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イソフラボン公爵は娘のことを思い余ってのことで、王家に謀反を興す気などないと釈明したが、3万の大軍は一公爵家にしては多すぎる軍で、謀反の疑いをかけられてもやむなしと判断され、国家反逆罪に問われ、一族郎党全員死罪となるが、他の領地にいた騎士たちは、特段のお咎めがなく、多くは、騎士団入団テストを受け、フランダース騎士と同じく王国のために汗を流している。
「ロロ」から思わぬ展開になってしまったけど、ロアンヌにとっては、出産を無事に済ませることに頭がいっぱいで、他に考えることはない。
ロアンヌは、何も知らなかったけど、学園の卒業生の間では、「ロミオメール」や「ジュリエットメール」が近頃、横行しているらしい。
「ジュリエットメールの送り主は、男爵令嬢のリリアーヌ・ドイルがダントツに多いらしいが、婚約破棄された令嬢もチラホラ混じっているとか?
それならロバートから、ロミオメールが来たこともなんとなく頷けるような気がしてきた。一種の流行りなのね。誰かが、その流行りに便乗して悪戯をしているとしか思えなくなったから、もう気に病むことはない。
後のことは、リチャード殿下に任せて、さっさと休むことにする。胎教も頑張らなくては!
その頃、リチャード殿下もしつこいジュリエットメールに悩まされていた。相手は言わずがもの男爵令嬢のリリアーヌ・ドイル。
学園時代、一度もまともな話をしたこともないのに、なんで今更、こんな脅迫めいたメールが来ること自体がおかしい。
こんなこと、とてもロアンヌには言えないし、知られたくない。ロクに接点もないのに、不敬罪で引っ張ってやろうかとも思うが、相手にすると余計付け上がりそうな気配もある。
どうしたものかと、学園の同級生で現在は、リチャードの補佐をしてくれているクリストファー・アーガイルに聞いてみると、なんと!クリストファーのところにもジュリエットメールが来ているという。
しかも相手は、やはりリリアーヌ・ドイルという。
結局、このメールを送って反応があったものを狙っているとしか思えないから、ほったらかしにしているという。過剰に反応すると、いけないからとリチャードも釘を刺されることになったのだ。
一応、学園にも報告するが、今、学園内でもこのロミオメールにジュリエットメールが横行し、対応に苦慮しているとのこと。
なんで、こういう妙なものが流行っているか皆目見当がつかない。中には、ロアンヌのように、亡くなったはずの婚約者からくるロミオメールもあり、もらった令嬢はショックを受けて、寝込んでいる者もいる。
王国として、ロミオメール、ジュリエットメールの禁止令を発布することにし、違反したものは処罰の対象とすることにしたのだが、今度は匿名で送ってくることになり、送り主がわからなくなり、ますます混迷する。
さらには、年配の未亡人のところにまで死んだ亭主からのロミオメールが届くという例もあり、老若男女を問わず、社会問題化してくる。
とりあえず、リリアーヌ・ドイルを捕縛しようかとも思うが、施行令が出る前のことだから、禁止令が発布されてからは、リリアーヌの名前で送ってくることはなくなったが、明らかに筆跡は同じなものだから……。
おかげで、伝書鳩に魔法鳥という通信産業が大盛況になってしまった。
実は、その裏には、大規模な盗賊団の暗躍が隠され江いたのだ。通信内容を途中で傍受することにより、貴族家の懐具合から年頃の娘がいることなどが外部に漏れ、その情報こそが売買の対象となってしまう。
たかがロミオメールという話では、済まされなくなってしまったのだ。
現に、ロミオメールでその日、不在だということがわかり、強盗に緒強いられたケースもある。
参勤交代ではないが、領地へ行っている間に、王都のタウンハウスを狙われ、若いメイドが連れ去られてしまうという事件が起こった。
主だった騎士は、すべて領主とともに領地へ戻り、留守番をしているメイドでも、下級貴族令嬢ならば、実家に戻ることもあるが、事情で実家に戻らなかったメイドが狙われてしまったそうだ。
留守番をしていた者は、全員切り殺され、さんざん辱めを受けたメイドを案内役として、主人の部屋や奥様の部屋から宝石を奪い、有り金をすべて奪った挙句、国外に売り飛ばされる運命にある。
最初は、貴族をターゲットにされていたが、貴族が警戒を強め、領地に戻った後も手練れの騎士を置くようになってからは、その矛先は平民へと向かう。
王都民は恐怖に震えあがり、騎士団は何をしている!と声を荒げる者も後を絶たず、治安は乱れ、王家の信用は失墜していく。
このままではいけないとばかりに、重鎮の緊急招集をかけるが、妙案は出ない。
通信傍受の禁止令を出しても、そもそも盗賊団はアウトローなのだから、効き目は期待できない。
王都へ入る関所を設け、そこでチェックするか、はたまた鋼板の様に騎士団の詰め所を至る所に設けて、不審者がいないかの取り調べを厳重にすることが決まった。
「ロロ」から思わぬ展開になってしまったけど、ロアンヌにとっては、出産を無事に済ませることに頭がいっぱいで、他に考えることはない。
ロアンヌは、何も知らなかったけど、学園の卒業生の間では、「ロミオメール」や「ジュリエットメール」が近頃、横行しているらしい。
「ジュリエットメールの送り主は、男爵令嬢のリリアーヌ・ドイルがダントツに多いらしいが、婚約破棄された令嬢もチラホラ混じっているとか?
それならロバートから、ロミオメールが来たこともなんとなく頷けるような気がしてきた。一種の流行りなのね。誰かが、その流行りに便乗して悪戯をしているとしか思えなくなったから、もう気に病むことはない。
後のことは、リチャード殿下に任せて、さっさと休むことにする。胎教も頑張らなくては!
その頃、リチャード殿下もしつこいジュリエットメールに悩まされていた。相手は言わずがもの男爵令嬢のリリアーヌ・ドイル。
学園時代、一度もまともな話をしたこともないのに、なんで今更、こんな脅迫めいたメールが来ること自体がおかしい。
こんなこと、とてもロアンヌには言えないし、知られたくない。ロクに接点もないのに、不敬罪で引っ張ってやろうかとも思うが、相手にすると余計付け上がりそうな気配もある。
どうしたものかと、学園の同級生で現在は、リチャードの補佐をしてくれているクリストファー・アーガイルに聞いてみると、なんと!クリストファーのところにもジュリエットメールが来ているという。
しかも相手は、やはりリリアーヌ・ドイルという。
結局、このメールを送って反応があったものを狙っているとしか思えないから、ほったらかしにしているという。過剰に反応すると、いけないからとリチャードも釘を刺されることになったのだ。
一応、学園にも報告するが、今、学園内でもこのロミオメールにジュリエットメールが横行し、対応に苦慮しているとのこと。
なんで、こういう妙なものが流行っているか皆目見当がつかない。中には、ロアンヌのように、亡くなったはずの婚約者からくるロミオメールもあり、もらった令嬢はショックを受けて、寝込んでいる者もいる。
王国として、ロミオメール、ジュリエットメールの禁止令を発布することにし、違反したものは処罰の対象とすることにしたのだが、今度は匿名で送ってくることになり、送り主がわからなくなり、ますます混迷する。
さらには、年配の未亡人のところにまで死んだ亭主からのロミオメールが届くという例もあり、老若男女を問わず、社会問題化してくる。
とりあえず、リリアーヌ・ドイルを捕縛しようかとも思うが、施行令が出る前のことだから、禁止令が発布されてからは、リリアーヌの名前で送ってくることはなくなったが、明らかに筆跡は同じなものだから……。
おかげで、伝書鳩に魔法鳥という通信産業が大盛況になってしまった。
実は、その裏には、大規模な盗賊団の暗躍が隠され江いたのだ。通信内容を途中で傍受することにより、貴族家の懐具合から年頃の娘がいることなどが外部に漏れ、その情報こそが売買の対象となってしまう。
たかがロミオメールという話では、済まされなくなってしまったのだ。
現に、ロミオメールでその日、不在だということがわかり、強盗に緒強いられたケースもある。
参勤交代ではないが、領地へ行っている間に、王都のタウンハウスを狙われ、若いメイドが連れ去られてしまうという事件が起こった。
主だった騎士は、すべて領主とともに領地へ戻り、留守番をしているメイドでも、下級貴族令嬢ならば、実家に戻ることもあるが、事情で実家に戻らなかったメイドが狙われてしまったそうだ。
留守番をしていた者は、全員切り殺され、さんざん辱めを受けたメイドを案内役として、主人の部屋や奥様の部屋から宝石を奪い、有り金をすべて奪った挙句、国外に売り飛ばされる運命にある。
最初は、貴族をターゲットにされていたが、貴族が警戒を強め、領地に戻った後も手練れの騎士を置くようになってからは、その矛先は平民へと向かう。
王都民は恐怖に震えあがり、騎士団は何をしている!と声を荒げる者も後を絶たず、治安は乱れ、王家の信用は失墜していく。
このままではいけないとばかりに、重鎮の緊急招集をかけるが、妙案は出ない。
通信傍受の禁止令を出しても、そもそも盗賊団はアウトローなのだから、効き目は期待できない。
王都へ入る関所を設け、そこでチェックするか、はたまた鋼板の様に騎士団の詰め所を至る所に設けて、不審者がいないかの取り調べを厳重にすることが決まった。
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