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18.結婚
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翌朝、演習場に戻ったマクシミリアンとシャルロットは明らかに違和感を覚える。
フェリシアン殿下の一行の野営はあるが、人間がいる気配が全くない。ウッソー!とんずらしたの?
でも、テントや荷物を置いて?
怪訝に思いながらも、それぞれのテントに入る。すると、すぐマクシミリアンがでてきて、
「昨夜、投げ文があったみたいなんだ。とりあえず、ここへ行ってみようと思うのだが……」
マクシミリアンとシャルロットは頷きあって、その場へ行く。他の騎士も念のため、連れて行くことにした。
そこは山の中腹にあるところで、どうして、夜中にこんなところに呼び出したのか謎である。火を焚いた形跡もない。
フェリシアン殿下の姿はなく、あるのは人間の血か?と獣の血の判別は吐かないけど、血痕があるのみだった。
足跡は確かに人間のものと思われるものもあるが、大半は蹄か?何か動物の足跡のように見える。
「本当に、この場所に呼び出されたのですか?」
シャルロットは、思わず聞くが、投げ文を見せてもらい、この場所に間違いないと確信する。
夜中に山に行き、火を焚かなければ、夜行性の野生動物に襲われる可能性があることを承知していたのだろうか?
とにかく戻ることにする。野営のテントを引き上げ、魔方陣を使って、一気に王都まで帰ることにした。
おそらくフェリシアン殿下とその一行は、深夜の山間で野生動物にかっこうの餌食とされ、全滅したと思われる。
証拠はないが、フェリシアンだけは、逃げおおせて、どこかで生きている可能性もなくはない。その場合、マクシミリアンたちが職務を怠慢して、助けに来なかったと言われる恐れがあるため、一気に王都まで帰る決断をする。
エスペランサ領に後ろ髪を引かれる思いもするが、結婚してからなら、いくらでも行けるし、またみんなで慰安を兼ねて行ってもいいと思っている。
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
あの演習の時から3か月経っても、フェリシアン殿下の行方は分からずじまいになった。
誰もが思っていること。それは「もう、生きていない」ということだが、誰も口にしない。
この3か月の間にマクシミリアン様の立太子の礼が滞りなく終わり、近衛騎士団長の職にありながら、王太子殿下となられた。
近衛騎士団長なのに、誰が王太子殿下を守るということになるか、それはシャルロットとマクシミリアンの精鋭の配下が常にいる。
特に、シャルロットは、マクシミリアンと近衛騎士団の一人一人に結界をかけている。
だから少々のことでは、怪我もしないし、事故に遭うこともないはず。
そうこうしているうちに、いよいよ結婚式が行われることになった。シャルロットが卒業してから、結婚式のはずだったけど、フェリシアン殿下も行方不明になられた昨今、誰も結婚に反対するものがいなく、お祝いムード一色のため、何か話題を提供したい王家が急がせたのだ。
純白のウエディングドレスに身を包んだシャルロットは、父に手を引かれ、ヴァージンロードを進む。正面に舞っているのは、愛しいマクシミリアン様の姿に惚れ惚れしている。
前世、男だったのに、神様の手により女として開発されて、すっかり女らしくなった。
でも、マクシミリアン様は、自分が開発したと思っていらっしゃるようなので、これは内緒の話とする。
それにしても、女の人生は、つくづく幸せだと思う。前世が男だったから、余計そう思えるのかもしれない。
もし、先に女の人生で、それから前世みたいに男の人生だったとしたら、もう少し妻にも優しくできただろうな、と少しばかり悔悟の念が生まれた。
男の人生だったときは、けっこう足の引っ張り合いが盛んで、ライバルと常に競っていたところがあるが、女の人生になってからは、イジメ問題はあったにせよ。おおむね周りの人間が親切で助かった。
それにマクシミリアンのHがとても上手で、カレなしには生きていけないという自負がある。
だから本日は、今までの人生の中で最高に幸せな日。この幸せがいつまでも続きますように、願っております。
フェリシアン殿下の一行の野営はあるが、人間がいる気配が全くない。ウッソー!とんずらしたの?
でも、テントや荷物を置いて?
怪訝に思いながらも、それぞれのテントに入る。すると、すぐマクシミリアンがでてきて、
「昨夜、投げ文があったみたいなんだ。とりあえず、ここへ行ってみようと思うのだが……」
マクシミリアンとシャルロットは頷きあって、その場へ行く。他の騎士も念のため、連れて行くことにした。
そこは山の中腹にあるところで、どうして、夜中にこんなところに呼び出したのか謎である。火を焚いた形跡もない。
フェリシアン殿下の姿はなく、あるのは人間の血か?と獣の血の判別は吐かないけど、血痕があるのみだった。
足跡は確かに人間のものと思われるものもあるが、大半は蹄か?何か動物の足跡のように見える。
「本当に、この場所に呼び出されたのですか?」
シャルロットは、思わず聞くが、投げ文を見せてもらい、この場所に間違いないと確信する。
夜中に山に行き、火を焚かなければ、夜行性の野生動物に襲われる可能性があることを承知していたのだろうか?
とにかく戻ることにする。野営のテントを引き上げ、魔方陣を使って、一気に王都まで帰ることにした。
おそらくフェリシアン殿下とその一行は、深夜の山間で野生動物にかっこうの餌食とされ、全滅したと思われる。
証拠はないが、フェリシアンだけは、逃げおおせて、どこかで生きている可能性もなくはない。その場合、マクシミリアンたちが職務を怠慢して、助けに来なかったと言われる恐れがあるため、一気に王都まで帰る決断をする。
エスペランサ領に後ろ髪を引かれる思いもするが、結婚してからなら、いくらでも行けるし、またみんなで慰安を兼ねて行ってもいいと思っている。
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あの演習の時から3か月経っても、フェリシアン殿下の行方は分からずじまいになった。
誰もが思っていること。それは「もう、生きていない」ということだが、誰も口にしない。
この3か月の間にマクシミリアン様の立太子の礼が滞りなく終わり、近衛騎士団長の職にありながら、王太子殿下となられた。
近衛騎士団長なのに、誰が王太子殿下を守るということになるか、それはシャルロットとマクシミリアンの精鋭の配下が常にいる。
特に、シャルロットは、マクシミリアンと近衛騎士団の一人一人に結界をかけている。
だから少々のことでは、怪我もしないし、事故に遭うこともないはず。
そうこうしているうちに、いよいよ結婚式が行われることになった。シャルロットが卒業してから、結婚式のはずだったけど、フェリシアン殿下も行方不明になられた昨今、誰も結婚に反対するものがいなく、お祝いムード一色のため、何か話題を提供したい王家が急がせたのだ。
純白のウエディングドレスに身を包んだシャルロットは、父に手を引かれ、ヴァージンロードを進む。正面に舞っているのは、愛しいマクシミリアン様の姿に惚れ惚れしている。
前世、男だったのに、神様の手により女として開発されて、すっかり女らしくなった。
でも、マクシミリアン様は、自分が開発したと思っていらっしゃるようなので、これは内緒の話とする。
それにしても、女の人生は、つくづく幸せだと思う。前世が男だったから、余計そう思えるのかもしれない。
もし、先に女の人生で、それから前世みたいに男の人生だったとしたら、もう少し妻にも優しくできただろうな、と少しばかり悔悟の念が生まれた。
男の人生だったときは、けっこう足の引っ張り合いが盛んで、ライバルと常に競っていたところがあるが、女の人生になってからは、イジメ問題はあったにせよ。おおむね周りの人間が親切で助かった。
それにマクシミリアンのHがとても上手で、カレなしには生きていけないという自負がある。
だから本日は、今までの人生の中で最高に幸せな日。この幸せがいつまでも続きますように、願っております。
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