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第1章 恋愛
逆子体操
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ベルティーユ王太子妃殿下の寝室へ赴き、超音波の器械を出していく、ついで血液検査と血圧測定もやる。
血圧は上が150でやはり少し高め、血液検査の結果ヘモグロビンA1cの値が11で妊婦糖尿病であることがわかる。
超音波で男の子だったのだが、困ったことに逆子で……、岡崎友里恵では、産科の研修を受けていないので、体操で逆子を直すことぐらいしかわからない。思い浮かばないのである。お腹の中の子供が活発で動き過ぎるからなると言われているが、本当の原因はわからない。最終的には、帝王切開になるのだろうが、外科手術の経験が乏しくできるかどうかもわからない。
侍医に超音波画像を見せて、逆子の場合、この世界ではどうなのかと聞いたら、足から生まれる子供の多くは死産で、母親も助からないらしい。侍医と今後の方針について、カンファレンスを行うことにする。
お腹の中にいる子供の性別は男児であるが、異常分娩にあたり、この世界では、かなり危険な状態であることをアレクサンドル王陛下とクリストフ王太子殿下に伝える。
とりあえず今できることは、逆子体操しかないのでベルティーユ妃殿下に体操をしてもらう。体操を女性がするという概念がなく、教えるのに苦労し、だいたい腕立て伏せの形にもなれないぐらい筋肉がないのである。試しにフローレンスがやってみたところ、最初の形もできないぐらい筋肉が皆無になっている。
信じられない!この世界の貴族令嬢とは、こんなに軟弱なのかしら。毎日、馬車ではなくお散歩をして、まず太ももの筋肉をつけることから始めることとする。そして、毎晩、腹筋と腕立て伏せを並行してやっていく。それから、お風呂の中でグーパー体操をする。そういえば、前世の記憶で必死になってダイエットしていたことを思い出す。前世からみて、今の体形はどちらかというとポッチャリである。あまり動かず喰っちゃ寝るをしているからで、フローレンスはまず自分もダイエットがてら筋肉をつけることを心掛けるようになる。
父が迎えに来てくれるかもしれないが、いつまでもベルドラン様のお屋敷に置いてもらうわけにはいかないからである。いずれあのお屋敷を出て、自立しなければ、と思う。この世界観では、まだ女性の自立など、誰も考えることがないのかもしれないけれど、前世日本人の女医としては、フローレンスがどうとかを考えずに自立することを目指すのである。
それに川で流されていたことを考えると、もう思い出したくもない辛い記憶があり、その記憶を喪失しているのは、脳の防衛反応であると前世の心理学の講義で習ったような覚えがある。だから、もし父が迎えに来てもアトランス王国には帰らないつもりでいる。
そのためにも自立するための体力づくりは欠かせない急務である。
ほかの城の使用人も皆、血圧が高めで、高脂血症の疑いが多々ある状態であり、食事の改善が大事だと料理長に苦言を呈する。なるべく脂っこいものは、避け野菜を多めにとる工夫をしてもらう。医食同源と言うことは、大切なことである。
王務としては、国民皆保険の整備、できれば国民皆年金もあればなおいい。それを実現する運びにまで、こぎつける。教会と医療を切り離し、誰でも無料で医療の提供を受けられることは、国民に取り、庶民にとってありがたい施策である。
できることならば、王都の中心部に病院を建てたいところであるが、この国に長く住まう気もいまはないので、簡易的な診療所があればと願うところである。
そうこうしているうちに、アトランス国から立派な馬車仕立てで、お迎えに来られて、はなはだ迷惑しているフローレンス。
アトランス国に帰れば、いやでも思い出したくない記憶に触れることになるからで、できたらこのままそっとデュクオール国から去りたいと願っていた矢先のことなので、少々がっかりしているところである。
今は、とにかくベルティーユ妃殿下に逆子体操を頑張ってやってもらうしか手立てはないのだが、やれ腰が痛いだの、足が痛いのだと我が儘ばかりいわれ、正直辟易している。産み月まで待たず、どこかほかの国へ消えてやろうかと思い悩んでいるところであった。
フローレンスの父、エヴェラ公爵は、ベルドラン殿下からの連絡でフローレンスが隣国デュクオール国にいることがわかり、舞い上がっている。すぐさま迎えの馬車を用意して、国を挙げてのお迎えにすることにした。アトランス国の威信をかけて、なぜそうなるかは、バカ王太子のせいであるから。あの婚約破棄騒動でマリオス王太子殿下は、廃嫡となりフローレンス嬢殺人未遂及び自殺幇助の容疑で謹慎、蟄居させられている。アトランス王宮の貴族用の牢に閉じ込められ、一日をただ何もせず過ごしている。
このマリオスの真実に愛する女性が誰のことであったのか、いまだにわからないでいる。マリオスが頑なに口を閉ざし、その女性のことを言わないでいるからである。マリオスが庇い立てをして言わないからその相手が人妻であるとか、高貴な身分の女性であるなどと口さがない連中が噂をしている事実がある。
いつものようにデュクオール王国の城へ出仕して、城の使用人の健康管理と王族のとりわけ国王陛下と王太子妃の治療に当たっているフローレンスのところに来客です、との知らせが舞い込む。
城の応接室に通されたフローレンス、扉を開けるなり
「フローレンス!」いきなりぎゅっと抱きしめられ、窒息するのではないかと思うぐらいの力で。
「パパだよ。会いたかった。生きていてくれてありがとう。」
「お、おとうさま……ですか?」
「他人行儀な!パパだよ、パパだと呼んでおくれ。」
「実は、フローレンスとしての記憶がないのです。」
申し訳なさそうにするフローレンスに、父の顔色が……真っ赤になっていく。
「!……なんだとぉ!あのバカマリオスのせいだな、あいつ、ぶっ殺してやる!」
いやいや、いくら記憶をなくしていてもそれがダメなことぐらいわかる。「やめて」と必死に父にすがる。
「フローレンスは優しいなぁ。愛しているよ。」
そこへ、扉のノック音がして、ベルドラン様が入ってこられる。
「お父様、こちらがわたくしが川に流されているところを助けてくださったベルドラン様で国王陛下の弟殿下であらせられますのよ。公爵をされていらっしゃいますの。」
「おお、此度は連絡をいただき誠にありがとうございました。娘の命の恩人なのですな。なんとお礼を申し上げたらよいものかと……。」
「いえいえ、私のほうこそ、お嬢様に命を助けていただき、その後は我が兄王の命まで救っていただいたデュクオール王国の大恩人なのですから。」
二人の男性が負けず劣らずとばかりにペコペコ頭を下げまくっている。
「お父様、わたくし忙しいから、もう行きますわよ。」
「忙しいって、お前何をやっているのだ?」
「医者。このお城の使用人さんの健康管理と治療。」
「ああ、もうそんなことはやめなさい。これからパパと一緒にアトランス国に帰るのだから支度をしなさい。」
「「ええー!」」
ベルドラン様と二人で驚く、「今すぐはダメですわ。」
「王太子妃殿下が身重で、わたくしがいないと死んでしまわれるのよ。」
「そちらにも事情があるのだろうけど、今日のところはパパの顔を立てて、このまま家へ帰ってくれ。」
「少しお待ちになってくださいませんか?兄とも会っていただかなければなりませんし。兄の命もフローレンス嬢が助けてくださいましたので、兄からお礼を申し上げたいと言っておりますので。」
「わかりました。そういうことならば、しばしお待ちいたします。」
フローレンスが部屋を出て行こうとすれば、必ず「どこへ行く?」と言われ、仕事をしたくてもできない状態で謁見の間に呼ばれるまで、父の側から離れることもできなかった。
謁見の間に呼ばれる。父とともに扉を開けるフローレンス、国王陛下の前で跪こうとしたら、「良い」との仰せで、そのまま立ったままで応対したのである。
国王陛下がいかにフローレンスの功績が大きいかということを父に切々と説明なされる。父は黙って聞き、時折頷きをしている。
次に陛下が言われたことは、
「フローレンス・エヴェラに公爵の爵位を授けるものとする。」の言葉であった。フローレンスも父も驚き、「え?」
「もし、フローレンスの父君が我が国に来てくださるのであれば、エヴェラ公爵にも同様の爵位と領地を授けるものとする。」
エヴェラ公爵の揺れる心を見透かしている陛下の言葉。娘とともにデュクオール国にいられるのなら、それに越したことはない。アトランス王国のマリオスのこともあり、不信感が募っていることもあるので、さらに迷う。
「しばらく考えさせてほしい。」とだけ言い残し、謁見の間を後にする二人。まさか陛下から爵位の授与があるとは思っていなかった事態に内心大慌てする。その日は結局、帰国せずベルドラン様の屋敷で宿泊することになる。
フローレンスは、父に記憶を失い前世の記憶がよみがえり、その記憶で医者の仕事についていることなどを懸命に説明する。次いで、父をも診察することにした。といっても血圧測定や血液検査をしただけなのであるが、それでもニッポンの医療機器を見て、父は本物だと確信する。男尊女卑のアトランス王国に無理に連れて帰るより、デュクオール国にいるほうがフローレンスの幸せだと感じるようになる。
フローレンスと父は、いったんアトランス国に帰国するものの用意が整い次第、デュクオール国へ移住することを決断し、まずは陛下とベルドラン殿下に暇乞いをする。
「再び、必ず戻ってまいります。それまで王太子妃殿下のこと、よろしくお願いします。」と侍医に頭を下げるフローレンス。
「大丈夫ですよ、でも、できるだけ早く戻ってきてくださいね。」と言われ、王宮を後にした。そうして、立派な馬車に乗り、アトランス王国へ戻る。3か月ぶりぐらいの帰国になるのである。
血圧は上が150でやはり少し高め、血液検査の結果ヘモグロビンA1cの値が11で妊婦糖尿病であることがわかる。
超音波で男の子だったのだが、困ったことに逆子で……、岡崎友里恵では、産科の研修を受けていないので、体操で逆子を直すことぐらいしかわからない。思い浮かばないのである。お腹の中の子供が活発で動き過ぎるからなると言われているが、本当の原因はわからない。最終的には、帝王切開になるのだろうが、外科手術の経験が乏しくできるかどうかもわからない。
侍医に超音波画像を見せて、逆子の場合、この世界ではどうなのかと聞いたら、足から生まれる子供の多くは死産で、母親も助からないらしい。侍医と今後の方針について、カンファレンスを行うことにする。
お腹の中にいる子供の性別は男児であるが、異常分娩にあたり、この世界では、かなり危険な状態であることをアレクサンドル王陛下とクリストフ王太子殿下に伝える。
とりあえず今できることは、逆子体操しかないのでベルティーユ妃殿下に体操をしてもらう。体操を女性がするという概念がなく、教えるのに苦労し、だいたい腕立て伏せの形にもなれないぐらい筋肉がないのである。試しにフローレンスがやってみたところ、最初の形もできないぐらい筋肉が皆無になっている。
信じられない!この世界の貴族令嬢とは、こんなに軟弱なのかしら。毎日、馬車ではなくお散歩をして、まず太ももの筋肉をつけることから始めることとする。そして、毎晩、腹筋と腕立て伏せを並行してやっていく。それから、お風呂の中でグーパー体操をする。そういえば、前世の記憶で必死になってダイエットしていたことを思い出す。前世からみて、今の体形はどちらかというとポッチャリである。あまり動かず喰っちゃ寝るをしているからで、フローレンスはまず自分もダイエットがてら筋肉をつけることを心掛けるようになる。
父が迎えに来てくれるかもしれないが、いつまでもベルドラン様のお屋敷に置いてもらうわけにはいかないからである。いずれあのお屋敷を出て、自立しなければ、と思う。この世界観では、まだ女性の自立など、誰も考えることがないのかもしれないけれど、前世日本人の女医としては、フローレンスがどうとかを考えずに自立することを目指すのである。
それに川で流されていたことを考えると、もう思い出したくもない辛い記憶があり、その記憶を喪失しているのは、脳の防衛反応であると前世の心理学の講義で習ったような覚えがある。だから、もし父が迎えに来てもアトランス王国には帰らないつもりでいる。
そのためにも自立するための体力づくりは欠かせない急務である。
ほかの城の使用人も皆、血圧が高めで、高脂血症の疑いが多々ある状態であり、食事の改善が大事だと料理長に苦言を呈する。なるべく脂っこいものは、避け野菜を多めにとる工夫をしてもらう。医食同源と言うことは、大切なことである。
王務としては、国民皆保険の整備、できれば国民皆年金もあればなおいい。それを実現する運びにまで、こぎつける。教会と医療を切り離し、誰でも無料で医療の提供を受けられることは、国民に取り、庶民にとってありがたい施策である。
できることならば、王都の中心部に病院を建てたいところであるが、この国に長く住まう気もいまはないので、簡易的な診療所があればと願うところである。
そうこうしているうちに、アトランス国から立派な馬車仕立てで、お迎えに来られて、はなはだ迷惑しているフローレンス。
アトランス国に帰れば、いやでも思い出したくない記憶に触れることになるからで、できたらこのままそっとデュクオール国から去りたいと願っていた矢先のことなので、少々がっかりしているところである。
今は、とにかくベルティーユ妃殿下に逆子体操を頑張ってやってもらうしか手立てはないのだが、やれ腰が痛いだの、足が痛いのだと我が儘ばかりいわれ、正直辟易している。産み月まで待たず、どこかほかの国へ消えてやろうかと思い悩んでいるところであった。
フローレンスの父、エヴェラ公爵は、ベルドラン殿下からの連絡でフローレンスが隣国デュクオール国にいることがわかり、舞い上がっている。すぐさま迎えの馬車を用意して、国を挙げてのお迎えにすることにした。アトランス国の威信をかけて、なぜそうなるかは、バカ王太子のせいであるから。あの婚約破棄騒動でマリオス王太子殿下は、廃嫡となりフローレンス嬢殺人未遂及び自殺幇助の容疑で謹慎、蟄居させられている。アトランス王宮の貴族用の牢に閉じ込められ、一日をただ何もせず過ごしている。
このマリオスの真実に愛する女性が誰のことであったのか、いまだにわからないでいる。マリオスが頑なに口を閉ざし、その女性のことを言わないでいるからである。マリオスが庇い立てをして言わないからその相手が人妻であるとか、高貴な身分の女性であるなどと口さがない連中が噂をしている事実がある。
いつものようにデュクオール王国の城へ出仕して、城の使用人の健康管理と王族のとりわけ国王陛下と王太子妃の治療に当たっているフローレンスのところに来客です、との知らせが舞い込む。
城の応接室に通されたフローレンス、扉を開けるなり
「フローレンス!」いきなりぎゅっと抱きしめられ、窒息するのではないかと思うぐらいの力で。
「パパだよ。会いたかった。生きていてくれてありがとう。」
「お、おとうさま……ですか?」
「他人行儀な!パパだよ、パパだと呼んでおくれ。」
「実は、フローレンスとしての記憶がないのです。」
申し訳なさそうにするフローレンスに、父の顔色が……真っ赤になっていく。
「!……なんだとぉ!あのバカマリオスのせいだな、あいつ、ぶっ殺してやる!」
いやいや、いくら記憶をなくしていてもそれがダメなことぐらいわかる。「やめて」と必死に父にすがる。
「フローレンスは優しいなぁ。愛しているよ。」
そこへ、扉のノック音がして、ベルドラン様が入ってこられる。
「お父様、こちらがわたくしが川に流されているところを助けてくださったベルドラン様で国王陛下の弟殿下であらせられますのよ。公爵をされていらっしゃいますの。」
「おお、此度は連絡をいただき誠にありがとうございました。娘の命の恩人なのですな。なんとお礼を申し上げたらよいものかと……。」
「いえいえ、私のほうこそ、お嬢様に命を助けていただき、その後は我が兄王の命まで救っていただいたデュクオール王国の大恩人なのですから。」
二人の男性が負けず劣らずとばかりにペコペコ頭を下げまくっている。
「お父様、わたくし忙しいから、もう行きますわよ。」
「忙しいって、お前何をやっているのだ?」
「医者。このお城の使用人さんの健康管理と治療。」
「ああ、もうそんなことはやめなさい。これからパパと一緒にアトランス国に帰るのだから支度をしなさい。」
「「ええー!」」
ベルドラン様と二人で驚く、「今すぐはダメですわ。」
「王太子妃殿下が身重で、わたくしがいないと死んでしまわれるのよ。」
「そちらにも事情があるのだろうけど、今日のところはパパの顔を立てて、このまま家へ帰ってくれ。」
「少しお待ちになってくださいませんか?兄とも会っていただかなければなりませんし。兄の命もフローレンス嬢が助けてくださいましたので、兄からお礼を申し上げたいと言っておりますので。」
「わかりました。そういうことならば、しばしお待ちいたします。」
フローレンスが部屋を出て行こうとすれば、必ず「どこへ行く?」と言われ、仕事をしたくてもできない状態で謁見の間に呼ばれるまで、父の側から離れることもできなかった。
謁見の間に呼ばれる。父とともに扉を開けるフローレンス、国王陛下の前で跪こうとしたら、「良い」との仰せで、そのまま立ったままで応対したのである。
国王陛下がいかにフローレンスの功績が大きいかということを父に切々と説明なされる。父は黙って聞き、時折頷きをしている。
次に陛下が言われたことは、
「フローレンス・エヴェラに公爵の爵位を授けるものとする。」の言葉であった。フローレンスも父も驚き、「え?」
「もし、フローレンスの父君が我が国に来てくださるのであれば、エヴェラ公爵にも同様の爵位と領地を授けるものとする。」
エヴェラ公爵の揺れる心を見透かしている陛下の言葉。娘とともにデュクオール国にいられるのなら、それに越したことはない。アトランス王国のマリオスのこともあり、不信感が募っていることもあるので、さらに迷う。
「しばらく考えさせてほしい。」とだけ言い残し、謁見の間を後にする二人。まさか陛下から爵位の授与があるとは思っていなかった事態に内心大慌てする。その日は結局、帰国せずベルドラン様の屋敷で宿泊することになる。
フローレンスは、父に記憶を失い前世の記憶がよみがえり、その記憶で医者の仕事についていることなどを懸命に説明する。次いで、父をも診察することにした。といっても血圧測定や血液検査をしただけなのであるが、それでもニッポンの医療機器を見て、父は本物だと確信する。男尊女卑のアトランス王国に無理に連れて帰るより、デュクオール国にいるほうがフローレンスの幸せだと感じるようになる。
フローレンスと父は、いったんアトランス国に帰国するものの用意が整い次第、デュクオール国へ移住することを決断し、まずは陛下とベルドラン殿下に暇乞いをする。
「再び、必ず戻ってまいります。それまで王太子妃殿下のこと、よろしくお願いします。」と侍医に頭を下げるフローレンス。
「大丈夫ですよ、でも、できるだけ早く戻ってきてくださいね。」と言われ、王宮を後にした。そうして、立派な馬車に乗り、アトランス王国へ戻る。3か月ぶりぐらいの帰国になるのである。
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