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この世界に転移してから2か月が経った。残してきた世界の家族を思うと切なくなるが、ビクトリアの力ではどうすることもできない。
ビクトリアの役目は、もっぱら子供を産むことだけしかない。そのため毎晩のようにアンドリュー様に求められる羽目になったのだが、どうせなら前世で死ぬ間際に転生すれば、良かったと思えるぐらいアンドリュー様のアレは、激しく、太くて硬い。毎晩、グイグイ来られるものだから、すっかりビクトリアのアソコは、ヒリヒリして悲鳴を上げている。
まあ、子供が生まれてから転生しても、母性があるかどうかもわからないから、生まれる前で良かったものだと思いたい。
アンドリュー殿下からは、焦ることはないとおっしゃってくださっているが、周囲の期待に気圧されていて、毎朝、あいさつ代わりに「ご懐妊の兆し」を聞かれ、ほとほと困っている。
そんな中、ようやく月のモノが来ていないことに気づいたビクトリアは、侍医に診てもらうことに。結果は、「おめでた」だと言われ、ホっとするも、今まで妊娠・出産の経験がないから不安がある。
妊娠がわかってから、夜の方は一段落するものだとばかり期待していたビクトリアは、裏切られ、前よりも増して、激しく求められるようになったが、さすがに妊娠後期になってからは、落ち着いてきた。
ある夜のこと、いつものように同じベッドで愛を囁かれているとき、ふとアンドリュー様が真顔で、
「そろそろいいかな?」
「え……?」
「もし、また元の世界に戻っても、俺と結婚してくれるか?この世界で暮らしてきたように、一緒にいてくれるか?」
「戻れるのですか?」
「うむ」
「でも、いきなりこんなカラダで戻れば、さぞかし両親はビックリするかと思いますが……」
「この世界には、魂だけが来ていて、実際のカラダは、前世のビクトリア姫のものだから問題ない」
「ひょっとして、殿下は、過去と現在を自由に行き来できるのでしょうか?」
「俺も、ずっと夢に苦しめられてきた。ある時、夢の中で、若かりしビクトリア姫を見つけた時、もう一度、新婚時代からやり直したくて、ビクトリア姫には無理をさせてしまったようだ」
そんなあ、それならそうと早く言ってよ。こんな腹ボテ状態で帰るのではないのなら、いつでもかまわない。
でも、9か月も行方不明だった公爵令嬢が急に現れたとなれば、不審がる者に対して、どう説明すべきものかと、今度はまた別の心配で頭を悩ます。
異世界から着てきたドレスを着るも、お腹が邪魔して、うまく着られない。ドレスが違うと、それは一度どこかで脱いだという証(純潔ではないということ)になるから、なるべく周囲の目が厳しくならないようにしなければ……。
ビクトリアは、仕方なく舞踏会で着たドレスと近いデザインと色のものでマタニティなドレスを着ることにして、アンドリュー様が待つ中庭へと急ぐ。
「では、そろそろ参ろうか?」
アンドリュー様の差し出された手を取り、まばゆい光に包まれる。
気が付くと、王宮のホールの真ん中にいて、今まさに曲が始まり踊り出すところに戻っている。
ビクトリアのお腹は、もちろんペタンコのままだ。ドレスも両親が用意してくれたものを着ている。
ビクトリアの役目は、もっぱら子供を産むことだけしかない。そのため毎晩のようにアンドリュー様に求められる羽目になったのだが、どうせなら前世で死ぬ間際に転生すれば、良かったと思えるぐらいアンドリュー様のアレは、激しく、太くて硬い。毎晩、グイグイ来られるものだから、すっかりビクトリアのアソコは、ヒリヒリして悲鳴を上げている。
まあ、子供が生まれてから転生しても、母性があるかどうかもわからないから、生まれる前で良かったものだと思いたい。
アンドリュー殿下からは、焦ることはないとおっしゃってくださっているが、周囲の期待に気圧されていて、毎朝、あいさつ代わりに「ご懐妊の兆し」を聞かれ、ほとほと困っている。
そんな中、ようやく月のモノが来ていないことに気づいたビクトリアは、侍医に診てもらうことに。結果は、「おめでた」だと言われ、ホっとするも、今まで妊娠・出産の経験がないから不安がある。
妊娠がわかってから、夜の方は一段落するものだとばかり期待していたビクトリアは、裏切られ、前よりも増して、激しく求められるようになったが、さすがに妊娠後期になってからは、落ち着いてきた。
ある夜のこと、いつものように同じベッドで愛を囁かれているとき、ふとアンドリュー様が真顔で、
「そろそろいいかな?」
「え……?」
「もし、また元の世界に戻っても、俺と結婚してくれるか?この世界で暮らしてきたように、一緒にいてくれるか?」
「戻れるのですか?」
「うむ」
「でも、いきなりこんなカラダで戻れば、さぞかし両親はビックリするかと思いますが……」
「この世界には、魂だけが来ていて、実際のカラダは、前世のビクトリア姫のものだから問題ない」
「ひょっとして、殿下は、過去と現在を自由に行き来できるのでしょうか?」
「俺も、ずっと夢に苦しめられてきた。ある時、夢の中で、若かりしビクトリア姫を見つけた時、もう一度、新婚時代からやり直したくて、ビクトリア姫には無理をさせてしまったようだ」
そんなあ、それならそうと早く言ってよ。こんな腹ボテ状態で帰るのではないのなら、いつでもかまわない。
でも、9か月も行方不明だった公爵令嬢が急に現れたとなれば、不審がる者に対して、どう説明すべきものかと、今度はまた別の心配で頭を悩ます。
異世界から着てきたドレスを着るも、お腹が邪魔して、うまく着られない。ドレスが違うと、それは一度どこかで脱いだという証(純潔ではないということ)になるから、なるべく周囲の目が厳しくならないようにしなければ……。
ビクトリアは、仕方なく舞踏会で着たドレスと近いデザインと色のものでマタニティなドレスを着ることにして、アンドリュー様が待つ中庭へと急ぐ。
「では、そろそろ参ろうか?」
アンドリュー様の差し出された手を取り、まばゆい光に包まれる。
気が付くと、王宮のホールの真ん中にいて、今まさに曲が始まり踊り出すところに戻っている。
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