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長女アデライン
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我がオルブライト公爵家は、代々顔だけ美人を輩出する家である。高位貴族は、とにかく美人を嫁にしたい。ブス・ブサイクな子供ができてほしくないからである。それで、生まれてすぐ女の子なら、即刻、縁談が決まってしまうのである。ちょうど血統書付きのワンコのようなものである。もし生まれてきたのが男児である場合は、長男を除いて次男は、スペア価値があるが、三男以降は、皆、どこかの貴族の養子としてもらわれていく。
わたくし、アデライン・オルブライト、オルブライト家の長女でございます。
両親ともに、初めての女の子なので、手元に置いて育てたかったらしいのですが、この容姿ですから、致し方ないと言えば、それまででございますが、赤ちゃんの時に縁談が引く手数多にまいりまして、ついに16歳の時、婚約させられてしまいます。
それでもわたくしなど、まだマシな方でございまして、すぐ下の妹は12歳の時、その下の妹は赤ちゃんの時にすでに婚約者が決まっておりましたのよ。厳密に言えば、生まれる前からでしたわね。
わたくしのお相手は外務大臣の息子様で名前は、セドリック・グリーンアイズ様、侯爵家の嫡男でとても美しい方ですわ。
婚約が決まった時、セドリックのお父様がなぜか大喜びされていましたわ。外交官は、将来、外国に行かなければいけないので、その時は美人の嫁さんを連れているかどうかで相手国の対応が月とスッポンになるそうですわ。
そんなものなんでしょうかしら。
これまでの人生、損することは合っても美人で得をすることなどありませんでしたわ。
学園に入ると、婚約者がいなかったせいもあるのでしょうけれど、男子に色目を遣ったと女子生徒から苦情の嵐で虐められました、散々でしたわ。
だから、婚約者が決まった時は、本当にわたくしのほうがホッといたしましたのよ。これで、普通にしていても男子生徒を唆したと言われずに済みましたから。それに、セドリック様が片時も離れてくださらなくなり、周囲からはラブラブだと冷やかされましたが、色目を遣ったなどとあらぬことを言われるより、マシでしたわ。
セドリックはセドリックで大変だったのである。なんせ国一番の飛び切りの美女を婚約者にしたものだから、この婚約に至っては、父が相当頑張ってくれたおかげだったのである。
同級生からはうらやましがられ、妬まれ、「うまいことやったな。」からかわれたり、あれこれ詮索されたりで、大変だったのである。
アデラインは、普通の女性だった。自分が美人だからと鼻にかけることもなく、ごく普通のおっとりした女性であったから、良かった。公爵令嬢だから、おっとりしていて当然であったのだろう。
俺は、アデラインを守るため、学園では、付きっ切りだった。学友と喋ることもなくなり、いつもアデラインとともに過ごした。
側で見るアデラインは本当に美しく、どんな表情をしていても愛おしく感じられる。早く自分のものにしたい。
指を絡めるようにして、手をつなぐ。いわゆる恋人繋ぎである。アデラインは、頬を染め、上目遣いで俺を見る。俺は堪らなくなり、アデラインを抱きしめキスをした。アデラインは、抵抗せず、俺に身を任せる。内心ガッツポーズして、俺たちは関係が少し進む。
まだ、最後までしていないが、少し関係性がかわっただけで、アデラインはますます艶っぽく色っぽくなっていく。
学園でも、アデラインが通っただけでため息が漏れるようになり、俺は鼻高々である。もうすぐこんなイイ女を独り占めできるのが嬉しかった。
アデラインの体を弄りまわして、ずいぶん開発したものだと思う。まだ最後の一線は超えていない。これは卒業後のお楽しみである。
もうアデラインは、俺と馬車の中で二人きりになると積極的に俺を求めるようになったのだ。こうなれば、もう心配はいらない。もう他の誰かに取られる心配がなくなったのである。
アデラインは立派なフェロモン美女になったのである。
セドリックとの関係が夫婦寸前まで進んだ頃には、アデラインが誰かほかの男子生徒を普通に見ただけでも、以前なら色目を遣ったと言われていたのだが、今や見られた男子生徒が顔を赤くしてモジモジしようが、だれも色目を遣ったとは言われなくなり、気楽になれて良かったわぁ、とセドリックにしなだれかかるぐらいに大胆になってきたのである。
そして卒業式、セドリックとアデラインは、夫婦同然の振る舞いで、外交官デビューをします。
その後のお楽しみもたっぷりして、いよいよ結婚式です。
全国から絶世の美女の艶姿を一目見ようと見物客でにぎわいます。
大聖堂で一目、アデラインの花嫁姿を見たという男性は、見ただけで鼻血を出してしまわれます。
ほかにも年寄りの寝たきり寸前のおじいさんが、アデラインの姿を冥途の土産にしようと思って、見に行って、一目見た途端、がぜん若返って元気になったとか、アデラインは男性の精力剤まがいになってしまったことに気づいていない。
二人は、早速外国へ赴任され、そこでいつまでもいちゃつく日々を送る。
わたくし、アデライン・オルブライト、オルブライト家の長女でございます。
両親ともに、初めての女の子なので、手元に置いて育てたかったらしいのですが、この容姿ですから、致し方ないと言えば、それまででございますが、赤ちゃんの時に縁談が引く手数多にまいりまして、ついに16歳の時、婚約させられてしまいます。
それでもわたくしなど、まだマシな方でございまして、すぐ下の妹は12歳の時、その下の妹は赤ちゃんの時にすでに婚約者が決まっておりましたのよ。厳密に言えば、生まれる前からでしたわね。
わたくしのお相手は外務大臣の息子様で名前は、セドリック・グリーンアイズ様、侯爵家の嫡男でとても美しい方ですわ。
婚約が決まった時、セドリックのお父様がなぜか大喜びされていましたわ。外交官は、将来、外国に行かなければいけないので、その時は美人の嫁さんを連れているかどうかで相手国の対応が月とスッポンになるそうですわ。
そんなものなんでしょうかしら。
これまでの人生、損することは合っても美人で得をすることなどありませんでしたわ。
学園に入ると、婚約者がいなかったせいもあるのでしょうけれど、男子に色目を遣ったと女子生徒から苦情の嵐で虐められました、散々でしたわ。
だから、婚約者が決まった時は、本当にわたくしのほうがホッといたしましたのよ。これで、普通にしていても男子生徒を唆したと言われずに済みましたから。それに、セドリック様が片時も離れてくださらなくなり、周囲からはラブラブだと冷やかされましたが、色目を遣ったなどとあらぬことを言われるより、マシでしたわ。
セドリックはセドリックで大変だったのである。なんせ国一番の飛び切りの美女を婚約者にしたものだから、この婚約に至っては、父が相当頑張ってくれたおかげだったのである。
同級生からはうらやましがられ、妬まれ、「うまいことやったな。」からかわれたり、あれこれ詮索されたりで、大変だったのである。
アデラインは、普通の女性だった。自分が美人だからと鼻にかけることもなく、ごく普通のおっとりした女性であったから、良かった。公爵令嬢だから、おっとりしていて当然であったのだろう。
俺は、アデラインを守るため、学園では、付きっ切りだった。学友と喋ることもなくなり、いつもアデラインとともに過ごした。
側で見るアデラインは本当に美しく、どんな表情をしていても愛おしく感じられる。早く自分のものにしたい。
指を絡めるようにして、手をつなぐ。いわゆる恋人繋ぎである。アデラインは、頬を染め、上目遣いで俺を見る。俺は堪らなくなり、アデラインを抱きしめキスをした。アデラインは、抵抗せず、俺に身を任せる。内心ガッツポーズして、俺たちは関係が少し進む。
まだ、最後までしていないが、少し関係性がかわっただけで、アデラインはますます艶っぽく色っぽくなっていく。
学園でも、アデラインが通っただけでため息が漏れるようになり、俺は鼻高々である。もうすぐこんなイイ女を独り占めできるのが嬉しかった。
アデラインの体を弄りまわして、ずいぶん開発したものだと思う。まだ最後の一線は超えていない。これは卒業後のお楽しみである。
もうアデラインは、俺と馬車の中で二人きりになると積極的に俺を求めるようになったのだ。こうなれば、もう心配はいらない。もう他の誰かに取られる心配がなくなったのである。
アデラインは立派なフェロモン美女になったのである。
セドリックとの関係が夫婦寸前まで進んだ頃には、アデラインが誰かほかの男子生徒を普通に見ただけでも、以前なら色目を遣ったと言われていたのだが、今や見られた男子生徒が顔を赤くしてモジモジしようが、だれも色目を遣ったとは言われなくなり、気楽になれて良かったわぁ、とセドリックにしなだれかかるぐらいに大胆になってきたのである。
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