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アナスターシアは、学園に入ってからしばらくのこと、第3王子ジョージ様と婚約話があるみたい。学園で同じ学年だから、アナスターシアの話は、有名で一度顔を見てみようと思って、教室を覗いたら、すごい美人で一目惚れしてしまったらしい。
それにアナスターシアの周りにはいつも複数の男子生徒に教職員までが、べったりくっついているので、おいそれと近寄ることもままならない。
帰宅して、父にアナスターシアと婚約したいと申し出ても難しい顔をされるばかりである。なぜなら、いまだ兄のリチャード以下、誰も結婚できないでいる。
それは、オルブライト家と王家との間には、確執がある。三女スカーレットとリチャード王太子殿下の破談がきっかけで、その後、第2王子と四女ステファニーと、みなうまくいかない。王子のほうが冗談で破棄してしまうから、始末が悪い。
ジョージは、決してブサメンではない、むしろ金髪碧眼のイケメンなのだが、自分も幼い時から綺麗な顔立ちと言われ慣れているから、女性が美人だろうがブスだろうが関係ないと思っていたのに。
今、婚約を申し込んだとしても蹴られるのがオチであるから、国王陛下も悩んでいる。オルブライト家の娘を王家に入れることは国益にかなうことだが、リチャードの奴がバカをやりよって、オルブライト公爵を激怒させてしまったからである。2度あることは3度あるで、オルブライトが承知するわけがない。
その頃、ジョージ王子は焦っていた。アナスターシアと喋ることすらできないからである。遠目でチラチラ見るのが関の山、何とかしてアナスターシアと話だけでもしたい。自分の存在を知ってほしい。母のお茶会にアナスターシアを呼んでもらおうか?下心見え見えで嫌がられるか?たとえ嫌がられたとしても喋れないよりはマシだと思い、母に頼み込む。
母もオルブライト家の娘と聞いて、一瞬たじろぐ。
「あの娘は特に美人だから、難しいかもしれないわよ。他の参加者の令嬢やご婦人から虐められるかもしれないので、ジョージがしっかり守ってあげられるなら、呼んであげてもいいけど。3年前のステファニー嬢のことがあったから、少しはマシになったかもしれないけど。どうかしら?とにかく、あなたがエスコートして、帰るまでの警護を責任持ちなさい。」
「もちろんです。お母様、きっとアナスターシア嬢のことを守り切って見せます。」
お茶会の日が来た。ジョージは、朝からそわそわして、オルブライト家でアナスターシアの用意ができるまで、お茶を飲んで過ごしている。
応接室の扉のノック音が聞こえたと思って、振り返ると、この世の者とは思えない輝いて見える美の女神がいたのだ。
「はじめまして、今日はお茶会のお誘いありがとう存じます。アナスターシアと申します。」
美しいカーテシーにしばし見とれる。
「なんと、美しい。」
それでは、そんな言葉ではアナスターシアには、届かない、わかっているのだが、他に言い様がないのである。
「え……と、アナスターシア嬢とは、学園で見かけたことがあるよ。クラスが違うから、なかなか会えないけど。」
するとアナスターシアの顔がパァっと明るくなって、ますます美しい。
「まぁ!本当でございますか。今度、声をかけてくださいませ。あら、でも綺麗な王子様からお声がけしていただいたら、他の女子生徒たちから恨まれるかもしれませんね。」
「そんなことは、ないですよ。今日は、あなた様のことを絶対守り切りますから、何があっても側を離れてはいけませんよ。」
「守ってもらわないといけないほど、恐ろしい処なんですか?」
「ある意味でね。」
「はい、よろしくお願いいたしますわ。」
行きの馬車から、同じ馬車で学園のことやら、お勉強のこと、王家のこと、視察に行った時の話など、いろいろな話をジョージ様はしてくださる。
アナスターシアは、嬉しいような恥ずかしいような心強いような頼もしいような、複雑な感情で黙って聞いている。
やがて馬車は王城のお茶会庭園の近くまで着く。
ジョージ様は先に降りて、左手を差し出してくださる。嬉しい。今までこんなことしてくださった若い殿方はいなかったから。
お姫様にでもなったような気分で、王妃様のところへご挨拶に伺う。
「はじめまして。本日はお招きいただきありがとう存じます。」
「ゆっくり、楽しんでいってね。今日は来てくれてありがとう。」
王妃様と挨拶しているときから、鋭い視線がアナスターシアに容赦なく投げかけられる。
少々、いたたまれないと感じていたら、王妃様が
「この令嬢は、アナスターシア・オルブライト公爵令嬢でございます。この令嬢に無礼を働いたら、わたくしが承知いたしませんから。」
それ以後、刺すような視線は、ピタリと止んだ。王妃様って、すごいね!一言で全体を采配されるのであるから。
それからというもの、ずっとジョージ様がわたくしを守るようにしてくださったおかげで、楽しいひと時を過ごせました。
帰りの馬車の中でも、いっぱいわたくしを笑わせてくださって、お腹がよじれるかと思いましたわ。お別れするとき、少々寂しく感じ、お茶でもどうですか?とお誘いしたぐらいですもの。いつまでも手を握っていてほしい。
それにアナスターシアの周りにはいつも複数の男子生徒に教職員までが、べったりくっついているので、おいそれと近寄ることもままならない。
帰宅して、父にアナスターシアと婚約したいと申し出ても難しい顔をされるばかりである。なぜなら、いまだ兄のリチャード以下、誰も結婚できないでいる。
それは、オルブライト家と王家との間には、確執がある。三女スカーレットとリチャード王太子殿下の破談がきっかけで、その後、第2王子と四女ステファニーと、みなうまくいかない。王子のほうが冗談で破棄してしまうから、始末が悪い。
ジョージは、決してブサメンではない、むしろ金髪碧眼のイケメンなのだが、自分も幼い時から綺麗な顔立ちと言われ慣れているから、女性が美人だろうがブスだろうが関係ないと思っていたのに。
今、婚約を申し込んだとしても蹴られるのがオチであるから、国王陛下も悩んでいる。オルブライト家の娘を王家に入れることは国益にかなうことだが、リチャードの奴がバカをやりよって、オルブライト公爵を激怒させてしまったからである。2度あることは3度あるで、オルブライトが承知するわけがない。
その頃、ジョージ王子は焦っていた。アナスターシアと喋ることすらできないからである。遠目でチラチラ見るのが関の山、何とかしてアナスターシアと話だけでもしたい。自分の存在を知ってほしい。母のお茶会にアナスターシアを呼んでもらおうか?下心見え見えで嫌がられるか?たとえ嫌がられたとしても喋れないよりはマシだと思い、母に頼み込む。
母もオルブライト家の娘と聞いて、一瞬たじろぐ。
「あの娘は特に美人だから、難しいかもしれないわよ。他の参加者の令嬢やご婦人から虐められるかもしれないので、ジョージがしっかり守ってあげられるなら、呼んであげてもいいけど。3年前のステファニー嬢のことがあったから、少しはマシになったかもしれないけど。どうかしら?とにかく、あなたがエスコートして、帰るまでの警護を責任持ちなさい。」
「もちろんです。お母様、きっとアナスターシア嬢のことを守り切って見せます。」
お茶会の日が来た。ジョージは、朝からそわそわして、オルブライト家でアナスターシアの用意ができるまで、お茶を飲んで過ごしている。
応接室の扉のノック音が聞こえたと思って、振り返ると、この世の者とは思えない輝いて見える美の女神がいたのだ。
「はじめまして、今日はお茶会のお誘いありがとう存じます。アナスターシアと申します。」
美しいカーテシーにしばし見とれる。
「なんと、美しい。」
それでは、そんな言葉ではアナスターシアには、届かない、わかっているのだが、他に言い様がないのである。
「え……と、アナスターシア嬢とは、学園で見かけたことがあるよ。クラスが違うから、なかなか会えないけど。」
するとアナスターシアの顔がパァっと明るくなって、ますます美しい。
「まぁ!本当でございますか。今度、声をかけてくださいませ。あら、でも綺麗な王子様からお声がけしていただいたら、他の女子生徒たちから恨まれるかもしれませんね。」
「そんなことは、ないですよ。今日は、あなた様のことを絶対守り切りますから、何があっても側を離れてはいけませんよ。」
「守ってもらわないといけないほど、恐ろしい処なんですか?」
「ある意味でね。」
「はい、よろしくお願いいたしますわ。」
行きの馬車から、同じ馬車で学園のことやら、お勉強のこと、王家のこと、視察に行った時の話など、いろいろな話をジョージ様はしてくださる。
アナスターシアは、嬉しいような恥ずかしいような心強いような頼もしいような、複雑な感情で黙って聞いている。
やがて馬車は王城のお茶会庭園の近くまで着く。
ジョージ様は先に降りて、左手を差し出してくださる。嬉しい。今までこんなことしてくださった若い殿方はいなかったから。
お姫様にでもなったような気分で、王妃様のところへご挨拶に伺う。
「はじめまして。本日はお招きいただきありがとう存じます。」
「ゆっくり、楽しんでいってね。今日は来てくれてありがとう。」
王妃様と挨拶しているときから、鋭い視線がアナスターシアに容赦なく投げかけられる。
少々、いたたまれないと感じていたら、王妃様が
「この令嬢は、アナスターシア・オルブライト公爵令嬢でございます。この令嬢に無礼を働いたら、わたくしが承知いたしませんから。」
それ以後、刺すような視線は、ピタリと止んだ。王妃様って、すごいね!一言で全体を采配されるのであるから。
それからというもの、ずっとジョージ様がわたくしを守るようにしてくださったおかげで、楽しいひと時を過ごせました。
帰りの馬車の中でも、いっぱいわたくしを笑わせてくださって、お腹がよじれるかと思いましたわ。お別れするとき、少々寂しく感じ、お茶でもどうですか?とお誘いしたぐらいですもの。いつまでも手を握っていてほしい。
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