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オフィスラブ
14.デート前夜
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デートへ行く前日、どういうわけか、社長室に呼ばれ、そのまま美織は退勤となる。
連れてこられたのは、高級ブティック。
「な、なんで?」
「明日のデートに着ていく服をここで買うためだ。」
「はぁ?なんて、もったいないこと!」」
「愛する妻のための洋服を買うことが、もったいないか?」
ウソばっかり、私のことを愛してもいないくせに。でも、もらえるものならもらっちゃお。
正彦は店長と思しき年配の女性に、あれ声指示を出すと、何着かの洋服が目の前に並べられる。
「奥様は色がお白いので、淡い色のものなら何でもお似合いになると思いますわ。でも、目鼻立ちがはっきりされておりますから、原色でも、よくお似合いになると思います。」
結局、なんでもいいから、買えってことね。
美織は、とりあえず、明日の分だけと思っていたのに、正彦は試着した分を全部カードでまとめて一括払いで買ってくれる。嬉しいような、もったいないような複雑な気分になる。
「こんなにたくさんありがとうございます。」
「いいよ。初めてプレゼントができた。」
美織は、ひょっとしたら、めちゃくちゃ玉の輿に乗ったのかも?という気がしてきた。でも、契約結婚だから、いずれ終わりが来る。若い頃の思い出になるようなものを買ってもらったので、今度は、高級時計をおねだりしてみようかしら。将来、貧乏になった時や、急に現金が必要になった時、高級時計なら売れる。宝石は二束三文にしかならないけど、高級時計は、値崩れしにくく、財産として、持てるから。
将来、換金できやすいものをもらった方が、得だよね。
次の日、朝早く起きて、お弁当作りに勤しむ。ブランド洋服と手作りお弁当だなんて、つり合いが取れないけど、これも気持ちだから。
おにぎりとサンドイッチ、2種類のパターンを作っていく。おにぎりの中身は、梅干しとおかか、鮭の身をほぐしてフレークにしたものを中に入れ、握り込んでいく。
サンドイッチの方は、リンゴスライスとチーズ、ハム、レタス、トマト、キウイスライス、バナナスライス、スクランブルエッグにマヨネーズを和えたものを挟み込んでいく。
サンドイッチはなかなか手間がかかるので、全部、サンドイッチにはしない。
重しで、押さえないとスティックにも限度があるから。
ステンレスボトルには、熱いお茶とホットコーヒーの2本分を作る。紙コップをいくつか持って行って、使い捨てにすればいいかな?
敷物も一応、持っていくつもり、椅子があるところに座れるとは限らないから。
この間までの無力感、脱力感、空虚感はすっかり消え失せ、寂しいなんて言っていたことがウソみたいに、張り切っている自分がいることに気づく。
そうなのよ。何か目的意識を持たないと、ただ、だらだら、過ごしているだけでは、心もカラダもおかしくなってしまう。
なんとなく寂しさの原因が分かったような気がする。
後は、シャワーを浴びて、お化粧をして、朝ごはんは、カットフルーツの残り分を出そう。それにヨーグルトとスクランブルエッグにハムを乗せて、あまりものだとバレないようにしなければ。
そして、昨日、買ってもらったうちの一着を着て、お出かけ準備万端だ。
気が付いたら、子供みたいにはしゃいで、恥ずかしい。
美織がお風呂から上がり、お化粧をしていると、正彦が起き出してくる。
「お!今日は、早いな。」
なんとなく、正彦も嬉しそうにしている。
顔がニヤけるのを、必死になって、我慢して澄ました顔で朝食を摂る。
後片付けは、また二人で一緒にして、着替えるために、それぞれの部屋へ入っていく。
正彦は、スポーツシャツにチノパンを穿いて、かっこいい。それにカルティエのサングラスを頭上にかけている。
美織は、昨日買ってもらった中で、一番のお気に入りのワンピースに同色のジャケットを羽織っている。
いざ、出発するが車ではないようだ。
連れてこられたのは、高級ブティック。
「な、なんで?」
「明日のデートに着ていく服をここで買うためだ。」
「はぁ?なんて、もったいないこと!」」
「愛する妻のための洋服を買うことが、もったいないか?」
ウソばっかり、私のことを愛してもいないくせに。でも、もらえるものならもらっちゃお。
正彦は店長と思しき年配の女性に、あれ声指示を出すと、何着かの洋服が目の前に並べられる。
「奥様は色がお白いので、淡い色のものなら何でもお似合いになると思いますわ。でも、目鼻立ちがはっきりされておりますから、原色でも、よくお似合いになると思います。」
結局、なんでもいいから、買えってことね。
美織は、とりあえず、明日の分だけと思っていたのに、正彦は試着した分を全部カードでまとめて一括払いで買ってくれる。嬉しいような、もったいないような複雑な気分になる。
「こんなにたくさんありがとうございます。」
「いいよ。初めてプレゼントができた。」
美織は、ひょっとしたら、めちゃくちゃ玉の輿に乗ったのかも?という気がしてきた。でも、契約結婚だから、いずれ終わりが来る。若い頃の思い出になるようなものを買ってもらったので、今度は、高級時計をおねだりしてみようかしら。将来、貧乏になった時や、急に現金が必要になった時、高級時計なら売れる。宝石は二束三文にしかならないけど、高級時計は、値崩れしにくく、財産として、持てるから。
将来、換金できやすいものをもらった方が、得だよね。
次の日、朝早く起きて、お弁当作りに勤しむ。ブランド洋服と手作りお弁当だなんて、つり合いが取れないけど、これも気持ちだから。
おにぎりとサンドイッチ、2種類のパターンを作っていく。おにぎりの中身は、梅干しとおかか、鮭の身をほぐしてフレークにしたものを中に入れ、握り込んでいく。
サンドイッチの方は、リンゴスライスとチーズ、ハム、レタス、トマト、キウイスライス、バナナスライス、スクランブルエッグにマヨネーズを和えたものを挟み込んでいく。
サンドイッチはなかなか手間がかかるので、全部、サンドイッチにはしない。
重しで、押さえないとスティックにも限度があるから。
ステンレスボトルには、熱いお茶とホットコーヒーの2本分を作る。紙コップをいくつか持って行って、使い捨てにすればいいかな?
敷物も一応、持っていくつもり、椅子があるところに座れるとは限らないから。
この間までの無力感、脱力感、空虚感はすっかり消え失せ、寂しいなんて言っていたことがウソみたいに、張り切っている自分がいることに気づく。
そうなのよ。何か目的意識を持たないと、ただ、だらだら、過ごしているだけでは、心もカラダもおかしくなってしまう。
なんとなく寂しさの原因が分かったような気がする。
後は、シャワーを浴びて、お化粧をして、朝ごはんは、カットフルーツの残り分を出そう。それにヨーグルトとスクランブルエッグにハムを乗せて、あまりものだとバレないようにしなければ。
そして、昨日、買ってもらったうちの一着を着て、お出かけ準備万端だ。
気が付いたら、子供みたいにはしゃいで、恥ずかしい。
美織がお風呂から上がり、お化粧をしていると、正彦が起き出してくる。
「お!今日は、早いな。」
なんとなく、正彦も嬉しそうにしている。
顔がニヤけるのを、必死になって、我慢して澄ました顔で朝食を摂る。
後片付けは、また二人で一緒にして、着替えるために、それぞれの部屋へ入っていく。
正彦は、スポーツシャツにチノパンを穿いて、かっこいい。それにカルティエのサングラスを頭上にかけている。
美織は、昨日買ってもらった中で、一番のお気に入りのワンピースに同色のジャケットを羽織っている。
いざ、出発するが車ではないようだ。
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