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オフィスラブ
22.正彦視点3
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世田谷正彦30歳、美織と結婚している。
美織との出会いは、美織が新入社員の頃、美織に一目ぼれしたことから、なんとしても美織を手に入れたくて、あの手この手で、ようやく結婚に、こぎつけたのだが結婚してからもずっと、片思いでいた。
それがある日、美織がポツリと「寂しい。」と言ったことから、両想いの関係になれた。
それは、結果として、1泊2日になってしまった遊園地デートをきっかけとして、愛し合う関係になれたと思っていたのに、会社の毒花によって、すべてぶち壊されてしまったこと。
毒花を懲戒解雇にしたぐらいでは、収まり切れない怒りがある。
なんとか一命をとりとめてくれたのはいいが、正彦のことはすべて忘れていたことにショックは隠せない。
あの事件のせいで、俺と美織の関係が会社中に周知されてしまったことはいいこととしても、美織にとっても俺にとっても、仕事がやり辛くなることは確か。いっそのこと、これを機会に寿退社してもらおうかとも、考えたがm美織の記憶が戻ってくることを信じて、それまで待つことにする。
それに退院予定の日よりも、一日早く退院していたこともショックだった。俺には、一言も言わず……記憶を失っていたせいかもしれないが、やはりショックはショックで、俺の家にも戻ってきてくれなかったことも、ダメージが大きい。
そえにしても、親父の代で採用になった毒花こと青井百合子。葵は俺に色目を使っていたことなど、今まで一度たりともなかったはずだ。
俺の秘書の鬼塚麻衣子さんから聞く話によると、社長秘書になりたくて、鬼塚さんに嫌がらせをしていたという。
秘書としてのスキルが格段に違うことから、どんなに嫌がらせを受けても、一蹴できたと笑っていた。鬼塚さんは、英語のほかにドイツ語とフランス語、中国語、スペイン語がネイティヴレベルで話せるのに対し、毒花は、日本語だけ、というお粗末さで、よく秘書になったという厚顔な女だから。
まあ、俺に毒花が近づけないように、鬼塚さんがうまくやってくれていたのだと思うから、感謝している。
退院予定の日、出社していることを鬼塚さんから聞き、美織を社長室に連れてくるように指示を出して、また失敗してしまったようだ。
鬼塚さんからは。「いつか思い出される日が来るまで、なるべくそっとしておいてあげた方がいいのでは?あまり追い詰めるようなことをしては、思い出せるものも、思い出せなくなってしまうかもしれません。」
アドバイスをしてもらったが、一刻も早く美織に会いたかったから、焦ってしまった。
美織は、役員室のフロアに入った途端に、気を失って倒れてしまい、美織を抱き上げて、そのまま家に連れ帰ってきた。
まだ、病み上がりの美織にとって、負担だったのかもしれない。
それとも、事件現場があのフロアだったから、潜在意識の中で、トラウマになっているのか、そうだとしたら悪いことをしてしまったようだ。
社長室ではなく、会議室で待っていてもらっていた方がよかったのかもしれないということが気がかりになっているのも事実。
今日は、美織が家にいると思えば、なんとなく嬉しい。早めに帰って、寝顔だけでも見たい。
定時になる前に、会社を出て、目が覚めた時のために花束を買って帰ろう。美織が嬉しそうにする顔を思い浮かべながら、花屋で、「妻にプレゼントしたい。」というと、適当にアレジメントしてくれ、ピンク色のリボンで結んでくれたものを抱えて帰る。
玄関チャイムは、あえて押さずに、音をたてないように気を遣いながら、ドアを開けるとカレーのいい匂いがしている。
美織が、料理を作ってくれたのか!嬉しい。久しぶりに愛妻の料理が食べられるなんて、もう体調は良くなったのか?
だが、台所にも寝室にもどこにも美織の姿はない。
「え……、美織いないのか……。どこ行ったんだ?昨日といい、今日といい。」
まさか、ホテル暮らし?記憶がないから、この家を自宅だと認識していないのかもしれない。
明日、会社に来てくれるかな?
美織との出会いは、美織が新入社員の頃、美織に一目ぼれしたことから、なんとしても美織を手に入れたくて、あの手この手で、ようやく結婚に、こぎつけたのだが結婚してからもずっと、片思いでいた。
それがある日、美織がポツリと「寂しい。」と言ったことから、両想いの関係になれた。
それは、結果として、1泊2日になってしまった遊園地デートをきっかけとして、愛し合う関係になれたと思っていたのに、会社の毒花によって、すべてぶち壊されてしまったこと。
毒花を懲戒解雇にしたぐらいでは、収まり切れない怒りがある。
なんとか一命をとりとめてくれたのはいいが、正彦のことはすべて忘れていたことにショックは隠せない。
あの事件のせいで、俺と美織の関係が会社中に周知されてしまったことはいいこととしても、美織にとっても俺にとっても、仕事がやり辛くなることは確か。いっそのこと、これを機会に寿退社してもらおうかとも、考えたがm美織の記憶が戻ってくることを信じて、それまで待つことにする。
それに退院予定の日よりも、一日早く退院していたこともショックだった。俺には、一言も言わず……記憶を失っていたせいかもしれないが、やはりショックはショックで、俺の家にも戻ってきてくれなかったことも、ダメージが大きい。
そえにしても、親父の代で採用になった毒花こと青井百合子。葵は俺に色目を使っていたことなど、今まで一度たりともなかったはずだ。
俺の秘書の鬼塚麻衣子さんから聞く話によると、社長秘書になりたくて、鬼塚さんに嫌がらせをしていたという。
秘書としてのスキルが格段に違うことから、どんなに嫌がらせを受けても、一蹴できたと笑っていた。鬼塚さんは、英語のほかにドイツ語とフランス語、中国語、スペイン語がネイティヴレベルで話せるのに対し、毒花は、日本語だけ、というお粗末さで、よく秘書になったという厚顔な女だから。
まあ、俺に毒花が近づけないように、鬼塚さんがうまくやってくれていたのだと思うから、感謝している。
退院予定の日、出社していることを鬼塚さんから聞き、美織を社長室に連れてくるように指示を出して、また失敗してしまったようだ。
鬼塚さんからは。「いつか思い出される日が来るまで、なるべくそっとしておいてあげた方がいいのでは?あまり追い詰めるようなことをしては、思い出せるものも、思い出せなくなってしまうかもしれません。」
アドバイスをしてもらったが、一刻も早く美織に会いたかったから、焦ってしまった。
美織は、役員室のフロアに入った途端に、気を失って倒れてしまい、美織を抱き上げて、そのまま家に連れ帰ってきた。
まだ、病み上がりの美織にとって、負担だったのかもしれない。
それとも、事件現場があのフロアだったから、潜在意識の中で、トラウマになっているのか、そうだとしたら悪いことをしてしまったようだ。
社長室ではなく、会議室で待っていてもらっていた方がよかったのかもしれないということが気がかりになっているのも事実。
今日は、美織が家にいると思えば、なんとなく嬉しい。早めに帰って、寝顔だけでも見たい。
定時になる前に、会社を出て、目が覚めた時のために花束を買って帰ろう。美織が嬉しそうにする顔を思い浮かべながら、花屋で、「妻にプレゼントしたい。」というと、適当にアレジメントしてくれ、ピンク色のリボンで結んでくれたものを抱えて帰る。
玄関チャイムは、あえて押さずに、音をたてないように気を遣いながら、ドアを開けるとカレーのいい匂いがしている。
美織が、料理を作ってくれたのか!嬉しい。久しぶりに愛妻の料理が食べられるなんて、もう体調は良くなったのか?
だが、台所にも寝室にもどこにも美織の姿はない。
「え……、美織いないのか……。どこ行ったんだ?昨日といい、今日といい。」
まさか、ホテル暮らし?記憶がないから、この家を自宅だと認識していないのかもしれない。
明日、会社に来てくれるかな?
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