王切開をするときが迫っている、もう一度、エコーをしたかったけど、時間的に無理そうである。
酸素吸入をして、麻酔、消毒、念のため王宮の使用人には、お湯をたっぷり沸かしてもらう。深呼吸をして、いざ。
フローレンスは緊張して手が震えたけれど、無事、男児は産声を上げてくれた。
これから3時間後ぐらいに麻酔が切れ、傷痕が痛み出します。それと子宮が収縮するのでそれに伴う痛みがあります。侍医と王太子殿下に説明した後は、その場にヘナヘナとへたり込む。
初めてこの手で、赤ちゃんを取り上げた。喜びと感動と何とも言えない感情が沸き上がる。手術衣を脱ぎ、お風呂に入ってから、公爵家へ入る。あらかじめ爵位を授与されたときに、古家を修理して住めるようにしてもらっていた家に入る。
父や使用人は、もう寛いでいる。本当は父の分とフローレンスの分、2軒分の家を用意してもらえるところをまだお嫁にも行っていないので、フローレンスの屋敷は辞退して、父の家に居候することになったのである。
ベルティーユの出産にも立ち会えたので、今後はしばらく旅に出ようかと考えていることを父に伝える。
旅と言ってもデュクオール国の中だけを予定している。まだ、この国に来たばかりでどこも見ていない。
それは父も同じで、与えられた領地を一度見に行きたいと言っているから、父と同行することになるだろう。
明日、国王陛下と謁見してから暇乞いをして、それから領地へ行くつもりでいる。
国王陛下は殊の外、上機嫌であらせられた、初孫が男児で逆子であったにもかかわらず、無事生まれたからである。男児の体重は2800グラム、まあまあである。
岡崎友里恵時代の出産は、五体満足で生まれるのが普通で、たまに……なときもあるが、この世界ではまだまだ、健康で生まれてくるほうが圧倒的に少ないのである。だから、国王陛下が上機嫌になられるのも無理はない。
ベルティーユ様だけではなく、第2王子妃殿下もご懐妊されたとの知らせがあり、喜びに沸き立っている。
フローレンスにまた男女判定の依頼があったが、まだ早いと一蹴し、領地へ旅立つことになったのである。
謁見の間から退室して、一度ベルティーユ様の様子を見に行こうとしたら、女官がきて「今は行かれないほうが……。よろしいかと……。」相変わらずわがまま言い放題なのだろう。国王陛下も王太子殿下も無事出産を終わられたベルティーユ妃に対して、甘いのであろう。
こうして、領地へ旅立つため、再び馬車に乗ることになる。馬車から風景を眺めているとき、ふと、岡崎友里恵時代は自分で車を運転して、病院に通勤していたことを思い出していた。
馬車は揺れるし、お尻は痛くなるから決して乗り心地がいいとは言えない。サスペンションなどを改良したら、乗り心地がマシになるかもしれないな、と今度、父に相談してみることにしようと思う。
しばらくは領地で父と経営を学ぼうと意気込むフローレンス、明日は明日の風が吹く。
医療機器の多くは、電気を動力にしているのだが、この世界には電気がない。もう少し落ち着いたら太陽光パネルを設置して、発電することを考えよう。今は患者さん自身のわずかな魔力で動いている。この世界には魔力がたいていの人間にはある。火をおこしたり水をだしたり、と誰でも必要最低限の魔力を持っているので、それを動力として機器を動かす。
昼間は健康診断、夜はデュクオール国に残してきた宿題・ベルティーユ王太子妃殿下の逆子の問題である。
岡崎友里恵時代に見聞きした記憶をたどると逆子は難産になりやすく脳に酸素が行きわたらず発達障害の可能性が出てくるというもの。産んでも地獄、産まなくても地獄。といったところか。この世界で流産は、死を意味するからである。
岡崎友里恵の高校の同級生の御主人が同じ国立大学の附属病院で産婦人科医をしていたのだから、もっとあの時ちゃんと聞いておけばよかったと今さらながらに後悔する。
当時もう無痛分娩なるものがあり、水中出産というものの走りであって、「友里恵ちゃんが出産するときは、取り上げてあげるよ。」と言われセクハラ!? と憤慨していたことを思い出す。
ベルティーユ王太子妃殿下は、あの時点で確か31週ぐらいだったかな?もう今は33週目に入っているだろう。無事だといいのだが妊娠9か月、逆子体操を今からいくらやっても下を向いてくれるのだろうか?侍医に頼んできたので、大丈夫?だろうか。とにかく予定日までにはデュクオール国へ帰るつもりでいるが、アトランス王家の診察予約がぎっしり入っていて戻れるのだろうか?と不安がよぎる。
そうこうしているうちに、ベルティーユ妃殿下の臨月がやってきた。早く、向こうへ戻らねばと焦るフローレンスのもとに一通の手紙がデュクオール国の侍医からで、帰国を促す内容である。
我が儘なベルティーユだけど、見捨てるわけにはいかない。医者としてのプライドが許さないのである。帝王切開の本は、異世界通販で購入してたくさん読んだ。麻酔をかけて消毒して切り開いて子宮から男児を出し、胎盤を出し、また縫って終わり、ということなのだがうまくできるかどうか全く自信がない。そうあとは、度胸と自信だけの問題なのだが、それができれば苦労はしないよ。臍帯血はどうするんだっけ?いろいろとまだ不安が残る。
それに考えれば、羊水検査をしていなかったことを後悔している。もし、羊水で異常が見つかれば、わざわざ帝王切開などの手間を取らせなくても、自然に堕胎させる方法もあるからだ。産科の研修も入れとけばよかったな、とまたもや後悔。
岡崎友里恵時代の記憶では、合計特殊出生率が年々下がり続けていた時で、少子化への将来の不安から内科を選んだのであった。
もう時間がないので、父にフローレンスだけでも先にデュクオール国へ行くと告げると、明日には出発できると返事がある。父の弟に領地を譲るための手続きに時間がかかってしまったようで、その手続きも今日で完了したので、明日には出発できるということである。
今日は早めに就寝し、明日へ備えることとしよう。
翌日、早朝から馬車を何台も並べてアトランス国を出ることに、結局、一時帰国中に婚約者であったマリオス様とは一度も会わずじまいになった。会ったところで何も記憶がないのだから、会っても仕方がないのだろうけど、何か思い出す発端になるかもしれないと国王陛下から勧められていたのだが、診察と勉強が忙しくて会えず終いになる。良かったのか悪かったのかわからない。
なんせ大所帯で大移動していくわけだから、なかなか大変な行程である。
川で激流に流されていったら、もっと早く到着するのだろうが、命の保証はない。
フローレンスはたまたま運が良かっただけ。それとも、この世界にも神が存在しているのなら、なんらかの使命をフローレンスに与えたがために助けたのかもしれない。
約10日間かけての馬車での移動も残すところ、もう一つ山を越えたらデュクオールの王都である。
どうやら予定日には間に合いそうだ。
ところが、王都に到着してすぐ王宮から超特急の迎えの馬車が来て、一時王都の道路は封鎖される事態が起きた。急患?かな?と思っていたら、ベルティーユ妃殿下が陣痛を起こされていたのである。すでに破水し、危険な状態であった。
一か八か帝王切開をするときが迫っている、もう一度、エコーをしたかったけど、時間的に無理そうである。
酸素吸入をして、麻酔、消毒、念のため王宮の使用人には、お湯をたっぷり沸かしてもらう。深呼吸をして、いざ。
フローレンスは緊張して手が震えたけれど、無事、男児は産声を上げてくれた。
これから3時間後ぐらいに麻酔が切れ、傷痕が痛み出します。それと子宮が収縮するのでそれに伴う痛みがあります。侍医と王太子殿下に説明した後は、その場にヘナヘナとへたり込む。
初めてこの手で、赤ちゃんを取り上げた。喜びと感動と何とも言えない感情が沸き上がる。手術衣を脱ぎ、お風呂に入ってから、公爵家へ入る。あらかじめ爵位を授与されたときに、古家を修理して住めるようにしてもらっていた家に入る。
父や使用人は、もう寛いでいる。本当は父の分とフローレンスの分、2軒分の家を用意してもらえるところをまだお嫁にも行っていないので、フローレンスの屋敷は辞退して、父の家に居候することになったのである。
ベルティーユの出産にも立ち会えたので、今後はしばらく旅に出ようかと考えていることを父に伝える。
旅と言ってもデュクオール国の中だけを予定している。まだ、この国に来たばかりでどこも見ていない。
それは父も同じで、与えられた領地を一度見に行きたいと言っているから、父と同行することになるだろう。
明日、国王陛下と謁見してから暇乞いをして、それから領地へ行くつもりでいる。
国王陛下は殊の外、上機嫌であらせられた、初孫が男児で逆子であったにもかかわらず、無事生まれたからである。男児の体重は2800グラム、まあまあである。
岡崎友里恵時代の出産は、五体満足で生まれるのが普通で、たまに……なときもあるが、この世界ではまだまだ、健康で生まれてくるほうが圧倒的に少ないのである。だから、国王陛下が上機嫌になられるのも無理はない。
ベルティーユ様だけではなく、第2王子妃殿下もご懐妊されたとの知らせがあり、喜びに沸き立っている。
フローレンスにまた男女判定の依頼があったが、まだ早いと一蹴し、領地へ旅立つことになったのである。
謁見の間から退室して、一度ベルティーユ様の様子を見に行こうとしたら、女官がきて「今は行かれないほうが……。よろしいかと……。」相変わらずわがまま言い放題なのだろう。国王陛下も王太子殿下も無事出産を終わられたベルティーユ妃に対して、甘いのであろう。
こうして、領地へ旅立つため、再び馬車に乗ることになる。馬車から風景を眺めているとき、ふと、岡崎友里恵時代は自分で車を運転して、病院に通勤していたことを思い出していた。
馬車は揺れるし、お尻は痛くなるから決して乗り心地がいいとは言えない。サスペンションなどを改良したら、乗り心地がマシになるかもしれないな、と今度、父に相談してみることにしようと思う。
しばらくは領地で父と経営を学ぼうと意気込むフローレンス、明日は明日の風が吹く。
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