転生家族

青の雀

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 気が付くと、アンドリュー王子の腕の中にいたまま、夢の世界に飛んできてしまったみたい。

 実際、アンドリュー王子の姿ではなかったが、よく似たまなざしと面影があったので、殿下だと勘違いしていたのかもしれない。

「ビクトリア嬢……?大丈夫か?どこか痛むところはあるか?」

 優しい声が頭上に響き、その声がアンドリュー殿下のものだと悟った時は、心から安堵したのだった。

「殿下、わたくしは無事です。それにしても、ここはどこでしょうか?」

「俺たちの前世世界だ」 

「え!?」

「そなたは、ビクトリア姫、俺の妃だ。俺たちは、この世界で生まれ、愛し合い夫婦になった。だが、伯父の謀略に嵌り、俺たちの子供と共に殺されてしまったのだ。その未練が残っていたから、来世……つまり、クレメンタインの国で転生した」

 ビクトリアは、混乱するも、それで、あんな変な夢を毎晩見ていたのかと、妙に納得する。

「ちなみに、本日、この世界で俺たちの結婚式が行われた。俺は、そなたを必死に探して、やっと、見つけ出せたのが先ほどの舞踏会だったというわけで。これで納得してくれるだろうか?」

「運命が引き寄せた出会い……ですか?」

「そういうことだ。今から帰るぞ」

「へ?どこに?」

「俺たちの愛の巣へだ」

 アンドリューのその言葉に、ビクトリアは、毎晩のように夢で見たあの光景が頭から離れない。まさか!いきなり初夜をするというのか!?

 もうアンドリュー様に見つめられるだけで、ドキドキしてきてカラダの芯が熱くなっていく。

 でも、なぜか拒めない自分がいる。きっと前世で本気で愛した男性なのだろう。今は全く記憶がないが……。

 それでも、今夜、この身を捧げるという現実は到底、受け入れがたいもので……。モジモジしていたら、疲れているだろうからと、初夜はお預けとなり、同衾だけすることになった。

 ホッとしたのも、束の間、朝方にはしっかり組み敷かれていたのだから。

「ごめん。やっぱり我慢できなくなってしまって……痛かったら手加減するつもりだから、言って」

 と言われても、夢の中のように、もうアソコはグチャグチャになっていて、痛いのと気持ちいいのと、ほぼ初対面の殿下に痴態を晒しているかと思うと恥ずかしいやらなんやらで、昨夜のことを考えると複雑な心境になってくる。

 あの後、エドワードはエスメラルダ家にどんな報告をしたのだろうか?本当のことを言えば、間違いなくクビにされるだろう。

 雇い主の令嬢をほったらかしにして、自分の恋人のところへ行き、うつつを抜かしていたのだから。

 結果、令嬢が行方不明になったのだから、もう言い逃れはできない。

 そんなことを思っていながら、アンドリュー殿下に抱かれていたら、突如、激痛が走る。なにこれ!?まるで、両脚が引きちぎられるような痛みに思わず顔を顰める。

 思わず、アンドリュー殿下の背中にしがみつき、爪を立ててしまう。

 アンドリュー殿下は、優しいまなざしで、何度も愛を囁きながら、ビクトリアに口づけをして、ビクトリアのナカで果てた。

 夢の中とは違い、週に3回どころか毎日3回以上は、標準装備で離してもらえなくなった。


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