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30.懐妊
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1週間ホットスプリング国に滞在して、モーガン様がジャクリーンに手出ししたのは、1日だけで、ほとんど欲求不満の状態で、隣国のトロピカルランドへ行く。
ここでも、手出しされなかったら、離縁を考えているところ、でもなぜだか南国のフルーツをいっぱい食べたいという欲求もある。
オレンジやレモンなどの柑橘類が食べたくて仕方がない。欲望のまま、山ほど買って、社畜の寮の部屋で魔道具ではないジューサーをフル稼働して飲み干す。美味しい。
モーガン様は心配そうな顔をされて、時々背中をさすってくださる。
「?」
「カラダは大事ないか?」
「へ?なんのこと?」
「姉が孕んだ時と同じ表情をしているから、あまり聖女様に無理をさせたくないと思っている。」
言われてみれば、もう2か月ぐらい生理が来ていないことを思い当たり、ビックリする。
「うっそー!あ、でも、そうかもしれない。」
「アナザーライトに帰ってから、医者に診てもらおう。」
ナニを悠長なことを、そうだとしたら、トロピカルランドですぐ診てもらおうよ。とジャクリーヌが言い出し、ジャコブから、医者を紹介してもらうことになったのだ。
そして、今、王城の部屋で寝かされている。
「おめでとうございます。3か月の初めだと思われますよ。あと半年もすれば、お子が誕生します。」
「あの……、アレはしても大丈夫でございますか?」
「ええ、つらい時はダメですが、特に問題があるわけではございませんし、むしろお腹の赤ちゃんのためには、ご両親が愛し合うことはとても重要なことですから。それに、今後は、もし他の男性とすることがあっても、父親は揺らぎませんから、ご安心を。」
聞いていて、男妾のことを言われているのだと察し、耳まで赤く染まるのを感じる。なぜかモーガン様も同じように顔を真っ赤にされているから。
その夜、久しぶりに激しくお互いを求め合った。モーガン様は、ずっと我慢をしていたらしく、全然気づかなかったジャクリーヌが悪いのだけど、申し訳なく思ったのだ。だって、ずっと飽きてしまわれたと勘違いしていたので、激しく求めてくださり、嬉しい。
トロピカルランドでは、どこにも宿をとらず、あの社畜時代の社員寮の中で、ひとしきり愛し合う。その後は、モーガン様がソファの上で休まられたり、セミダブルの上で、抱き合って眠ったりをした。
カラダを密着させて眠れば、セミダブルでも狭いとは思わず、案外眠れるものだとわかったことは収穫の一つになったのだ。
山ほどの思い出とお土産を抱え、アナザーライトへの帰路につく。
この新婚旅行で、ハネムーンベイビーまでできたことは、素晴らしい結果だと思う。
今までの新婚旅行は、どこか慌ただしいものがあったから、これもモーガン様のおかげだと心から感謝する。
大人なモーガン様が拙いジャクリーヌを導いてくださり、母にさせてくださったのだ。君臨されること、隷属させられることに最初は抵抗感があったものの、今では心から感謝している。
お腹の中に赤ちゃんがいるという安心感、満足感が心を満たしてくれている。
それになぜか悪阻はほとんどないと言って等しい。だから妊娠していることにさえ、気づかなかったのだから。その微妙な変化をモーガン様が感じ取ってくださらなかったら、と思うとゾっとする。
今まで以上に激しいセックスを望んで、下手をしたらお腹の赤ちゃんを傷つけることになったかもしれない。
半年後、ジャクリーンは元気な男の赤ちゃんを産む。その子の髪の色も目の色も涼しげな水色で、まぎれもなくモーガン様の子種だとわかる。
モーガン様との間に、一子を儲けたことで、それまでなんとなくあったレオナルドとモーガンの関係性が一変したのは言うまでもないこと。
モーガンは長男の父親になったことで、ジャクリーヌの正夫の座を勝ち取っていく。
ジャクリーヌのカラダが落ち着いてからは、来る日も来る日も閨の夜伽は、モーガン様が独占していく。
宰相閣下のマーフィー公爵は、すっかり好々爺の顔になり、しょっちゅうアナザーライト家に出入りしては、孫と遊んでいくようになり、ますますレオナルド様の居場所が失われていく。
気の毒に思い、時々、寝室にレオナルド様を招き入れるが、モーガンに知られると、レオナルドの前でも、平手で顔を叩かれる。
別に不貞を働いているわけではないが、最初からそういう結婚だったからと、言い訳などしたらさらにその後、レオナルド様の見ている前で犯されるのだ。
「お前は、俺にこうされることを望んでいるのだろう。さぁ、もっと啼けよ。啼いて詫びを入れろ。それともいつものようにテコキで俺を満足させてくれるのか?ハッキリしろ!」
いたたまれなくなって、レオナルドが部屋を出て行こうとすると、呼び止めジャクリーヌの手足を拘束するように命令する。
ジャクリーヌはもう恥ずかしさと悔しさで、混乱している。でも、今でもモーガンは、二人きりになるとめちゃくちゃジャクリーンに甘く優しくなるのに、レオナルドが絡むと狂暴な一面を見せつけてくる。
きっと、独占欲の塊なのだと思うが、いたたまれない。
ここでも、手出しされなかったら、離縁を考えているところ、でもなぜだか南国のフルーツをいっぱい食べたいという欲求もある。
オレンジやレモンなどの柑橘類が食べたくて仕方がない。欲望のまま、山ほど買って、社畜の寮の部屋で魔道具ではないジューサーをフル稼働して飲み干す。美味しい。
モーガン様は心配そうな顔をされて、時々背中をさすってくださる。
「?」
「カラダは大事ないか?」
「へ?なんのこと?」
「姉が孕んだ時と同じ表情をしているから、あまり聖女様に無理をさせたくないと思っている。」
言われてみれば、もう2か月ぐらい生理が来ていないことを思い当たり、ビックリする。
「うっそー!あ、でも、そうかもしれない。」
「アナザーライトに帰ってから、医者に診てもらおう。」
ナニを悠長なことを、そうだとしたら、トロピカルランドですぐ診てもらおうよ。とジャクリーヌが言い出し、ジャコブから、医者を紹介してもらうことになったのだ。
そして、今、王城の部屋で寝かされている。
「おめでとうございます。3か月の初めだと思われますよ。あと半年もすれば、お子が誕生します。」
「あの……、アレはしても大丈夫でございますか?」
「ええ、つらい時はダメですが、特に問題があるわけではございませんし、むしろお腹の赤ちゃんのためには、ご両親が愛し合うことはとても重要なことですから。それに、今後は、もし他の男性とすることがあっても、父親は揺らぎませんから、ご安心を。」
聞いていて、男妾のことを言われているのだと察し、耳まで赤く染まるのを感じる。なぜかモーガン様も同じように顔を真っ赤にされているから。
その夜、久しぶりに激しくお互いを求め合った。モーガン様は、ずっと我慢をしていたらしく、全然気づかなかったジャクリーヌが悪いのだけど、申し訳なく思ったのだ。だって、ずっと飽きてしまわれたと勘違いしていたので、激しく求めてくださり、嬉しい。
トロピカルランドでは、どこにも宿をとらず、あの社畜時代の社員寮の中で、ひとしきり愛し合う。その後は、モーガン様がソファの上で休まられたり、セミダブルの上で、抱き合って眠ったりをした。
カラダを密着させて眠れば、セミダブルでも狭いとは思わず、案外眠れるものだとわかったことは収穫の一つになったのだ。
山ほどの思い出とお土産を抱え、アナザーライトへの帰路につく。
この新婚旅行で、ハネムーンベイビーまでできたことは、素晴らしい結果だと思う。
今までの新婚旅行は、どこか慌ただしいものがあったから、これもモーガン様のおかげだと心から感謝する。
大人なモーガン様が拙いジャクリーヌを導いてくださり、母にさせてくださったのだ。君臨されること、隷属させられることに最初は抵抗感があったものの、今では心から感謝している。
お腹の中に赤ちゃんがいるという安心感、満足感が心を満たしてくれている。
それになぜか悪阻はほとんどないと言って等しい。だから妊娠していることにさえ、気づかなかったのだから。その微妙な変化をモーガン様が感じ取ってくださらなかったら、と思うとゾっとする。
今まで以上に激しいセックスを望んで、下手をしたらお腹の赤ちゃんを傷つけることになったかもしれない。
半年後、ジャクリーンは元気な男の赤ちゃんを産む。その子の髪の色も目の色も涼しげな水色で、まぎれもなくモーガン様の子種だとわかる。
モーガン様との間に、一子を儲けたことで、それまでなんとなくあったレオナルドとモーガンの関係性が一変したのは言うまでもないこと。
モーガンは長男の父親になったことで、ジャクリーヌの正夫の座を勝ち取っていく。
ジャクリーヌのカラダが落ち着いてからは、来る日も来る日も閨の夜伽は、モーガン様が独占していく。
宰相閣下のマーフィー公爵は、すっかり好々爺の顔になり、しょっちゅうアナザーライト家に出入りしては、孫と遊んでいくようになり、ますますレオナルド様の居場所が失われていく。
気の毒に思い、時々、寝室にレオナルド様を招き入れるが、モーガンに知られると、レオナルドの前でも、平手で顔を叩かれる。
別に不貞を働いているわけではないが、最初からそういう結婚だったからと、言い訳などしたらさらにその後、レオナルド様の見ている前で犯されるのだ。
「お前は、俺にこうされることを望んでいるのだろう。さぁ、もっと啼けよ。啼いて詫びを入れろ。それともいつものようにテコキで俺を満足させてくれるのか?ハッキリしろ!」
いたたまれなくなって、レオナルドが部屋を出て行こうとすると、呼び止めジャクリーヌの手足を拘束するように命令する。
ジャクリーヌはもう恥ずかしさと悔しさで、混乱している。でも、今でもモーガンは、二人きりになるとめちゃくちゃジャクリーンに甘く優しくなるのに、レオナルドが絡むと狂暴な一面を見せつけてくる。
きっと、独占欲の塊なのだと思うが、いたたまれない。
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