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ロザリーヌは、今、ロッゲンブロート国の隣の国、アマリリス国にいる。
マクシミリアン王子様とラブラブだったはずでは?とお思いかもしれないが、喧嘩したのである。それも超くだらないことで。
マクシミリアン様が次の舞踏会への招待状を持ってこられ、ファーストダンスを踊りたいと申し込まれたことが発端の元。
ファーストダンスを踊るということは、結婚を意味するのである。人生の門出をお披露目する意味もある。もしくは、これから二人は結婚を前提にしますよ、ということを内外に示す目的もある。
対して、ラストダンスというのもある。これは花嫁が花嫁の父と最初で最後のダンスをすること。親子の大切な時間を持つという意味合いである。
ロザリーヌは、マクシミリアン様のことが好きではあるが、ファーストダンスを踊るほど、好きかと言えば、わからないというのが本音である。まだまだこれから素敵な方との出会いがあるかもしれないのに、この方と結婚しますとの宣言はしたくない。
マクシミリアン様は、ファーストダンスに意味などなく、ただ目についた女性と今まではいつも踊っていたので、今回も礼儀として踊りたいと申し込まれただけであったのだ。
それをロザリーヌが変に気をまわして、モジモジしているから、ドレスの色とデザインを教えてほしい。自分の衣装は、その色に合わせるから、と性急に言われたことから喧嘩が始まる。
「だって、何を踊るかわからないのに、ドレスの色などまだ決められませんわ。」
「タンゴだ。我が国の舞踏会のファーストダンスはタンゴと決まっている。」
タンゴと言えば、情熱のダンスでカラダをピッタリくっつけて、踊るのである。そんな、嬉しいような?恥ずかしいような?ダンスを踊るの?内心、ロザリーヌは悲鳴を上げている。
「いやなら、別の令嬢に申し込むがいいか?」
「なんですって!」
ロザリーヌがファーストダンスを拒否ったら、まるで婚約者失格みたいに見えるではないか!
「だったら、早くデザインとドレスの色を教えてくれ。こちらもチーフの色を合わせるから。」
「ドレスの色は、家の者と相談しないとわたくしの一存では決めかねます。」
「わかった。俺と踊るのがイヤだということだな?」
もう、こうなれば売り言葉に買い言葉、踊りたい、少しでも一緒にいたい。という気持ちと裏腹にどんどん感情がエスカレートしてくる。
そして、気が付くと突発的に飛び出していたということ。
「あーあ、なんであんなこと言っちゃったんだろう。マクシミリアン様のことを愛しているのに、どうしても愛しています。と素直に言えない。マクシミリアン様のお好きな色に染めてください。って言えればいいのに。」
その頃、マクシミリアンは、突然消えてしまったロザリーヌに頭を抱えている。
「いったい、何が気に入らない?ただ、ダンスの申し込みをしただけだというのに。聖女様と衣装の色を合わせたいと願っただけで、ふてくされてどこかへ行ってしまわれた。」
「女性が好きな殿方から、ダンスの申し込みをされただけで、嬉しくて何を着ようかいろいろ迷われるのは、当然のことです。まして、ファーストダンスとなれば、なおさらのことです。」
ダディッキー公爵家の侍女長に、そういわれ、そんなものかと思う。
「ファーストダンスに何か意味があるのですか?」
「あら、やだ。ファーストダンスの意味も知らなくて、お嬢様に申し込まれたのですか?ファーストダンスというのは、結婚するとき、または結婚を前提としているときにですね……、……。」
え?そんな意味があったとは……、それで今まで適当に令嬢に声をかけていたことが失敗だったということを始めて知るマクシミリアン。
侍女長もロザリーヌの行方に心当たりがないという。
マクシミリアンは、暗くなりかけている空を見上げて、早く迎えに行かないと、と焦る。愛馬が、鼻を頼りに、ロザリーヌのところへ連れて行ってくれるようで、自分に乗れ、と合図してくる。
犬でもあるまいし、馬がそんなことできるのか?と訝しく思うが、今はそれしか手立てがなく、渋々またがると、愛馬は急発進して、国境を超えて、走るのだ。
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
その頃、急に飛び出したロザリーヌは、今自分がどこにいるかもわからず、不安で途方に暮れている。
転移魔法で知らない土地へ飛んでしまったのだ。すぐ、戻ってもいいけど、なんとなくマクシミリアン様に会わせる顔がなく、しょんぼりしている。
しばらく、ここで風に当たり、落ち着いたら帰ろうと思う。今度は素直に謝るのだ。マクシミリアン様に愛していると言わなければ、嫌われてしまうのがコワイ。
気が付くと、あたりはとっぷりと暮れている。そろそろ帰ろうと、立ち上がると何やら人の気配がする。
知らない間に、盗賊団に取り囲まれているではないか!盗賊たちは、薄暗いぼんやりしたランプを手にしている。
「おいおい、こんなところにイイ女が一人でいるぜ。」
「俺たちが慰めてやろうか?」
「ねえちゃん、俺たちと気持ちいいことしようぜ、なんなら朝まで付き合ってやってもいいんだぜ。」
「おい、こんなイイ女は頭である俺から、いただくってのがここのルールだぞ、その女に指一本触れて見ろ、ただじゃ置かないぞ!」
そう言って、盗賊のボスらしき中年の男がロザリーヌに近づいてくる。ロザリーヌは恐怖で動けない。
「おいおい、今さら抵抗しても無駄だぜ。おとなしく俺様に抱かれろ!」
ワンピースの裾をまくりあげられる。ここにいるのを誰かに知らせないと……はやる気持ちで精いっぱい考える。そうだ、光だ!
ロザリーヌは、全力で光魔法を放つ。
暗闇に一条の光、盗賊どもは、いきなりのビックリするぐらいの光に腰を抜かしながらも、目がよく見えないで目を押さえている。
この隙に、と思ったが、盗賊の頭はまだワンピースのスカートのすそを持っている。破って、逃げ出そうか?それとも、ワンピースを脱いで、転移魔法で逃げようか悩んでいると、馬のヒヒン!という鳴き声と蹄の音が聞こえた。
振り返って、みるとそこにマクシミリアン様がいらっしゃったのである。
「聖女様!ご無事ですか?」
「ひぇっ!」
盗賊どもは、今、襲おうとしていた女性が聖女様と知ると、おでこを地面に擦り付けて、
「聖女様とは知らずに、とんだご無礼を!」
ロザリーヌは盗賊どもを許すことなく、みんなを磔にして、マクシミリアン様と帰路に着く。
本来なら、騎士団に引き渡すところだが、夜遅いので、そういうわけにもいかないから。
ロッゲンブロートの国境線を超えたところで、馬から降りて
そして、マクシミリアン様の愛馬に何度もお礼を言うのです。
「アイーシャ、あなたのおかげよ。命の恩人だわ。」
「アイーシャ?はて、我が愛馬にいつの間に名前を?」
「うふふ。いろいろ名前を考えたんだけど、アイーシャというのがこの子が気に入ったみたいで。」
そう言って、アイーシャの首に抱きつき、何度も撫でる。アイーシャは嬉しそうに、顔をロザリーヌに擦り付ける。
「聖女様、先ほどは、何と言っていいのか、その……ファーストダンスの意味も知らずに、お誘い申し上げてしまい、……。」
「わたくしのほうこそ、ごめんなさい。……わたくし、マクシミリアン様のことが……、好きすぎて、あの……わたくしをマクシミリアン様の好きな色に染め上げてください。」
「なんと!……、私で良いのですか。」
「はい。」
「やったー!俺は世界一の果報者だー!やったー!」
夜空に向かって、叫ばれるマクシミリアン様に顔を染めるロザリーヌ。でも暗いから、よくわからない。
マクシミリアン様は、ロザリーヌのほうへ向き直り、そっと唇を重ねる。
ロザリーヌは、このまま抱いてほしいのだが、マクシミリアン様は、こんなアオカンが嫌なのかどうかわからないけど、それ以上のことは何もしてくださらない。
そして、ロザリーヌの腰を抱いたまま、アイーシャとともに、歩いて、ダディッキー家が公爵邸を出している草原まで送ってくださり、父公爵と何やら、ご相談をされてから、帰って行かれたのである。
マクシミリアン王子様とラブラブだったはずでは?とお思いかもしれないが、喧嘩したのである。それも超くだらないことで。
マクシミリアン様が次の舞踏会への招待状を持ってこられ、ファーストダンスを踊りたいと申し込まれたことが発端の元。
ファーストダンスを踊るということは、結婚を意味するのである。人生の門出をお披露目する意味もある。もしくは、これから二人は結婚を前提にしますよ、ということを内外に示す目的もある。
対して、ラストダンスというのもある。これは花嫁が花嫁の父と最初で最後のダンスをすること。親子の大切な時間を持つという意味合いである。
ロザリーヌは、マクシミリアン様のことが好きではあるが、ファーストダンスを踊るほど、好きかと言えば、わからないというのが本音である。まだまだこれから素敵な方との出会いがあるかもしれないのに、この方と結婚しますとの宣言はしたくない。
マクシミリアン様は、ファーストダンスに意味などなく、ただ目についた女性と今まではいつも踊っていたので、今回も礼儀として踊りたいと申し込まれただけであったのだ。
それをロザリーヌが変に気をまわして、モジモジしているから、ドレスの色とデザインを教えてほしい。自分の衣装は、その色に合わせるから、と性急に言われたことから喧嘩が始まる。
「だって、何を踊るかわからないのに、ドレスの色などまだ決められませんわ。」
「タンゴだ。我が国の舞踏会のファーストダンスはタンゴと決まっている。」
タンゴと言えば、情熱のダンスでカラダをピッタリくっつけて、踊るのである。そんな、嬉しいような?恥ずかしいような?ダンスを踊るの?内心、ロザリーヌは悲鳴を上げている。
「いやなら、別の令嬢に申し込むがいいか?」
「なんですって!」
ロザリーヌがファーストダンスを拒否ったら、まるで婚約者失格みたいに見えるではないか!
「だったら、早くデザインとドレスの色を教えてくれ。こちらもチーフの色を合わせるから。」
「ドレスの色は、家の者と相談しないとわたくしの一存では決めかねます。」
「わかった。俺と踊るのがイヤだということだな?」
もう、こうなれば売り言葉に買い言葉、踊りたい、少しでも一緒にいたい。という気持ちと裏腹にどんどん感情がエスカレートしてくる。
そして、気が付くと突発的に飛び出していたということ。
「あーあ、なんであんなこと言っちゃったんだろう。マクシミリアン様のことを愛しているのに、どうしても愛しています。と素直に言えない。マクシミリアン様のお好きな色に染めてください。って言えればいいのに。」
その頃、マクシミリアンは、突然消えてしまったロザリーヌに頭を抱えている。
「いったい、何が気に入らない?ただ、ダンスの申し込みをしただけだというのに。聖女様と衣装の色を合わせたいと願っただけで、ふてくされてどこかへ行ってしまわれた。」
「女性が好きな殿方から、ダンスの申し込みをされただけで、嬉しくて何を着ようかいろいろ迷われるのは、当然のことです。まして、ファーストダンスとなれば、なおさらのことです。」
ダディッキー公爵家の侍女長に、そういわれ、そんなものかと思う。
「ファーストダンスに何か意味があるのですか?」
「あら、やだ。ファーストダンスの意味も知らなくて、お嬢様に申し込まれたのですか?ファーストダンスというのは、結婚するとき、または結婚を前提としているときにですね……、……。」
え?そんな意味があったとは……、それで今まで適当に令嬢に声をかけていたことが失敗だったということを始めて知るマクシミリアン。
侍女長もロザリーヌの行方に心当たりがないという。
マクシミリアンは、暗くなりかけている空を見上げて、早く迎えに行かないと、と焦る。愛馬が、鼻を頼りに、ロザリーヌのところへ連れて行ってくれるようで、自分に乗れ、と合図してくる。
犬でもあるまいし、馬がそんなことできるのか?と訝しく思うが、今はそれしか手立てがなく、渋々またがると、愛馬は急発進して、国境を超えて、走るのだ。
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
その頃、急に飛び出したロザリーヌは、今自分がどこにいるかもわからず、不安で途方に暮れている。
転移魔法で知らない土地へ飛んでしまったのだ。すぐ、戻ってもいいけど、なんとなくマクシミリアン様に会わせる顔がなく、しょんぼりしている。
しばらく、ここで風に当たり、落ち着いたら帰ろうと思う。今度は素直に謝るのだ。マクシミリアン様に愛していると言わなければ、嫌われてしまうのがコワイ。
気が付くと、あたりはとっぷりと暮れている。そろそろ帰ろうと、立ち上がると何やら人の気配がする。
知らない間に、盗賊団に取り囲まれているではないか!盗賊たちは、薄暗いぼんやりしたランプを手にしている。
「おいおい、こんなところにイイ女が一人でいるぜ。」
「俺たちが慰めてやろうか?」
「ねえちゃん、俺たちと気持ちいいことしようぜ、なんなら朝まで付き合ってやってもいいんだぜ。」
「おい、こんなイイ女は頭である俺から、いただくってのがここのルールだぞ、その女に指一本触れて見ろ、ただじゃ置かないぞ!」
そう言って、盗賊のボスらしき中年の男がロザリーヌに近づいてくる。ロザリーヌは恐怖で動けない。
「おいおい、今さら抵抗しても無駄だぜ。おとなしく俺様に抱かれろ!」
ワンピースの裾をまくりあげられる。ここにいるのを誰かに知らせないと……はやる気持ちで精いっぱい考える。そうだ、光だ!
ロザリーヌは、全力で光魔法を放つ。
暗闇に一条の光、盗賊どもは、いきなりのビックリするぐらいの光に腰を抜かしながらも、目がよく見えないで目を押さえている。
この隙に、と思ったが、盗賊の頭はまだワンピースのスカートのすそを持っている。破って、逃げ出そうか?それとも、ワンピースを脱いで、転移魔法で逃げようか悩んでいると、馬のヒヒン!という鳴き声と蹄の音が聞こえた。
振り返って、みるとそこにマクシミリアン様がいらっしゃったのである。
「聖女様!ご無事ですか?」
「ひぇっ!」
盗賊どもは、今、襲おうとしていた女性が聖女様と知ると、おでこを地面に擦り付けて、
「聖女様とは知らずに、とんだご無礼を!」
ロザリーヌは盗賊どもを許すことなく、みんなを磔にして、マクシミリアン様と帰路に着く。
本来なら、騎士団に引き渡すところだが、夜遅いので、そういうわけにもいかないから。
ロッゲンブロートの国境線を超えたところで、馬から降りて
そして、マクシミリアン様の愛馬に何度もお礼を言うのです。
「アイーシャ、あなたのおかげよ。命の恩人だわ。」
「アイーシャ?はて、我が愛馬にいつの間に名前を?」
「うふふ。いろいろ名前を考えたんだけど、アイーシャというのがこの子が気に入ったみたいで。」
そう言って、アイーシャの首に抱きつき、何度も撫でる。アイーシャは嬉しそうに、顔をロザリーヌに擦り付ける。
「聖女様、先ほどは、何と言っていいのか、その……ファーストダンスの意味も知らずに、お誘い申し上げてしまい、……。」
「わたくしのほうこそ、ごめんなさい。……わたくし、マクシミリアン様のことが……、好きすぎて、あの……わたくしをマクシミリアン様の好きな色に染め上げてください。」
「なんと!……、私で良いのですか。」
「はい。」
「やったー!俺は世界一の果報者だー!やったー!」
夜空に向かって、叫ばれるマクシミリアン様に顔を染めるロザリーヌ。でも暗いから、よくわからない。
マクシミリアン様は、ロザリーヌのほうへ向き直り、そっと唇を重ねる。
ロザリーヌは、このまま抱いてほしいのだが、マクシミリアン様は、こんなアオカンが嫌なのかどうかわからないけど、それ以上のことは何もしてくださらない。
そして、ロザリーヌの腰を抱いたまま、アイーシャとともに、歩いて、ダディッキー家が公爵邸を出している草原まで送ってくださり、父公爵と何やら、ご相談をされてから、帰って行かれたのである。
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