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「コン、コン、コン」

 ノックして、社長室に入ると、先ほどの田所さんと目が合う。

「お呼びでしょうか?」

「うん。これは俺の弟の息子で、今度、留学先から帰国して、知っているとは思うのだが……」

「はい」

「美和ちゃんも、いつまでも一人というわけにも行かないだろう?だから、秀介と結婚してみないか?」

「はあ?」

「実はな、大学を卒業して、ウチの会社に入ってきたときから、コイツとの縁談を念頭に置いていたんだよ」

「え……と?」

「一度、二人でじっくり話し合ってみたら、どうかな?コイツは、もうすっかり美和ちゃんのことを気に入っているみたいなんだが……ダメかなぁ?」

「秘書さんだったのでは?」

「いや、そんなことは、一度も言っていないよ。美和子さんが勘違いしていたから、訂正もしていなかったけど、俺の名前は田所秀介、ウチの親父は田所社長の弟なんだ」

「えーっ!」

 この期に及んで、ようやく理解に追い付いた美和子は、ただただ目を白黒させて、社長と田所さんの顔を見比べているしか、できない。

 そういえば、この男性と一緒にラブホへ行ったわよね。何もなかったけど……。

「この秀介は、今年28歳で、まだカノジョの一人もいないオクテでな。困ったものだよ。ひょっとしたら、オンナに興味がないのかと心配していたのだ。美和ちゃんとは1歳下になるけど、構わないだろ?それとも年下男はイヤかい?」

 一度は、田所さんのようなイケメンさんのカノジョさんになりたいと思っていたので、フルフルと首を振る。



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 その後、本当に2度目のラブホに行って、今なぜか、田所秀介さんに抱かれている。

 あの後、役員会議で、二人は社長室を出ていかれ、美和子は制服から私服に着替えてから、もう一度、社長室のソファに座っていた。

「社長からの指示です」

 みどりさんからの容赦ない一言で、断る術がない。

 会議が終わった秀介さんは、美和子を抱きかかえるようにして、要するに、お持ち帰りされてしまったのだ。

 食事をして、しこたま飲まされて、アルコールはダメというわけではないが、強いと言うほどでもない。

 そのまま、今度は、タクシーに乗せられて、ラブホで全裸にされ、舐められて、喘がされて、転がされている状態なのだ。

 もう、お酒の力を借りても借りなくても、美和子は乱れまくっている。

「あっあーん、いや、いや、ダメ……そんなとこ……」

「綺麗だ。美和子さん、もっと見せてよ」

 あれ?この光景に既視感がある。そういえば、まだ結婚していた時のこと、早朝に見た夢の内容とそっくりだったことを思い出し、さらに照れまくり、乱れまくる。

 もう、美和子はトロトロになっているのに、まだ秀介さんは抱いてくれない。

「ねえ、お願い。もう、耐えられない。欲しいの!田所さん、抱いて!」

「ダメだよ。俺のことを名前で呼んでくれるまでは、抱けない」

「えっ!……だったら、しゅう……す……け……さん、欲しいです」

「うーん。続けて言ってみてよ」

 笑いながら、焦らされるけど、手は止めてくれない。いや、もう止めてほしくない。カラダ中が熱くて、今、ここでやめられたら、狂ってしまうかもしれないという強迫概念があるぐらいだ。

「お願い、欲しいの。秀介さんの太くて大きいものを挿れて……ください」

「よく、言えました。いいか?美和子は、もう俺のモノだよ」

 コクコクと頷いて、秀介さんの背中に手を回して、自分から抱き着きに行く。

 同時に、太くて、熱いものが美和子のカラダを貫く。痛くはないのに、もう処女ではないし、出産も経験しているというのに、痛いような衝撃が広がる。

「あっあー!イイ!」

 今まで感じたことがないような、快楽の海に溺れかけてしまう。こんな快感、和男では絶対に与えてもらえなかったような……、押してはまた引き、さらに押し寄せてくる。

 何度目かの絶頂の後、同時に逝く。グッタリとしている美和子を優しく抱き寄せてくれる力強い腕の中で、安心と共に眠りに落ちていく。
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