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21.嫉妬
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研修施設がある会場内に、託児施設があるので、そこに預けながら、研修を受けることにした。
休みの日には、終日、母に面倒を見てもらっているけど、大は、最初の3日間だけしおらしく過ごしていたが、悪友の誘いを断り切れず、夜な夜な遊びに出かけている模様。
しめしめ、これで離婚ができる。後は、誰かに子供でも産ませてくれれば、と考えた途端に、なんだか心の中がざらつく。砂を噛んだようなざらざらした気持ちに自分ながら呆れるぐらい、驚きを隠せない。
子供たちがキャッキャと遊んでいる動画を大に送り付ける。今頃、カノジョとエッチしている最中かと思うと、無性に腹が立ってきた。
自分は、グレゴリーと浮気しているくせに、棚に上げて、大を責めるなどお門違いもいいところ。
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
その頃、大は、外食後、家に戻ったところにさくらから、動画が送られてきているのに、気づき号泣している。
「子供たちに会いたいよ。」
ひとしきり啼いた後に、佐倉家に行き、しばらく有給休暇をもらえないか打診する。
有給休暇は、いつでも取れるものだが、使用者側は、時季変更権を持っているので、今が繁忙期であれば、拒否することができる。
でも、両親は、大の真剣な表情に心動かされ、何も聞かずに認めたのだ。前年分と合わせて、ほぼ1か月分の有給休暇を取得した大が向かった先は、もちろんロンドン。
慌てたのは、さくらで。ホテルの部屋をスイートに格上げしてもらい、空港へ迎えに行く。
国際線のゲートの前で、大が出てくるのをひたすら待つ。入国審査も「sightseeing(観光)」だから手間取らないはず。
やがて、ゲートから大の姿が見えると子供たちまでが両手両足をバタ尽かせて、喜んでいる。
「「パッパ、パッパ。」」
大は駆け寄り、子供たちを二人とも抱き上げる。
「いい子にしてたか?」
大って、こんな子煩悩だったのね。知らなかった。
さくらは胸が熱くなり、子供たちごと、大に抱き着く。
「愛しているよ。さくら。」
「愛しているわ。パパ。」
今更ながらに大への思いが分かったさくらは、人目もはばからず熱いキスを交わす。
「今夜のホテルは奮発して、スイートにしたのよ。少し、部屋で休む?」
「ああ。そうさせてもらうよ。」
それから1か月かけて、大との愛を育んだ。研修が休みの日には、観光へ出かけ、子供たちのためにピクニックや遊園地にも出かける。
大さんも、近くの大学病院で実務を兼ねた研修を受けることにした。
土曜日は、母が午前の診察が終えランチを食べるとすぐ子守に来てくれるのだが、午前5時、まださくらたちは眠っている。子供たちは早起きだから、いいようなものだけど、世界時間の土曜日の早朝から月曜日の午前6時までの間、子供たちを観てくれる。
休みの日には、終日、母に面倒を見てもらっているけど、大は、最初の3日間だけしおらしく過ごしていたが、悪友の誘いを断り切れず、夜な夜な遊びに出かけている模様。
しめしめ、これで離婚ができる。後は、誰かに子供でも産ませてくれれば、と考えた途端に、なんだか心の中がざらつく。砂を噛んだようなざらざらした気持ちに自分ながら呆れるぐらい、驚きを隠せない。
子供たちがキャッキャと遊んでいる動画を大に送り付ける。今頃、カノジョとエッチしている最中かと思うと、無性に腹が立ってきた。
自分は、グレゴリーと浮気しているくせに、棚に上げて、大を責めるなどお門違いもいいところ。
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その頃、大は、外食後、家に戻ったところにさくらから、動画が送られてきているのに、気づき号泣している。
「子供たちに会いたいよ。」
ひとしきり啼いた後に、佐倉家に行き、しばらく有給休暇をもらえないか打診する。
有給休暇は、いつでも取れるものだが、使用者側は、時季変更権を持っているので、今が繁忙期であれば、拒否することができる。
でも、両親は、大の真剣な表情に心動かされ、何も聞かずに認めたのだ。前年分と合わせて、ほぼ1か月分の有給休暇を取得した大が向かった先は、もちろんロンドン。
慌てたのは、さくらで。ホテルの部屋をスイートに格上げしてもらい、空港へ迎えに行く。
国際線のゲートの前で、大が出てくるのをひたすら待つ。入国審査も「sightseeing(観光)」だから手間取らないはず。
やがて、ゲートから大の姿が見えると子供たちまでが両手両足をバタ尽かせて、喜んでいる。
「「パッパ、パッパ。」」
大は駆け寄り、子供たちを二人とも抱き上げる。
「いい子にしてたか?」
大って、こんな子煩悩だったのね。知らなかった。
さくらは胸が熱くなり、子供たちごと、大に抱き着く。
「愛しているよ。さくら。」
「愛しているわ。パパ。」
今更ながらに大への思いが分かったさくらは、人目もはばからず熱いキスを交わす。
「今夜のホテルは奮発して、スイートにしたのよ。少し、部屋で休む?」
「ああ。そうさせてもらうよ。」
それから1か月かけて、大との愛を育んだ。研修が休みの日には、観光へ出かけ、子供たちのためにピクニックや遊園地にも出かける。
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土曜日は、母が午前の診察が終えランチを食べるとすぐ子守に来てくれるのだが、午前5時、まださくらたちは眠っている。子供たちは早起きだから、いいようなものだけど、世界時間の土曜日の早朝から月曜日の午前6時までの間、子供たちを観てくれる。
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