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14.婚約
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あの日以来、上官と新人という関係ではなく、すっかり恋人同士になっているマクシミリアンとシャルロット。でも周囲には、まだ内緒にしている。
聖女様と結婚する!もしくは、婚約した!と発表すると、王位継承権の順位が変わってしまい、また第1王子だったクリストファーの二の舞になりかねない。だから慎重に時を選んでいるつもりなのだが、あまりシャルロットが乗り気でないところが気になる。
だが、ベッド内での反応は抜群にイイので、ただ恥ずかしがっているだけの様に思われた。
まったく可愛いやつだ。世間での噂は、魔性の女だとか、歩くセクシーと言われているが、秘めたる恋は、二人を燃え上がらせるに十分なきっかけに過ぎない。
ベッドに入れば、乱れまくるシャルロットは、聖女様に似つかわしくない。まあ、マクシミリアンが開発したと思っているのだから、世話はない。
昼間は騎士で、聖女のような女が、夜には娼婦になりマクシミリアンを翻弄するかのように腰を振る。そのマクシミリアンだけが知っているシャルロットの姿が心底、愛おしい。
早く自分だけのシャルロットにしたいところだが、騎士として意気揚々と入団してきたばかりの新人に、結婚したら仕事は辞めろとは、言いにくい。
マクシミリアンとしては、聖女様に仕事を続けてもらいたいところだが、将来の国母となる女性が、いつまでも最前線にいるわけにはいかない。
そういったジレンマを抱え、今もシャルロットはマクシミリアンの腕の中でスースーと寝息を立てて眠っている。
近衛騎士は、全員、どんなに家が近くにあっても、何かある時のため、王城に常に詰めていなければならないので、全員寮に入っている。当然、上官と新人、それに男女の区別をして寮は成り立っているわけで、今日は、シャルロットの部屋でコトに及んだ。
どちらかが欲しいときに、欲しがった者が相手を求めて、相手の部屋に夜這いをかける。シャルロットがマクシミリアンの部屋を使うときもあれば、こうしてマクシミリアンがシャルロットの部屋を訪れることもある。
二つの部屋の間には、誰にも行き来がバレないように抜け道をシャルロット聖女様が作り、時には、待ちきれなくて、その抜け道の中でコトに及ぶこともあるが、たいていは防音魔法をかけ、どちらかの部屋で愛し合うことになっている。
そんな幸せな日々を送っている二人の元に、ある日、第2王子が演習に参加したいとの意向が寄せられる。
王位継承権者は率先して、戦場に赴かなければ、とても民衆の支持が得られない。自分だけが安全な城の中にいては、騎士や兵士の士気も下がる。
そういう理由から、クリストファー殿下の時には、一度も行っていなかった演習に参加されるという話なのだが、それにシャルロット聖女様を同行させろとまた要望があったことで、マクシミリアンは困惑を隠せない。
また、シャルロットを危険な目に遭わせたくない。
マクシミリアンとの婚約を陛下に直訴して、シャルロットを戦線から離脱させてもらおうと考える。
もちろんエスペランサ公爵に了承を得ての話になるが、陛下に直訴をする前に、そのことをシャルロットが知ってしまい、喧嘩になった。
エスペランサ公爵は、マクシミリアンの提案に一も二もなく同意を示すばかりか、早く挙式を促されたのである。
それにはマクシミリアンも、まったく同感で早く結婚したいと思っていると伝えると、懇願される。
「王位継承権の順位が上がることになるから、シャルロットのためにも早く公表して、挙式をしてください」
そのことがシャルロットの耳に入り、今、お冠の真っ最中なのだ。
「どうして、わたくしに一言の相談もなしにそんなことを……」
「だって、シャルロットと男女の仲になっているというのに、エスペランサ公爵に何も言わないのは卑怯だろ?男として、責任を取りたいのだ」
それは、まあ……嬉しいけど……。
聖女様と結婚する!もしくは、婚約した!と発表すると、王位継承権の順位が変わってしまい、また第1王子だったクリストファーの二の舞になりかねない。だから慎重に時を選んでいるつもりなのだが、あまりシャルロットが乗り気でないところが気になる。
だが、ベッド内での反応は抜群にイイので、ただ恥ずかしがっているだけの様に思われた。
まったく可愛いやつだ。世間での噂は、魔性の女だとか、歩くセクシーと言われているが、秘めたる恋は、二人を燃え上がらせるに十分なきっかけに過ぎない。
ベッドに入れば、乱れまくるシャルロットは、聖女様に似つかわしくない。まあ、マクシミリアンが開発したと思っているのだから、世話はない。
昼間は騎士で、聖女のような女が、夜には娼婦になりマクシミリアンを翻弄するかのように腰を振る。そのマクシミリアンだけが知っているシャルロットの姿が心底、愛おしい。
早く自分だけのシャルロットにしたいところだが、騎士として意気揚々と入団してきたばかりの新人に、結婚したら仕事は辞めろとは、言いにくい。
マクシミリアンとしては、聖女様に仕事を続けてもらいたいところだが、将来の国母となる女性が、いつまでも最前線にいるわけにはいかない。
そういったジレンマを抱え、今もシャルロットはマクシミリアンの腕の中でスースーと寝息を立てて眠っている。
近衛騎士は、全員、どんなに家が近くにあっても、何かある時のため、王城に常に詰めていなければならないので、全員寮に入っている。当然、上官と新人、それに男女の区別をして寮は成り立っているわけで、今日は、シャルロットの部屋でコトに及んだ。
どちらかが欲しいときに、欲しがった者が相手を求めて、相手の部屋に夜這いをかける。シャルロットがマクシミリアンの部屋を使うときもあれば、こうしてマクシミリアンがシャルロットの部屋を訪れることもある。
二つの部屋の間には、誰にも行き来がバレないように抜け道をシャルロット聖女様が作り、時には、待ちきれなくて、その抜け道の中でコトに及ぶこともあるが、たいていは防音魔法をかけ、どちらかの部屋で愛し合うことになっている。
そんな幸せな日々を送っている二人の元に、ある日、第2王子が演習に参加したいとの意向が寄せられる。
王位継承権者は率先して、戦場に赴かなければ、とても民衆の支持が得られない。自分だけが安全な城の中にいては、騎士や兵士の士気も下がる。
そういう理由から、クリストファー殿下の時には、一度も行っていなかった演習に参加されるという話なのだが、それにシャルロット聖女様を同行させろとまた要望があったことで、マクシミリアンは困惑を隠せない。
また、シャルロットを危険な目に遭わせたくない。
マクシミリアンとの婚約を陛下に直訴して、シャルロットを戦線から離脱させてもらおうと考える。
もちろんエスペランサ公爵に了承を得ての話になるが、陛下に直訴をする前に、そのことをシャルロットが知ってしまい、喧嘩になった。
エスペランサ公爵は、マクシミリアンの提案に一も二もなく同意を示すばかりか、早く挙式を促されたのである。
それにはマクシミリアンも、まったく同感で早く結婚したいと思っていると伝えると、懇願される。
「王位継承権の順位が上がることになるから、シャルロットのためにも早く公表して、挙式をしてください」
そのことがシャルロットの耳に入り、今、お冠の真っ最中なのだ。
「どうして、わたくしに一言の相談もなしにそんなことを……」
「だって、シャルロットと男女の仲になっているというのに、エスペランサ公爵に何も言わないのは卑怯だろ?男として、責任を取りたいのだ」
それは、まあ……嬉しいけど……。
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