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16.濡れ場
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遠征先の演習場は、エスペランサ領からわずか馬で半日も駆ければ行けるところの山間にあった。
エスペランサ領は温泉地であることから、領内には、たくさんの温泉宿が建ち並び、近衛騎士団は、この地で逗留することにする。シャルロットはマクシミリアン様と婚前旅行よろしくこの地で、フェリシアン王子が来るのを待ち構えることにした。
行きは、近衛騎士団の足元に魔方陣を展開し、エスペランサ領へと転移で、全員を運ぶ。
この方法なら、馬も疲れず食費なども大幅に少なくて済む。それに何より、マクシミリアン様と同じお部屋に泊って、温泉の中でイチャイチャできることが魅力的なのだ。
一応、領主の館にも、エスペランサカントリーハウスの中にも客室に温泉を引き入れてはいるが、温泉宿のような淫靡さはない。
シャルロットは、健全な温泉よりも、淫靡な温泉宿に心惹かれる。ベッドにパジャマではなく、布団に浴衣の寝巻の方がそそられるのと同じ。
マクシミリアン様は、表向き婚約者と同じ部屋を取らず、別の部屋で過ごされることになっているが、また温泉宿の押し入れに秘密の抜け穴を作るつもりでいるシャルロットを横目で見ながら、後からシャルロットの待つ部屋に偲んでいくことにする。
いくら何でも仕事で訪れているという建前のもと、大っぴらにイチャイチャはできない。
部下への示しがつかないからだ。
それでも部下にいろいろ指示を出しながらも、もうシャルロットのことばかりを考えている。上の空で返事をしていることが丸バレなのだが、マクシミリアン様は気づかずにいる。
早くシャルロットと二人きりになりたい。早くシャルロットと甘美な時を共にしたい。
さっきから頭の中は、シャルロットでいっぱいになっているのに、素知らぬ顔をしなければならない立場はツライ。
それにしてもフェリシアンの奴め。忌々しいマクシミリアンとシャルロットの中に入り込める余地があると思っていること自体が腹立たしい。
だから見せつけてやりたいという気持ちもあるが、そんなことをしていてもいつまでもらちが明かない。
今回でとどめを刺す気でいる。もう二度と俺たちの前に現れるな!ということを思い知らせてやる。
もう、待ちきれなくなったマクシミリアンは、シャルロットが明けた抜け道を懸命に探す。
そうして、見つけた穴の中でシャルロットに抱き着き、その場でシャルロットを乱暴に抱いてしまう。
穴の中では、どんなに大声を出そうとも、外の世界にいる者たちには届かない。だからその場でマクシミリアンは全裸になり、シャルロットの騎士服をはぎ取るようにして、覆いかぶさる。
オトコの力に抗おうと思えば、聖女様なのだからいくらでもできるはずのない、マクシミリアンが本気でシャルロットを求めているときには、一切抵抗をしてこない。それどころかマクシミリアンの欲を高めようと、自ら様々なポーズを取り、マクシミリアンのオトコの性を煽る。
そうして、ひとしきり、肉欲が収まったころに、二人で同じ温泉に浸かり、さらなる身も心もトロトロになるまで何度もシャルロットを貫く。
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
その頃、フェリシアン殿下は苛立っていた。いつまで経っても、配下の近衛騎士団が来ないので、問い合わせてみたら、もうとっくに、演習場に向かったと言われ、激怒している。
どこの世界に演習場が集合場所の待ち合わせになっている騎士がいるかということ。聖女様も一緒に演習場に向かわれたというし、おかげで、手籠めにする話が最初から頓挫しているではないか!
こうなれば、もうすっぽかすのがイチ番だと思うのだが、ヤられる前にタらなければこっちが負けてしまうという思いもある。
王位継承権だけの問題ではなく、元々フェリシアンとマクシミリアンは因縁の関係で、それはクリストファーが継承権であったときは、まだそれなりのバランスが取れてはいたが、廃嫡になってからというもの、事あるごとに比較され続けてきたので、フェリシアンにとっては、マクシミリアンは目の上のたんこぶ。
だからどうあっても排除したい。
王都から演習場まで売馬車を遣わず馬で駆け抜けても1週間はかかるという距離なのに、一度も追いつくことなく演習場に行ったときには、もうすでに騎士団は野営に入っており、「遅い!」と言わんばかりの態度が不敬だ。
エスペランサ領は温泉地であることから、領内には、たくさんの温泉宿が建ち並び、近衛騎士団は、この地で逗留することにする。シャルロットはマクシミリアン様と婚前旅行よろしくこの地で、フェリシアン王子が来るのを待ち構えることにした。
行きは、近衛騎士団の足元に魔方陣を展開し、エスペランサ領へと転移で、全員を運ぶ。
この方法なら、馬も疲れず食費なども大幅に少なくて済む。それに何より、マクシミリアン様と同じお部屋に泊って、温泉の中でイチャイチャできることが魅力的なのだ。
一応、領主の館にも、エスペランサカントリーハウスの中にも客室に温泉を引き入れてはいるが、温泉宿のような淫靡さはない。
シャルロットは、健全な温泉よりも、淫靡な温泉宿に心惹かれる。ベッドにパジャマではなく、布団に浴衣の寝巻の方がそそられるのと同じ。
マクシミリアン様は、表向き婚約者と同じ部屋を取らず、別の部屋で過ごされることになっているが、また温泉宿の押し入れに秘密の抜け穴を作るつもりでいるシャルロットを横目で見ながら、後からシャルロットの待つ部屋に偲んでいくことにする。
いくら何でも仕事で訪れているという建前のもと、大っぴらにイチャイチャはできない。
部下への示しがつかないからだ。
それでも部下にいろいろ指示を出しながらも、もうシャルロットのことばかりを考えている。上の空で返事をしていることが丸バレなのだが、マクシミリアン様は気づかずにいる。
早くシャルロットと二人きりになりたい。早くシャルロットと甘美な時を共にしたい。
さっきから頭の中は、シャルロットでいっぱいになっているのに、素知らぬ顔をしなければならない立場はツライ。
それにしてもフェリシアンの奴め。忌々しいマクシミリアンとシャルロットの中に入り込める余地があると思っていること自体が腹立たしい。
だから見せつけてやりたいという気持ちもあるが、そんなことをしていてもいつまでもらちが明かない。
今回でとどめを刺す気でいる。もう二度と俺たちの前に現れるな!ということを思い知らせてやる。
もう、待ちきれなくなったマクシミリアンは、シャルロットが明けた抜け道を懸命に探す。
そうして、見つけた穴の中でシャルロットに抱き着き、その場でシャルロットを乱暴に抱いてしまう。
穴の中では、どんなに大声を出そうとも、外の世界にいる者たちには届かない。だからその場でマクシミリアンは全裸になり、シャルロットの騎士服をはぎ取るようにして、覆いかぶさる。
オトコの力に抗おうと思えば、聖女様なのだからいくらでもできるはずのない、マクシミリアンが本気でシャルロットを求めているときには、一切抵抗をしてこない。それどころかマクシミリアンの欲を高めようと、自ら様々なポーズを取り、マクシミリアンのオトコの性を煽る。
そうして、ひとしきり、肉欲が収まったころに、二人で同じ温泉に浸かり、さらなる身も心もトロトロになるまで何度もシャルロットを貫く。
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
その頃、フェリシアン殿下は苛立っていた。いつまで経っても、配下の近衛騎士団が来ないので、問い合わせてみたら、もうとっくに、演習場に向かったと言われ、激怒している。
どこの世界に演習場が集合場所の待ち合わせになっている騎士がいるかということ。聖女様も一緒に演習場に向かわれたというし、おかげで、手籠めにする話が最初から頓挫しているではないか!
こうなれば、もうすっぽかすのがイチ番だと思うのだが、ヤられる前にタらなければこっちが負けてしまうという思いもある。
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だからどうあっても排除したい。
王都から演習場まで売馬車を遣わず馬で駆け抜けても1週間はかかるという距離なのに、一度も追いつくことなく演習場に行ったときには、もうすでに騎士団は野営に入っており、「遅い!」と言わんばかりの態度が不敬だ。
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