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20.男妾
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結婚式の日、やっぱり海の魔物が列席に来てしまった。一応、人間の姿はしている者の、その風体は明らかに異様な姿をしている。
「だから来なくていいと、言ったでしょ。」
「海の生き物代表として、聖女様の結婚式に出たかったのだ。」
「誰が聖女様よ!冗談言わないでよ。このクソ忙しい時に、アンタの世話まで焼けないっつうの。」
そういいながら、時折、水魔法で、魔物の頭から水を浴びせる。魔物は、嬉しそうに、目を細めて
「そういうところが、聖女様だと言っておる。そのうち、自分の力の根拠が何から来ているかわかる時が来る。」
控室に「始まります。」と連絡が入り、そこで話は中断する。
ヴァージンロードを共に歩いてくださるのは、レオナルド様のお祖父様、あの時以来の再会だ。
「まさか……、あの時のお嬢さんが孫と結婚してくれるだなんて、嬉しいよ。あの朴念仁だが、よろしく頼む。」
「ええ。こちらこそ、いいご縁だと思っております。ご老人には感謝の言葉しかございませんわ。」
オルブライト家もアナザーライト家も、血族結婚を繰り返してきた家柄で、血が濃いのだ。だから、ここらで新しい血を入れなければ、また、余命2日だという悲劇が繰り返されることになるかもしれない。
王家も、性欲の強いもの同士がお互いを貪りあった結果が、エドワード様に出て、少しの辛抱もできなかったみたい。
これからどうなるのかしら。跡継ぎを2名も失ってしまって、他に王子様はいるにはいるがまだ幼いし。
関係ないわよね。うん。どう考えても関係がないこと。レオナルド様との結婚だって、別にエドワードにあてつけた結婚ではない。
エドワードと付き合い始めたきっかけは、確かにエドモンドのことが尾を引いていて、当てつけ交際だったことは認めるけど。
式は滞りなく、進んでいき、誓いのキスが行われる。レオナルド様にベールをめくり上げられ、唇が近づいてくると、自然に目を閉じてしまう。
いつもの激しいキスとは違い、軽く触れ、リップ音が大聖堂の中に響き渡る。それだけで、身もだえするほど恥ずかしい。
本来は、式はここまでのはずなのに、誰も退席しない。おかしい。すると、目の前に少し大きめの水晶玉が現れた。
なんだろう、この静けさは?
続いて、誓いの水晶の儀式だと言われて、……?そんなものあったかな?
どちらかが不貞を働いたとき、水晶の誓いに寄り、天罰が下るらしい。そんな恐ろしい儀式ならしたくはない。それに、レオナルド様は男妾でいいとおっしゃった派zyではありませんか?
「ああ……、わたくし、そんな恐ろしい儀式はまっぴらごめんですわ。ですから事態を申し上げたくて……。」
「大丈夫ですよ。イレギュラーも認められておりますゆえに。」
「あ、でもレオナルド様は……?」
「俺なら、大丈夫、子のみを一生、ジャクリーヌ様に捧げられるのなら、喜んでするよ。」
いやいや、そういうことではない。男妾の話はどうなったかということで……?
ゴニョゴニョと二人でコソコソ喋る。
「それも含めての誓いです。ジャクリーヌ様にそういう人が現れても、俺は決してやきもちを焼かないための誓いなのです。」
「本当かなぁ?」
「本当ですよ。」
半信半疑のまま、水晶玉に手をかざしてみる。
急にキラキラ輝きだしたので、びっくりするも、早くレオナルド様が手をかざしてくれないものかと、チラチラ見る。
だって、二人で誓いをしなければ意味がないものでしょう?
待っている間に水晶玉は輝きを増し続ける。
ついに!
光が集まり過ぎて、まぶしいぐらいに空まで届くかのような金色の光が爆発する。同時に各国へLIVE中継しているにも関わらず、各国の空高くまで金色の光は届き、肉眼でも見える。
え?
「聖女様!おめでとうございます!」
「は?」
「やっぱり、聖女様だったんだね。」
「ええ?どういうこと?レオナルド様が仕掛けたの?」
「聖女様はみんなのもの。だから俺一人がジャクリーヌ様を独占することは悪いと思ってね。今後、世界各国から、ジャクリーヌの男妾になりたいと希望する男が大勢押しかけるだろうが、俺のことも男妾の一人だと思ってくれてかまわないから、どんどん愛してもらいなさい。」
「いいの?それで?」
「ああ、その代わり条件がある、俺以外の男妾と閨を共にするときは、俺もその閨に入って、ジャクリーヌが感じているかどうか確かめさせてもらうよ。」
「ええ!それは、ちょっと……いやだな。」
「どうして?どうすれば、ジャクリーヌが乱れるのか、参考にしたいのだ。だから、いいだろ?」
「いやいや、それは秘めゴトだから、その……。なんというか、見られたくないです。だったら、レオナルド様も、わたくし以外の女性とするとき、見せていただけますか?」
「俺は、ジャクリーヌ様のモノだから、他の女性とは、絶対しないと約束できるが、その条件でないとジャクリーヌ様が他の男妾とシているところを見せてくれないというのなら、その条件は飲むよ。」
いやはや、困ったことになったものだ。
「だから来なくていいと、言ったでしょ。」
「海の生き物代表として、聖女様の結婚式に出たかったのだ。」
「誰が聖女様よ!冗談言わないでよ。このクソ忙しい時に、アンタの世話まで焼けないっつうの。」
そういいながら、時折、水魔法で、魔物の頭から水を浴びせる。魔物は、嬉しそうに、目を細めて
「そういうところが、聖女様だと言っておる。そのうち、自分の力の根拠が何から来ているかわかる時が来る。」
控室に「始まります。」と連絡が入り、そこで話は中断する。
ヴァージンロードを共に歩いてくださるのは、レオナルド様のお祖父様、あの時以来の再会だ。
「まさか……、あの時のお嬢さんが孫と結婚してくれるだなんて、嬉しいよ。あの朴念仁だが、よろしく頼む。」
「ええ。こちらこそ、いいご縁だと思っております。ご老人には感謝の言葉しかございませんわ。」
オルブライト家もアナザーライト家も、血族結婚を繰り返してきた家柄で、血が濃いのだ。だから、ここらで新しい血を入れなければ、また、余命2日だという悲劇が繰り返されることになるかもしれない。
王家も、性欲の強いもの同士がお互いを貪りあった結果が、エドワード様に出て、少しの辛抱もできなかったみたい。
これからどうなるのかしら。跡継ぎを2名も失ってしまって、他に王子様はいるにはいるがまだ幼いし。
関係ないわよね。うん。どう考えても関係がないこと。レオナルド様との結婚だって、別にエドワードにあてつけた結婚ではない。
エドワードと付き合い始めたきっかけは、確かにエドモンドのことが尾を引いていて、当てつけ交際だったことは認めるけど。
式は滞りなく、進んでいき、誓いのキスが行われる。レオナルド様にベールをめくり上げられ、唇が近づいてくると、自然に目を閉じてしまう。
いつもの激しいキスとは違い、軽く触れ、リップ音が大聖堂の中に響き渡る。それだけで、身もだえするほど恥ずかしい。
本来は、式はここまでのはずなのに、誰も退席しない。おかしい。すると、目の前に少し大きめの水晶玉が現れた。
なんだろう、この静けさは?
続いて、誓いの水晶の儀式だと言われて、……?そんなものあったかな?
どちらかが不貞を働いたとき、水晶の誓いに寄り、天罰が下るらしい。そんな恐ろしい儀式ならしたくはない。それに、レオナルド様は男妾でいいとおっしゃった派zyではありませんか?
「ああ……、わたくし、そんな恐ろしい儀式はまっぴらごめんですわ。ですから事態を申し上げたくて……。」
「大丈夫ですよ。イレギュラーも認められておりますゆえに。」
「あ、でもレオナルド様は……?」
「俺なら、大丈夫、子のみを一生、ジャクリーヌ様に捧げられるのなら、喜んでするよ。」
いやいや、そういうことではない。男妾の話はどうなったかということで……?
ゴニョゴニョと二人でコソコソ喋る。
「それも含めての誓いです。ジャクリーヌ様にそういう人が現れても、俺は決してやきもちを焼かないための誓いなのです。」
「本当かなぁ?」
「本当ですよ。」
半信半疑のまま、水晶玉に手をかざしてみる。
急にキラキラ輝きだしたので、びっくりするも、早くレオナルド様が手をかざしてくれないものかと、チラチラ見る。
だって、二人で誓いをしなければ意味がないものでしょう?
待っている間に水晶玉は輝きを増し続ける。
ついに!
光が集まり過ぎて、まぶしいぐらいに空まで届くかのような金色の光が爆発する。同時に各国へLIVE中継しているにも関わらず、各国の空高くまで金色の光は届き、肉眼でも見える。
え?
「聖女様!おめでとうございます!」
「は?」
「やっぱり、聖女様だったんだね。」
「ええ?どういうこと?レオナルド様が仕掛けたの?」
「聖女様はみんなのもの。だから俺一人がジャクリーヌ様を独占することは悪いと思ってね。今後、世界各国から、ジャクリーヌの男妾になりたいと希望する男が大勢押しかけるだろうが、俺のことも男妾の一人だと思ってくれてかまわないから、どんどん愛してもらいなさい。」
「いいの?それで?」
「ああ、その代わり条件がある、俺以外の男妾と閨を共にするときは、俺もその閨に入って、ジャクリーヌが感じているかどうか確かめさせてもらうよ。」
「ええ!それは、ちょっと……いやだな。」
「どうして?どうすれば、ジャクリーヌが乱れるのか、参考にしたいのだ。だから、いいだろ?」
「いやいや、それは秘めゴトだから、その……。なんというか、見られたくないです。だったら、レオナルド様も、わたくし以外の女性とするとき、見せていただけますか?」
「俺は、ジャクリーヌ様のモノだから、他の女性とは、絶対しないと約束できるが、その条件でないとジャクリーヌ様が他の男妾とシているところを見せてくれないというのなら、その条件は飲むよ。」
いやはや、困ったことになったものだ。
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