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6.エドワード・マクシミリアン

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 マナー教室は、無事終わり、次はダンスのレッスンだという。

 ひろみは小さい時からバレエに日舞の名取まで、踊りを習ってきたから、たいていの音楽に乗れる。自然とリズムをとってしまうのだ。

 マナー教室は、無事終わり、次はダンスのレッスンだという。

 ひろみは小さい時からバレエに日舞の名取まで、踊りを習ってきたから、たいていの音楽に乗れる。自然とリズムをとってしまうのだ。

 今度のダンスの先生は、神経質そうな嫌らしい目つきの男性で、エドワード・マクシミリアン子爵の爵位をお持ちみたい。

 でもさっきのオバサンが何やら耳打ちをして、手にしていた鞭をしまわれた。もしステップでも間違え様なものなら、あの鞭が飛んできたのだろうか?

 他国の王女を怪我でもさせたら、間違いなく殿下が怒って、首にされるかもしれない。これは形式だけのレッスンなんだから、とオバサンが言ったのだろう。下手をすれば、オバサンまでもが、巻き添えにあうかもしれないと釘を刺したか?

 それまでのいやらしい目つきは鳴りを潜め、ソフトなレッスンが始まる。

 「ワン・ツー、ワン・ツー、ハイそこでターンして、キャッシーちゃんなかなかお上手よん。」

 とにかくレッスンは順調に終わり、最後は、フィリップ殿下が呼ばれ、ラブダンスを披露することになった。だって打ち合わせも何もないのに。殿下はちゃんと合わせてくれるか不安。

 真に愛し合っていなければ、タイミングがズレる。愛の深さを推し量るダンスなので、非常に心配する。映画や舞台なら、何度も打ち合わせをし、リハーサルをするからうまくいくというもの。

 それが昨夜あったばかりの殿下ととてもうまく合わせられる自信がない。でも、やるしかない。さっきのオバサンと女官長、ダンスの先生の前で披露しなければならない。本当の恋人かどうか見極めるための試験。

 殿下が入ってこられ、ひろみに一瞥すると、いきなりひろみの手の甲にキスをする。そして抱き寄せて、さらに熱いディープキス、もうそれだけで、ひろみは腰砕けになっている。

 「大儀であった。彼女は俺が連れていく。」

 「ああでも、殿下。ラブダンスはいわば卒業ダンスのようなもので。」

 「続きは、ベッドの上でやる。のぞき趣味があるならついて来い。」

 そして、お姫様抱っこされたまま殿下の私室へと運ばれる。

 その後のレッスン室での様子は、皆うっとりとして、

 「殿下は、よほどあの姫様を大切にされているのですね。昨夜もネグリジェがバラバラに切られていたのですよ。」

 「ネグリジェが!さぞかし激しかったのでしょうね。」

 「羨ましい。俺ももう少し若ければ、あんな美人をモノにしたい。」

 一方、ひろみは、フィリップの私室でベッドの上に放り投げられて、次の展開に恐れている。

 「よくやった。これで次の舞踏会で、キャシーは俺を狙っている令嬢どもから目の敵にされるだろう。」

 「え?本当に大丈夫ですか?」

 「大丈夫さ。あいつらが俺とのタブダンスを見ていなくてもさぞ熱いダンスだったと吹聴して歩いてくれるさ。それともキスだけでは足りぬか?」

 「やめてくださいよ。わたくしこう見えても男性経験はゼロなんですからね!責任取ってもらいますわよ。」

 「あはは。そう言うことには決してならないさ。」

 それはそれで寂しいような気もする半面、ホッとしている。

 「まぁできるだけフォローはしてやるつもりだが、自分の身ぐらい自分で守れよ。」

 「はいはい。わかってますよ。どうせ昨夜殿下にお会いできなかったら、あの森で死んでいたところなんですからね。」

 元の世界では一日署長のセレモニーによく出席して、痴漢撃退法などの訓練を受けたものだが、いざとなれば蹴り上げることぐらいしかできないだろう。令嬢たちには、到底通用しない技でもある。

 「わかりました破わ。それでは明日から武道の鍛錬をしたいと存じますので、そちらもよろしくご指導くださいませ。」

 「マジか……?」

 「だって、わたくしから手の心得しかございませんもの。」

 「は?からて?とは、なんだ?」

 外国の映画では、よく空手が一般的なので、ひろみも形ぐらいはできる。
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