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オフィスラブ
24.ファッションショー
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「とても愛おしい。大切な存在だよ。俺の妻は美織以外に考えられない唯一無二の存在だといえる。」
ふーん。それなりに愛されていたということか。
「なれそめは?美織のどこが好きになったのですか?」
「ストップ!これから、二人で愛を育んでいけばいいのだから、俺は前の美織も、そして今、目の前にいる美織のことも大好きだよ。愛している。」
「できるかしら、そんなこと?」
「できるよ。明日は、ラフな格好で来てくれ。」
帰り支度をしている社長に、
「よかったら、ウチで何か食べていきますか?」
「え!いいの?嬉しいな。」
「社長は何がお好きなのですか?」
「美織。」
「え?」
「美織が作ってくれるものなら、全部、好きだってことさ。」
「じゃあ、オムライスにしましょう。昨日の余りもののカレーをかけて食べられるように、お土産用はオムライス。夕飯は、チキンライスにしようか?それともハンバーグが良いかも。」
美織は、ハンバーグを焼きはじめる。こうやって、誰かのためにお料理を作ることは好きだ。
付け合わせは、ほうれん草のお浸しを作る。
お味噌汁も、久しぶりに飲みたい。
トマトの皮を湯剥きにして、キャベツの千切りと共に出す。
「お粗末様です。」
テーブルに出された料理に目を輝かせる社長。まるで子供みたい。そして、これはお土産用のオムライスも、社長の側へ置く。
「ハンバーグはまだまだ、あるからお代わりご自由です。」
「ありがとう。美味っ!いつ食べても、美織の料理は、美味い。」
食後の後片付けに、社長が率先して立ってくれ、とても助かる。
「え!社長いいですよ。後片付けはゆっくりしますから。」
「なに、言ってんだ。我が家のルールじゃないか。二人でやれば、それだけ効率よく片付く。」
へー。そういうルールがあったのか。
社長が言ったとおり、二人で後片付けをすれば、一瞬で終わってしまった。もう少し、社長と一緒にいたい気分だけど、そんなことは言えない。
「そうだ。明日のデート用の洋服を買いに行こうか?」
「え!いいです。適当に、着ていきますから。」
「ダメだ。美織の体調次第だけど、まだ6時半だから、これから買い物に出かけても8時までには帰れる。美織を着飾りたいのだ。付き合ってくれないか?」
そういう風に言われると、断り辛い。
仕方なく社長についていくと、美織のマンションの隣にあるコインパーキングに車をとめていたようだ。
初めて、社長の車に乗せてもらえることで緊張する。
「そんな、緊張すんなって。前は一緒に通勤していたんだぜ。」
「ああ、それで……定期の期限が切れていたのですか?」
「はぁ……、本当に覚えていないのか……あの時、神様に命だけは助けてやってくださいとお願いしたのがいけなかったのかな。元の美織を俺に帰してくださいと祈るべきだったのかもしれない。」
寂しそうな横顔に、ドキリとする。
お店に着くと、ビックリするような高級ブティックに驚くものの、店員さんが、みんな美織のことをよく知っているような様子で、任せておけば、安心だと思ってしまう。
でも、値札を見て、ビックリする。美織の1か月分のお給料より高いTシャツはゼロが一つ多いのでは?と何度も見直したぐらい。
それを金の糸目もなく、社長は買ってくれたのだから、感謝しかないわ。
「ありがとうございます。」
なんとなく、店内で「社長」呼びすることが憚られて、静かに頭を下げる。
社長は嬉しそうに頷いてくれる。
こういう太っ腹なところが好きになったのかな?それって、なんだか金に目がくらんだみたいでイヤだな。
大きな紙袋がいくつも抱えながら、再び美織の自宅マンションまで送り届けてくれる。
「ファッションショーが見たいが、良いか?」
ファッションショー?何のことかわからなかったけど、試着室で、美織は見ていたけど、社長がまだ見ていないので、着せて見せてくれってことかしら?
スポンサーなので、イヤとも言えず、別室で着替えて、社長の前に現れると
「綺麗だ。美織、よく似合っているよ。」
少し、美織は照れて、頬を赤く染める。
ふーん。それなりに愛されていたということか。
「なれそめは?美織のどこが好きになったのですか?」
「ストップ!これから、二人で愛を育んでいけばいいのだから、俺は前の美織も、そして今、目の前にいる美織のことも大好きだよ。愛している。」
「できるかしら、そんなこと?」
「できるよ。明日は、ラフな格好で来てくれ。」
帰り支度をしている社長に、
「よかったら、ウチで何か食べていきますか?」
「え!いいの?嬉しいな。」
「社長は何がお好きなのですか?」
「美織。」
「え?」
「美織が作ってくれるものなら、全部、好きだってことさ。」
「じゃあ、オムライスにしましょう。昨日の余りもののカレーをかけて食べられるように、お土産用はオムライス。夕飯は、チキンライスにしようか?それともハンバーグが良いかも。」
美織は、ハンバーグを焼きはじめる。こうやって、誰かのためにお料理を作ることは好きだ。
付け合わせは、ほうれん草のお浸しを作る。
お味噌汁も、久しぶりに飲みたい。
トマトの皮を湯剥きにして、キャベツの千切りと共に出す。
「お粗末様です。」
テーブルに出された料理に目を輝かせる社長。まるで子供みたい。そして、これはお土産用のオムライスも、社長の側へ置く。
「ハンバーグはまだまだ、あるからお代わりご自由です。」
「ありがとう。美味っ!いつ食べても、美織の料理は、美味い。」
食後の後片付けに、社長が率先して立ってくれ、とても助かる。
「え!社長いいですよ。後片付けはゆっくりしますから。」
「なに、言ってんだ。我が家のルールじゃないか。二人でやれば、それだけ効率よく片付く。」
へー。そういうルールがあったのか。
社長が言ったとおり、二人で後片付けをすれば、一瞬で終わってしまった。もう少し、社長と一緒にいたい気分だけど、そんなことは言えない。
「そうだ。明日のデート用の洋服を買いに行こうか?」
「え!いいです。適当に、着ていきますから。」
「ダメだ。美織の体調次第だけど、まだ6時半だから、これから買い物に出かけても8時までには帰れる。美織を着飾りたいのだ。付き合ってくれないか?」
そういう風に言われると、断り辛い。
仕方なく社長についていくと、美織のマンションの隣にあるコインパーキングに車をとめていたようだ。
初めて、社長の車に乗せてもらえることで緊張する。
「そんな、緊張すんなって。前は一緒に通勤していたんだぜ。」
「ああ、それで……定期の期限が切れていたのですか?」
「はぁ……、本当に覚えていないのか……あの時、神様に命だけは助けてやってくださいとお願いしたのがいけなかったのかな。元の美織を俺に帰してくださいと祈るべきだったのかもしれない。」
寂しそうな横顔に、ドキリとする。
お店に着くと、ビックリするような高級ブティックに驚くものの、店員さんが、みんな美織のことをよく知っているような様子で、任せておけば、安心だと思ってしまう。
でも、値札を見て、ビックリする。美織の1か月分のお給料より高いTシャツはゼロが一つ多いのでは?と何度も見直したぐらい。
それを金の糸目もなく、社長は買ってくれたのだから、感謝しかないわ。
「ありがとうございます。」
なんとなく、店内で「社長」呼びすることが憚られて、静かに頭を下げる。
社長は嬉しそうに頷いてくれる。
こういう太っ腹なところが好きになったのかな?それって、なんだか金に目がくらんだみたいでイヤだな。
大きな紙袋がいくつも抱えながら、再び美織の自宅マンションまで送り届けてくれる。
「ファッションショーが見たいが、良いか?」
ファッションショー?何のことかわからなかったけど、試着室で、美織は見ていたけど、社長がまだ見ていないので、着せて見せてくれってことかしら?
スポンサーなので、イヤとも言えず、別室で着替えて、社長の前に現れると
「綺麗だ。美織、よく似合っているよ。」
少し、美織は照れて、頬を赤く染める。
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