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7.初めてのラブレター
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リーチの死後、3年余りが過ぎ、ロリータは中学3年生になった。京都市内の公立中学校に通っている。来年は高校受験だが、もともとのリーチの記憶とロリータ自身にAIが搭載されていることから、常に成績は学年トップ。それどころか全国一の秀才なのだ。
京都人特有の性格からか、魔法少女みたいな有名人が通っていても、誰も騒がない。
太秦に映画の撮影所があったことも影響しているかもしれないが、古くから宮様や芸能人、有名作家が京都に居を移すのは、そっとしておいてあげようという京都人の計らいがあるから。
京都では、誰にも知られないように、そっと静かに穏やかに過ごせる風土がある。
まだ中3の春だというのに、有名私立高校から、推薦状が多数届く。つまり、いつも勉強しなくても100点満点がとれる。
それに地球防衛軍が新たに結成され、ロリータは少女でありながら参与として活躍している。
ま、もっとも戦力の最大がロリータなのだから、祀り上げられることになっても致し方ないことで、隊長は、当然のことながら合衆国大統領が務めている。
リーチの目下の悩みの種は、中身オッサンだった自分が今や「魔法少女」と当然のごとく呼ばれてしまうこと。
せめて「ロリータ」呼びならまだしも、これで大人になっても魔法少女呼びされてしまうのだろうか?と不安が募る。
それに思春期を迎え、カラダの変化が明確になり、お尻もおっぱいも円く柔らかみが出てくる。
それに伴い回りの男たちも見る目が代わり、脂下がっていることが自分も元男だったことから余計敏感に感じてしまう。
正直なところ、女性に対して失礼だと思うし、頭に来るがどうすることもできない。そればかりか、男たちの心の囁き声が聞こえてくるようになったのは、ロリータの本来のスキルからか。
「あれで中3?色っぽすぎるだろ」
「いいケツしている。揉みたい!」
「あのおっぱいを吸いたい!」
ったく腹が立つ。てめえらにも娘がいるだろうによ。
リーチは今、人生の分岐点にいるような気持ちになった。このまま昔のリーチとしての記憶を持ち続けることは難しい。さっさと、あの世へ行ければいいものを、どういうわけかロリータのカラダの中にいる。
でも、ロリータは女の子なのだから、このまま俺を隠し、女の子として生きた方が断然幸せになるだろう。とも考える。
いくらAI搭載だからと言っても、人間の記憶が判断した方がいいことだってあるだろう。特に大学受験、入社試験などがその典型と言える。だからその時期が済むまでは、リーチはロリータの中に留まるつもりでいる。
人生で一番花の時代におっさんがとどまってもいいのか?という気さえしている。リーチはその時代に差し掛かれば、ロリータの潜在意識の奥深くにいて、AIにより呼び起こされるときに、出番を作ろうと思っている。
後方支援はするけど、前面にしゃしゃり出るようなことはしないつもりでいる。
特に恋愛になると、たださえ恋は盲目になるので、そこでおっさんがしゃしゃり出ることなどあってはならない。
ロリータには楽しいときを過ごしてもらいたい。
ここ最近、そんなことを考えるようになったのは、つい先日、生まれて初めてラヴレターをもらったからで、相手は、同じ中学の同級生の氏家史門(うじいえしもん)君。
リーチの記憶のある限りでは、今までただの一度もすれ違ったことさえない。
もっとも接点はなくても、ロリータは今や誰も知らない人がいないというぐらい有名人だから、ラヴレターの一つや二つもらってもおかしいことはない。
ドキドキしながら、トイレへ持って行き開封する。
リーチ時代にラヴレターをもらったことはない。だから、どうすればいいかわからないが、とにかく家へ持って帰るのは、憚られる。なんせ、真理子がいるから。
真理子は義母だけど、前世の嫁だから、ラヴレターをもらったと知られるのはマズくはないけど、気持ちのどこかで不義を働いたような後ろめたさがある。
別に思春期の女の子がもらったところで誰も咎めることはないけど、元嫁に見られるのは、少しばかりイヤかな?
複雑な心情を隠すかのように、トイレに入って、こっそり開けて見ると、内容はたわいがないもの。
「付き合ってほしい」
とどのつまりがそういうこと。
「なんだ。こんなことぐらい直接コクればいいものを」
そのままカバンに入れて、下校しようとしたら、くだんのシモン君が門の前で待っていた。
キャー!待ち伏せされている!?
嬉しいのと、恥ずかしいので、思わず顔を赤らめてしまう。
「御剣、一緒に帰ろう」
「うん」
もう、恥ずかしくて、それしか言えない。
青春やなぁ……。
京都人特有の性格からか、魔法少女みたいな有名人が通っていても、誰も騒がない。
太秦に映画の撮影所があったことも影響しているかもしれないが、古くから宮様や芸能人、有名作家が京都に居を移すのは、そっとしておいてあげようという京都人の計らいがあるから。
京都では、誰にも知られないように、そっと静かに穏やかに過ごせる風土がある。
まだ中3の春だというのに、有名私立高校から、推薦状が多数届く。つまり、いつも勉強しなくても100点満点がとれる。
それに地球防衛軍が新たに結成され、ロリータは少女でありながら参与として活躍している。
ま、もっとも戦力の最大がロリータなのだから、祀り上げられることになっても致し方ないことで、隊長は、当然のことながら合衆国大統領が務めている。
リーチの目下の悩みの種は、中身オッサンだった自分が今や「魔法少女」と当然のごとく呼ばれてしまうこと。
せめて「ロリータ」呼びならまだしも、これで大人になっても魔法少女呼びされてしまうのだろうか?と不安が募る。
それに思春期を迎え、カラダの変化が明確になり、お尻もおっぱいも円く柔らかみが出てくる。
それに伴い回りの男たちも見る目が代わり、脂下がっていることが自分も元男だったことから余計敏感に感じてしまう。
正直なところ、女性に対して失礼だと思うし、頭に来るがどうすることもできない。そればかりか、男たちの心の囁き声が聞こえてくるようになったのは、ロリータの本来のスキルからか。
「あれで中3?色っぽすぎるだろ」
「いいケツしている。揉みたい!」
「あのおっぱいを吸いたい!」
ったく腹が立つ。てめえらにも娘がいるだろうによ。
リーチは今、人生の分岐点にいるような気持ちになった。このまま昔のリーチとしての記憶を持ち続けることは難しい。さっさと、あの世へ行ければいいものを、どういうわけかロリータのカラダの中にいる。
でも、ロリータは女の子なのだから、このまま俺を隠し、女の子として生きた方が断然幸せになるだろう。とも考える。
いくらAI搭載だからと言っても、人間の記憶が判断した方がいいことだってあるだろう。特に大学受験、入社試験などがその典型と言える。だからその時期が済むまでは、リーチはロリータの中に留まるつもりでいる。
人生で一番花の時代におっさんがとどまってもいいのか?という気さえしている。リーチはその時代に差し掛かれば、ロリータの潜在意識の奥深くにいて、AIにより呼び起こされるときに、出番を作ろうと思っている。
後方支援はするけど、前面にしゃしゃり出るようなことはしないつもりでいる。
特に恋愛になると、たださえ恋は盲目になるので、そこでおっさんがしゃしゃり出ることなどあってはならない。
ロリータには楽しいときを過ごしてもらいたい。
ここ最近、そんなことを考えるようになったのは、つい先日、生まれて初めてラヴレターをもらったからで、相手は、同じ中学の同級生の氏家史門(うじいえしもん)君。
リーチの記憶のある限りでは、今までただの一度もすれ違ったことさえない。
もっとも接点はなくても、ロリータは今や誰も知らない人がいないというぐらい有名人だから、ラヴレターの一つや二つもらってもおかしいことはない。
ドキドキしながら、トイレへ持って行き開封する。
リーチ時代にラヴレターをもらったことはない。だから、どうすればいいかわからないが、とにかく家へ持って帰るのは、憚られる。なんせ、真理子がいるから。
真理子は義母だけど、前世の嫁だから、ラヴレターをもらったと知られるのはマズくはないけど、気持ちのどこかで不義を働いたような後ろめたさがある。
別に思春期の女の子がもらったところで誰も咎めることはないけど、元嫁に見られるのは、少しばかりイヤかな?
複雑な心情を隠すかのように、トイレに入って、こっそり開けて見ると、内容はたわいがないもの。
「付き合ってほしい」
とどのつまりがそういうこと。
「なんだ。こんなことぐらい直接コクればいいものを」
そのままカバンに入れて、下校しようとしたら、くだんのシモン君が門の前で待っていた。
キャー!待ち伏せされている!?
嬉しいのと、恥ずかしいので、思わず顔を赤らめてしまう。
「御剣、一緒に帰ろう」
「うん」
もう、恥ずかしくて、それしか言えない。
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