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乙女ゲームの世界
38.懐妊
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学園に入り1学期が終わろうとしている頃に、ミルフィーユは妊娠していることに気づく、正彦に言うと、マホガニーは馬車を用意してくれる。
正彦は学園に残るのかと思えば、美織と共に馬車に乗り込んでくる。
「前の世界でも、命がけなのだから。今世はなおさら立ち合いを希望するよ。それに学園内で、よからぬ企てをしている奴らへの牽制にもなるだろう。」
「何でございますか?」
「俺のいぬ間に、ミルフィーユを襲う経過鵜があるらしい。」
「まあ!」
「美織は無自覚だが、それぐらいミルフィーユは男子生徒から人気があるってことだよ。だから心配でたまらなかったんだ。」
頼りないなんて、思っていて、ごめんなさいね。美織は心の中で謝る。
これから起こるであろう妊娠、悪阻、出産に対してナーバスになり過ぎたと反省している。
前世、ニッポンでならまだしも、この世界は医療なんて概念がない。病気にかかれば、ロクな治療を受けられないまま死ぬしかない。時折、聖女様が祈って助けてくださることはあっても、そうそう聖女様がいるわけではない。パラダイス国には、皆無の存在だけに不安しかない。
美織は前世の知識を生かして、妊娠中毒症にならないように、妊婦糖尿病にならないように気を付けることしかできない。
城へ帰り、侍医に診せると、やはり妊娠4か月であることがわかる。
ミルフィーユは侍医の勧めもあり、この学年の残りの授業はすべて、在宅で学園から家庭教師を派遣してもらい、受けることにしたのである。
あうると、どういうわけかマホガニーも白煙へ行かず、一緒に抗議を受けている。アンタは王太子でしょうが!身重のミルフィーユとはわけが違うのよと言いたいところだが、前世から、ずっと一緒に過ごす癖がついていて、なかなか離れ離れというものは寂しい。
それに医療の進んでいない後進国ということもあり、マホガニーには不安要素があるということらしい。
だからといって、医者でもない正彦には何もできないのだけど、それでも側にいてくれるだけで心強いというもの。
夏休みが終わっても、学園に戻らないマホガニーは、周囲からヒソヒソと格好の噂話の標的にされてしまうが、本人は気にした様子もない。
お自分は、王太子である前に夫として、妻の出産を見届ける義務がある。と開き直っている。この世界には、今までなかった価値観だけに女性からのウケは非常にいい。
だいたい、それまでのこの世界の常識からすれば、子供を生す行為までは夫婦の共同作業であるが、いったん、妊娠してしまえば、後は存ぜぬで、その間は、浮気や愛人を堂々と作るのが当たり前としてある。
そして、浮気相手や愛人が再び妊娠でもすれば、それは男の甲斐性のように、あたかも手柄かのように、取り上げられる。
マホガニーは、そこに風穴を開けたことにより、貴族社会で特に奥方から絶大な評価が上がることになったのだ。
政治は男が動かしていると男は思っているが、家の中での奥さんの権力程強いものはない。
奥さんの支持に結局は従わざるを得ない実情がある。
最初は、こぞって避難していた男たちは、こぞって、賛同するようになる。
マホガニーが一度、道筋をつけることになり、そのことが結果として、男の産休や育児休暇につながる動きを見せ始める。
乙女ゲームといえども、女性の社会進出により、大きく変革をっ遂げようとしていることに変わりがない。
正彦はここまで絶大な支持を得られるとは、思ってもみなかったことで、pm歩がけずにご婦人方から、さらなる期待論が高まりつつあることに少々困惑しているのが本音にある。
それで、美織に相談すると、
「これはもう、ラマーズ法しかないでしょ?出産直前まで奥様の手を取り、一緒に「ひっひーふー」よね?」
「そうだよな?ラマーズ法だよな。ってか、俺、分娩室へ入れるのか?」
「前例を作れば?」
正彦は学園に残るのかと思えば、美織と共に馬車に乗り込んでくる。
「前の世界でも、命がけなのだから。今世はなおさら立ち合いを希望するよ。それに学園内で、よからぬ企てをしている奴らへの牽制にもなるだろう。」
「何でございますか?」
「俺のいぬ間に、ミルフィーユを襲う経過鵜があるらしい。」
「まあ!」
「美織は無自覚だが、それぐらいミルフィーユは男子生徒から人気があるってことだよ。だから心配でたまらなかったんだ。」
頼りないなんて、思っていて、ごめんなさいね。美織は心の中で謝る。
これから起こるであろう妊娠、悪阻、出産に対してナーバスになり過ぎたと反省している。
前世、ニッポンでならまだしも、この世界は医療なんて概念がない。病気にかかれば、ロクな治療を受けられないまま死ぬしかない。時折、聖女様が祈って助けてくださることはあっても、そうそう聖女様がいるわけではない。パラダイス国には、皆無の存在だけに不安しかない。
美織は前世の知識を生かして、妊娠中毒症にならないように、妊婦糖尿病にならないように気を付けることしかできない。
城へ帰り、侍医に診せると、やはり妊娠4か月であることがわかる。
ミルフィーユは侍医の勧めもあり、この学年の残りの授業はすべて、在宅で学園から家庭教師を派遣してもらい、受けることにしたのである。
あうると、どういうわけかマホガニーも白煙へ行かず、一緒に抗議を受けている。アンタは王太子でしょうが!身重のミルフィーユとはわけが違うのよと言いたいところだが、前世から、ずっと一緒に過ごす癖がついていて、なかなか離れ離れというものは寂しい。
それに医療の進んでいない後進国ということもあり、マホガニーには不安要素があるということらしい。
だからといって、医者でもない正彦には何もできないのだけど、それでも側にいてくれるだけで心強いというもの。
夏休みが終わっても、学園に戻らないマホガニーは、周囲からヒソヒソと格好の噂話の標的にされてしまうが、本人は気にした様子もない。
お自分は、王太子である前に夫として、妻の出産を見届ける義務がある。と開き直っている。この世界には、今までなかった価値観だけに女性からのウケは非常にいい。
だいたい、それまでのこの世界の常識からすれば、子供を生す行為までは夫婦の共同作業であるが、いったん、妊娠してしまえば、後は存ぜぬで、その間は、浮気や愛人を堂々と作るのが当たり前としてある。
そして、浮気相手や愛人が再び妊娠でもすれば、それは男の甲斐性のように、あたかも手柄かのように、取り上げられる。
マホガニーは、そこに風穴を開けたことにより、貴族社会で特に奥方から絶大な評価が上がることになったのだ。
政治は男が動かしていると男は思っているが、家の中での奥さんの権力程強いものはない。
奥さんの支持に結局は従わざるを得ない実情がある。
最初は、こぞって避難していた男たちは、こぞって、賛同するようになる。
マホガニーが一度、道筋をつけることになり、そのことが結果として、男の産休や育児休暇につながる動きを見せ始める。
乙女ゲームといえども、女性の社会進出により、大きく変革をっ遂げようとしていることに変わりがない。
正彦はここまで絶大な支持を得られるとは、思ってもみなかったことで、pm歩がけずにご婦人方から、さらなる期待論が高まりつつあることに少々困惑しているのが本音にある。
それで、美織に相談すると、
「これはもう、ラマーズ法しかないでしょ?出産直前まで奥様の手を取り、一緒に「ひっひーふー」よね?」
「そうだよな?ラマーズ法だよな。ってか、俺、分娩室へ入れるのか?」
「前例を作れば?」
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