ワンナイトラブから玉の輿婚へ 結婚してから始まる恋愛

青の雀

文字の大きさ
上 下
40 / 41
乙女ゲームの世界

40.卒業式

しおりを挟む
 正彦と美織は二人で、女神様の提案を受けるかどうか話し合いをする。

 「朱里が来ると信じていたから、……なんとなく張り合いが亡くなったというか、なんというか。」

 「それは、俺も同じだよ。でも、詳しくは聞いていないが、どうせまた異世界だろ?俺はニッポンへ帰れないのなら、このままこの乙女ゲームの世界で生きてもいいと思う。」

 「わたくしも同意見ですわ。どうせ、また異世界でイチから苦労しなければならないのでしたら、後60年ほどは、このまま、この世界で生き続けてもいいと思いますわ。それに、明日の卒業式も楽しみですしね。男爵令嬢のリリアーヌ様から、どのような言いがかりをつけられるかにも、寄りますわね。」

 「まさか、それはないだろう。だって、今日、初めてぁ尾を合わせたばかりだからね。いくら何でも昨日の今日では、話は作れないと思うが……?」

 「それなら、いいですけど、なんといっても、わたくしはリリアーヌ様から見れば、悪役令嬢そのものでございますから。」

 「それをいうなら、悪役令夫人の間違いでは?」



-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-



 篤実、卒業式で、久しぶりにまともな格好で出かけられる。いつも王城の中ばかりだから、ほとんどマタニティドレスで過ごしていたから、ちょっとおめかしするのは久しぶりで嬉しい。

 学園の制服にも久方ぶりに袖を通すが、少し太ったみたいで、かなり窮屈、卒業式が終わるとダイエットをしようと思っているから、それに、もう学園の制服を着る機会もないから、別に構わないと言えば、構わない。

 マタニティの時は、2人分食べなければ、と自分に言い聞かせていたから、それで太ってしまったのだろうと思う。

 つづけさまに3人の男児ばかりを産んだので、国としてはもう安泰で、後は、夫婦として、楽しむ為のセックスをするのみ。

 だから、今日こそを乗り切れば、後は、ラブラブに専念すればいいこと。だから、女神さまの提案を断るつもりでいるのだが、男爵令嬢のリリアーヌ様がどういう態度で出てくるかがわからないので、その点だけが不安材料になっている。

 午前中は学園内の講堂で、卒業式が行荒れ、夕刻には、記念祝賀パーティが開かれるので、本来なら、マホガニーとミルフィーユは、パーティだけを出てもいい所なのだが、学園から派遣されてこられた家庭教師の先生方がぜひとも、卒業式にご臨席を賜りたいということだったので、卒業式にも参列させていただくことになったのだ。

 当初の予想通り、首席での卒業者は、正彦でマホガニー殿下が壇上に呼ばれる。

 試験の出る範囲は、家庭教師の先生がみっちり教えてくださっているので、そこだけ勉強すれば、誰でも満点が取れるようになっている。

 ほとんどカンニングみたいなもので、他の生徒が知れば、暴動が起きるのではないかと思うけど、黙っていることにしよう。

 そして、いったん馬車で王城に引き上げ、お風呂に入り、豪華な衣装を身にまとう。

 マホガニーにエスコートされ、パーティの会場へ出向くと、やはりリリアーヌ様の周りには、攻略対象者かどうかわからないけれど、数人の男子生徒に取り囲まれていらっしゃるご様子。

 このまま、何事もなく無事、終わってくれればいいのだけど……。

 リリアーヌ様は、あの攻略対象者全員と、もう寝たのかしらね?でも、不感症のカラダでは、よくなかったはず。

 お気の毒に。と思いつつも、学園長の挨拶と義父の国王陛下の挨拶が終わり、歓談タイムに入る。

 中盤に差し掛かり、そろそろ、王太子ご夫妻は退場をしようと話していると、怖い顔をしたロゼッタ伯爵令息が、わたくしたち夫婦の前に躍り出てくる。

 「あら、ロゼッタ様、ごきげんよう。」

 「ちょっとミルフィーユ様にお話ししたいことがあります。」

 「うむ。俺が代わりに聞こう。」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

社長室の蜜月

ゆる
恋愛
内容紹介: 若き社長・西園寺蓮の秘書に抜擢された相沢結衣は、突然の異動に戸惑いながらも、彼の完璧主義に応えるため懸命に働く日々を送る。冷徹で近寄りがたい蓮のもとで奮闘する中、結衣は彼の意外な一面や、秘められた孤独を知り、次第に特別な絆を築いていく。 一方で、同期の嫉妬や社内の噂、さらには会社を揺るがす陰謀に巻き込まれる結衣。それでも、蓮との信頼関係を深めながら、二人は困難を乗り越えようとする。 仕事のパートナーから始まる二人の関係は、やがて揺るぎない愛情へと発展していく――。オフィスラブならではの緊張感と温かさ、そして心揺さぶるロマンティックな展開が詰まった、大人の純愛ストーリー。

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

危険な残業

詩織
恋愛
いつも残業の多い奈津美。そこにある人が現れいつもの残業でなくなる

Perverse

伊吹美香
恋愛
『高嶺の花』なんて立派なものじゃない ただ一人の女として愛してほしいだけなの… あなたはゆっくりと私の心に浸食してくる 触れ合う身体は熱いのに あなたの心がわからない… あなたは私に何を求めてるの? 私の気持ちはあなたに届いているの? 周りからは高嶺の花と呼ばれ本当の自分を出し切れずに悩んでいる女 三崎結菜 × 口も態度も悪いが営業成績No.1で結菜を振り回す冷たい同期男 柴垣義人 大人オフィスラブ

なし崩しの夜

春密まつり
恋愛
朝起きると栞は見知らぬベッドの上にいた。 さらに、隣には嫌いな男、悠介が眠っていた。 彼は昨晩、栞と抱き合ったと告げる。 信じられない、嘘だと責める栞に彼は不敵に微笑み、オフィスにも関わらず身体を求めてくる。 つい流されそうになるが、栞は覚悟を決めて彼を試すことにした。

10 sweet wedding

国樹田 樹
恋愛
『十年後もお互い独身だったら、結婚しよう』 そんな、どこかのドラマで見た様な約束をした私達。 けれど十年後の今日、私は彼の妻になった。 ……そんな二人の、式後のお話。

処理中です...