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3 男尊女卑
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ロッゲンブロート国は、鉱業の国だった。山から採れる鉱物が国を支える産業である。金銀銅の他に鉛、鉄、鈴、宝石類も含まれる。
鉱山で働く男たちは、武骨者が多いと聞くが、ロッゲンブロート国の国民性が出ているせいか、すれ違う国民は、皆寡黙で聖女様を見ても寄ってこない。
第1王子様のマクシミリアン殿下と一緒にいるからか、マクシミリアン殿下には一礼していく。
マクシミリアン様は、ロッゲンブロートの王都に着くや否や、ロザリーヌに立派なティアラをプレゼントする。
生まれて初めての自分のためだけのプレゼントにソワソワする。今までは、何をもらっても、リリアーヌがみんな奪っていく。父は心得たもので、後からこっそり、もう1個用意してくれているけど、他の人たちは、そうもいかないから。
これ受け取ったら婚約という意味?かもしれないので、躊躇していると、
「ご安心ください。これを差し上げるのは、我が国自慢のためで、このティアラで聖女様を買おうなんて、思っていません。」
安心して、被ると不思議なもので宝石の力のせいか、聖魔法の威力が倍近く跳ねあがることを実感する。
お見合い自体は、可もなく不可もなく、といったところでお開きとなる。
まぁヴィンセントに比べたら、マシと言えば、大マシなのだが、ヴィンセントという低すぎるハードルに比べると、どんな人でもイイ男に見える。
これがもし政略で決まっていたものなら、「ハイそうですか。」で、結婚できるような相手なのである。ただ、ロザリーヌは燃えるような恋愛結婚を望んでいる。だから可もなく不可もなく、といった結論に至ってしまう。
まだまだお見合いの旅は長いのだ。今ここで決めてしまう必要はない。
「また気が変わったら、いつでもお返事お待ちしております。」
アダムブッシュ帝国との国境付近まで、見送ってくださったのである。こういうマメなところは、嫌いではない。心づかいが嬉しい。
アダムブッシュ国のスティーヴ皇太子殿下は、ちっとも迎えに来てくださらない。男尊女卑の国らしい。
ここは、会う前からパスだなぁ。亭主関白をしたいなら、それなりのことをしないとさせてもらえないよ。
結局、スティーヴ皇太子殿下には、会わずにシュゼット国に向かう聖女様一行。素通りするため、心なしか早歩きになっている。
なぜって?どうしても聖女様と結婚したいという熱意が感じられなかったからと、後で文句を言われたときのための口実を考えとく。
その頃、アダムブッシュの帝城では、もめにもめていた。スティーヴ皇太子が重い腰を上げずに、側近たちが、焦りまくっている。
「早くいかないと無視されてしまいますよ。せっかく、聖女様が来てくださったというのに、お迎えにもいかず、無礼ではありませんか?」
「女のほうから、挨拶に来るというのなら、会ってやるが、向こうが素通りをしているのなら、仕方あるまい。」
「聖女様は、女性ですが、普通の並の女性とは違います。一国の国王陛下よりも権力も地位もおありの方なんですよ。それに、カモミール国からいらしたので、我が国のしきたりなどご存じありません。」
「それなら、覚えてから来るのが筋というものではないか?なぜ、俺が下手に出なければならない?」
「聖女様と結婚したいと仰せられたのは、殿下ではございませんか?」
「あれは、あの場の雰囲気で、みすみす他国に盗られるのが我慢できなくなったからだ。」
「では、もう今は聖女様が隣国へ取られても構わないと思っていらっしゃるのですか?」
「そうではないが、どうすればいいのだ?」
「だから、お迎えに上がられてはいかがですか。と申し上げております。」
「それは嫌だ。そんなことしたら、相手はつけあがるぞ。」
「はぁ……、殿下は失礼ながら女性におモテにならないのは、そういうところがあるからです。」
「はぁ?なんだと!もういっぺん言ってみろ!」
頑固な割に、女性に対しては、妙にオクテなのだが、それをわかっている側近たちは、ため息ばかり出る。
このままでは、我が国は、素通りされて、もう二度と足を踏み入れてもらえない。誰かを使いにやらそうか?いや、聖女様は、スティーヴ殿下の顔をよく知っていらっしゃるから、替え玉を立てるなど不可能である。
本人が行かなければ意味がない。隣国のロッゲンブロート国は王子様自らがお迎えに行って、お見送りまでされているのだ。
そのことと比べられたら、我が国は確実に落ちる。聖女様の結婚相手の国として、絶対に選ばれない。どうしたものか、と側近たちはやきもきする。
「仕方ないな、お前らがそこまで言うのなら、ちょいと顔を出してくるか?」
やっと殿下が重い腰を上げてくださったとき、すでに聖女様一行は、隣国シュゼットの国境付近にまで迫られていた。
すべては、手遅れになってしまう。行かないより、行ったほうがマシはマシでも、手遅れになるなら、行かない方がまだマシ?
その頃、カモミール国は大騒ぎになっていたのである。
聖女様もろとも、ダディッキー家がすべてなくなっているのであるから。すべてというのは、公爵邸もろとも、もとい公爵邸が建っていた場所の土地ごと、すっぽりとない!
ダディッキー家が管理していた領地のほうへも見にやったら、これもその領地があったと思われる場所は、大穴が開いているだけで、何もない!木も草も土も何もないのである。
「聖女様は何処へ行かれた?」
「確か、隣国の王子様のところへお見合いに行かれたと伺っております。」
「土地ごと、ないのであるぞ?お見合いに土地は必要か?」
「さぁ?」
貴族牢に入っていたはずのヴィンセントが呼ばれるも、ヴィンセントも元婚約者の行き先に心当たりはない。
「13年間も婚約者だったのだぞ、どこか心当たりがあるはずだ。よく思い出して見ろ?」
そんなこと言われても、確かに最初はヴィンセントの一目惚れでも、その後ロザリーヌは妃教育で忙しくしてたから、ロクに会えずにいて、仕方なくリリアーヌに慰めてもらっていたのだから、そうだ!リリアーヌに聞けば、何か知っているかもしれない。
しかし、リリアーヌはもうこの世にはいない。ヴィンセントは自分が手を下したことを忘れている。
リリアーヌ?リリアーヌはいないか?城の中を探し回るヴィンセント。
おかしいな。いつもどこからともなく現れるリリアーヌがいない!リリアーヌもロザリーヌとともにどこかへ行ってしまったのだろうか?
そんなバカ息子の様子に頭を抱える国王陛下、すでに滅びのカウントダウンが始まっている。
鉱山で働く男たちは、武骨者が多いと聞くが、ロッゲンブロート国の国民性が出ているせいか、すれ違う国民は、皆寡黙で聖女様を見ても寄ってこない。
第1王子様のマクシミリアン殿下と一緒にいるからか、マクシミリアン殿下には一礼していく。
マクシミリアン様は、ロッゲンブロートの王都に着くや否や、ロザリーヌに立派なティアラをプレゼントする。
生まれて初めての自分のためだけのプレゼントにソワソワする。今までは、何をもらっても、リリアーヌがみんな奪っていく。父は心得たもので、後からこっそり、もう1個用意してくれているけど、他の人たちは、そうもいかないから。
これ受け取ったら婚約という意味?かもしれないので、躊躇していると、
「ご安心ください。これを差し上げるのは、我が国自慢のためで、このティアラで聖女様を買おうなんて、思っていません。」
安心して、被ると不思議なもので宝石の力のせいか、聖魔法の威力が倍近く跳ねあがることを実感する。
お見合い自体は、可もなく不可もなく、といったところでお開きとなる。
まぁヴィンセントに比べたら、マシと言えば、大マシなのだが、ヴィンセントという低すぎるハードルに比べると、どんな人でもイイ男に見える。
これがもし政略で決まっていたものなら、「ハイそうですか。」で、結婚できるような相手なのである。ただ、ロザリーヌは燃えるような恋愛結婚を望んでいる。だから可もなく不可もなく、といった結論に至ってしまう。
まだまだお見合いの旅は長いのだ。今ここで決めてしまう必要はない。
「また気が変わったら、いつでもお返事お待ちしております。」
アダムブッシュ帝国との国境付近まで、見送ってくださったのである。こういうマメなところは、嫌いではない。心づかいが嬉しい。
アダムブッシュ国のスティーヴ皇太子殿下は、ちっとも迎えに来てくださらない。男尊女卑の国らしい。
ここは、会う前からパスだなぁ。亭主関白をしたいなら、それなりのことをしないとさせてもらえないよ。
結局、スティーヴ皇太子殿下には、会わずにシュゼット国に向かう聖女様一行。素通りするため、心なしか早歩きになっている。
なぜって?どうしても聖女様と結婚したいという熱意が感じられなかったからと、後で文句を言われたときのための口実を考えとく。
その頃、アダムブッシュの帝城では、もめにもめていた。スティーヴ皇太子が重い腰を上げずに、側近たちが、焦りまくっている。
「早くいかないと無視されてしまいますよ。せっかく、聖女様が来てくださったというのに、お迎えにもいかず、無礼ではありませんか?」
「女のほうから、挨拶に来るというのなら、会ってやるが、向こうが素通りをしているのなら、仕方あるまい。」
「聖女様は、女性ですが、普通の並の女性とは違います。一国の国王陛下よりも権力も地位もおありの方なんですよ。それに、カモミール国からいらしたので、我が国のしきたりなどご存じありません。」
「それなら、覚えてから来るのが筋というものではないか?なぜ、俺が下手に出なければならない?」
「聖女様と結婚したいと仰せられたのは、殿下ではございませんか?」
「あれは、あの場の雰囲気で、みすみす他国に盗られるのが我慢できなくなったからだ。」
「では、もう今は聖女様が隣国へ取られても構わないと思っていらっしゃるのですか?」
「そうではないが、どうすればいいのだ?」
「だから、お迎えに上がられてはいかがですか。と申し上げております。」
「それは嫌だ。そんなことしたら、相手はつけあがるぞ。」
「はぁ……、殿下は失礼ながら女性におモテにならないのは、そういうところがあるからです。」
「はぁ?なんだと!もういっぺん言ってみろ!」
頑固な割に、女性に対しては、妙にオクテなのだが、それをわかっている側近たちは、ため息ばかり出る。
このままでは、我が国は、素通りされて、もう二度と足を踏み入れてもらえない。誰かを使いにやらそうか?いや、聖女様は、スティーヴ殿下の顔をよく知っていらっしゃるから、替え玉を立てるなど不可能である。
本人が行かなければ意味がない。隣国のロッゲンブロート国は王子様自らがお迎えに行って、お見送りまでされているのだ。
そのことと比べられたら、我が国は確実に落ちる。聖女様の結婚相手の国として、絶対に選ばれない。どうしたものか、と側近たちはやきもきする。
「仕方ないな、お前らがそこまで言うのなら、ちょいと顔を出してくるか?」
やっと殿下が重い腰を上げてくださったとき、すでに聖女様一行は、隣国シュゼットの国境付近にまで迫られていた。
すべては、手遅れになってしまう。行かないより、行ったほうがマシはマシでも、手遅れになるなら、行かない方がまだマシ?
その頃、カモミール国は大騒ぎになっていたのである。
聖女様もろとも、ダディッキー家がすべてなくなっているのであるから。すべてというのは、公爵邸もろとも、もとい公爵邸が建っていた場所の土地ごと、すっぽりとない!
ダディッキー家が管理していた領地のほうへも見にやったら、これもその領地があったと思われる場所は、大穴が開いているだけで、何もない!木も草も土も何もないのである。
「聖女様は何処へ行かれた?」
「確か、隣国の王子様のところへお見合いに行かれたと伺っております。」
「土地ごと、ないのであるぞ?お見合いに土地は必要か?」
「さぁ?」
貴族牢に入っていたはずのヴィンセントが呼ばれるも、ヴィンセントも元婚約者の行き先に心当たりはない。
「13年間も婚約者だったのだぞ、どこか心当たりがあるはずだ。よく思い出して見ろ?」
そんなこと言われても、確かに最初はヴィンセントの一目惚れでも、その後ロザリーヌは妃教育で忙しくしてたから、ロクに会えずにいて、仕方なくリリアーヌに慰めてもらっていたのだから、そうだ!リリアーヌに聞けば、何か知っているかもしれない。
しかし、リリアーヌはもうこの世にはいない。ヴィンセントは自分が手を下したことを忘れている。
リリアーヌ?リリアーヌはいないか?城の中を探し回るヴィンセント。
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